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デイリーホーリーホック

【レビュー】J2第5節 松本山雅戦レビュー(2012/3/26)

悔やまれる敗戦。だが、内容は悪くなかった

 3月24日に行われたJ2第5節対松本山雅FC戦。水戸は0対0の引き分けに終わった。「結果にこだわる」ことをテーマに戦うことを宣言している今季の水戸にとって、J2参入1年目の相手から勝ち点3を獲ることができなかったことはこの上なく痛い。「連戦が続いて苦しい状況。昨年ならここで勝ち点1を獲れればOKだったのですが、今年は勝ち点2を落としたということになります」と柱谷哲二監督は憮然とした表情を見せた。

 確かに痛恨のドローと言えるだろう。これで2試合連続無得点。得点力不足という課題が浮き彫りとなってしまっている。とはいえ、前節北九州戦に続き、決して悪い内容ではなかった。前半こそ「寝ていた状態。反応が遅かった」と柱谷監督が言うように、全体的に精彩を欠く内容であったが、後半に見せた波状攻撃は実に質の高いものであった。

 引いた相手に対してアバウトなボールを前線に入れるのではなく、しっかりとパスコースを作りながら相手の守備組織のギャップを突いて攻め込むことができていた。中央を起点に左右に効果的にボールを散らしながら厚みのある攻撃を繰り出した。右サイドから市川大祐、左サイドからは輪湖直樹が再三鋭いクロスをゴール前に入れ、松本ゴールを脅かした。ゴールこそ割れなかったが、「あと一歩」というシーンを“意図的に”多く作ることができていた。そこは高く評価すべき点だと思われる。
 

攻めたからこそ招いた苦しい状況

 サッカーは難しいスポーツだなと試合を見ながらあらためて思った。水戸の攻撃が威力を欠き、松本に反撃の時間を与えていたら、結果は変わっていたのではないだろうか。松本が攻撃に力を割けるようになる分、守備に割く力は弱まることとなる。それだけゴールが生まれる可能性が高まったに違いない。しかし、水戸は松本に反撃の糸口さえ与えないほど徹底的に攻め込んだ。時折松本が速攻を仕掛けようとするものの、塩谷司が高い危機察知能力と1対1の強さを発揮して、封じ込めた。それによって攻め手を失った松本は守備に全力を注ぐ展開を強いられたのだ。「これだけ水戸を相手に引いてきた相手ははじめて。それだけ力を認められたことだと思う」と柱谷監督が言うように、水戸の力を認めた上で松本は守備偏重の策を取らざるを得なかったのだろう。

 それだけの力を水戸は見せた。と同時に「リトリートする相手に対して攻め慣れていない」(柱谷監督)という課題も露呈した。「J1昇格」をするためにも「こうした試合で勝ち点3を獲らなければならない」(柱谷監督)。さらなるレベルアップの必要性を突きつけられたゲームであった。

前半の戦い方に問題があった

 なぜゴールを獲ることができなかったのか。選手たちの口から「フィニッシュの精度に問題があった」「ラストパスの1本前が雑だった」といった声が聞かれたように、様々な要因が考えられる。ここでは、原因の一つとして「前半の戦い方」が挙げたい。

 前述の通り、前半はチーム全体が精彩を欠いた。特にボランチの村田翔の出来は悪かった。前半だけで3本もの致命的なミスを犯してしまった。松本の拙攻に救われ、ピンチにはならなかったが、度重なるミスが流れを悪くしたことは間違いない。「自分のところでミスがあってゲームを作れなかった」と試合後、村田は自分自身に怒りをぶつけていた。

 後半になって立て直すことができ、猛攻を仕掛けることはできた。しかし、松本はノックアウト寸前になりながらもかろうじて体を張ってゴールを守り切った。もし、前半からいい形で攻めることができていれば、もっと松本の守備の体力を奪うことができていただろう。集中力も途切れ、どこかで隙が生まれていたに違いない。

 ある指導者が「サッカーの攻撃はジャブみたいなもの」と言っていたことが思い出される。いい攻撃をすることによって相手の体力を奪うことができ、それを続けることで相手に隙が生まれるようになる。早い段階で「ゴール」という“ストレート”が決まれば最高だが、うまくいかない時でも辛抱強く“ジャブ”を繰り出すことが重要となってくる。「1点決まれば、相手は崩れると思った」と小澤司が振り返るように、先制点さえ入っていれば、相手はノックダウンに近い状態になっていたことだろう。だが、前半にいい形で“ジャブ”を打てなかったことが松本の粘りを招く要因となったのだ。

村田翔の成長に期待したい

「J1昇格」「結果にこだわる」ことを掲げる今季の水戸に妥協は許されない。この日の前半のボランチの出来では、正直厳しいと言わざるを得ない。それは村田自身も分かっている。「今日の出来では自分が出ている意味はない。もったいないことをした。これでは次もない。今日の敗因の多くは僕が占めている」と唇を噛みしめた。しかし、下を向いていたわけではない。次の一歩を踏み出す覚悟を、その目には秘められていた。「ここで逃げないで、しっかりやっていきたい」。

 ボランチは柱谷サッカーの肝である。その役割を担うのが村田と現在負傷離脱中の西岡謙太である。彼らがいかにゲームコントールできるかがチームの命運を握っている。この試合の悔しさをバネに村田がさらなる成長を遂げるのならば、勝ち点2を落としたぐらい安いもの。彼がもう一皮むけた時、水戸は「J1昇格」にふさわしいチームとなる。村田はこのままでは終わらない。そう信じたい。

(佐藤拓也)

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