デイリーホーリーホック

【プレビュー】J2第6節モンテディオ山形戦プレビュー 「中盤の数的優位を生かしたい」(2012/3/31)

勝負のポイントは中盤にある

 J2第6節モンテディオ山形対水戸ホーリーホックが4月1日13時から山形県のNDソフトスタジアム山形で行われる。水戸は3試合ぶりの勝利を目指してアウェイに乗り込む。

 水戸にとってのポイントは「点を獲れるか」ということだろう。現在、2試合無得点。決定力不足が2試合勝利を逃す最大の原因となっている。ただ、「チャンスを作れていないなら、頭を悩ますけど、チャンスを作れているので悲観すべきではない」と柱谷哲二監督が言うように、ゴールのなかった2試合とも多くの決定機を作り出すことはできていた。「あとは決めるだけ」(橋本晃司)という状況である。今節こそチャンスを確実に生かして、勝利を手にしたいところだ。

 今節、勝負のポイントは中盤にある。

 山形は4-3-3システムを採用している。中盤は1ボランチの前に2人のMFを配置する逆三角形型。ただ、柱谷監督が「1ボランチというより、3ボランチという感じ」と言うように3人とも守備の意識が高く、彼らの激しいプレッシャーでボールを奪い、そこから3トップにシンプルにボールを入れて素早く攻める形を得意としている。中盤でのイージーなボールロスは命取りとなる。

 とはいえ、中盤の人数は山形の3人に対し、水戸は5人。水戸が数的優位に立つ。そこで主導権を握らなければ水戸に勝ち目はない。中盤でスピーディーにボールを動かして、相手の中盤を揺さぶって攻め込みたい。

明治大学対決が見どころ

 水戸が狙いとするのは中盤の中央に位置するMF宮阪政樹の横のスペース。山形も当然そこはケアしてくるであろうが、恐れずにそこでボールを引き出すことが求められる。カギを握るのは3シャドー。特にトップ下の橋本がそのスペースでいかに起点を作れるかが今節の勝負所と言えそうだ。それは本人も自覚している。「宮阪とDFの間のスペースがポイント。そこで僕や(小澤)司がボールを受けて起点を作れれば、厚みのある攻撃を繰り出すことができる。宮阪の守備の負担を増やしたい」と語っているように、背番号10がバイタルエリアを制することができるか。逆に山形のパスの配給役である宮阪にゲームを作られるようだと、山形ペースに持ち込まれてしまう。明治大学の先輩後輩の間柄である橋本と宮阪の攻防が今節最大の見どころとなりそうだ。

 そして、守備について。今週のトレーニングでは山形の3トップに対する対応の確認を念入りに行っていた。特にサイドからドリブルで中央に切り込んで来る動きに対して、両サイドバックとセンターバックで連動して守る意識付けを行っていた。山崎雅人、中島裕希ともにJ1でも活躍していた選手だけに個の能力が高く、鋭くゴール前に切り込んで来る動きは脅威だ。水戸はしっかりと組織で対応して封じ込めなければならない。

 さらにもう1点、気をつけたいのは左サイドバックの石川竜也。決して積極果敢にオーバーラップを仕掛けてくるタイプではないが、左サイド後方から正確なボールを前線に配給してくる。彼に自由にボールを蹴らせると前線で起点を作られて押し込まれてしまうだけに、しっかりとケアしておきたい。

ここから本当の力が見えてくる

 「今節はお互いに攻め合うガチンコの試合になると思うし、そうしたい」と柱谷監督が言うように、前節のような一方的な展開にはならず、一進一退の攻防が続くだろう。攻撃的な両チームの対戦だけに、激しい攻撃の応酬が見られるに違いない。より精度の高い攻撃を見せたチームが勝利を手にすることとなる。相手は昨年までJ1で戦っていたチームといえども怖れる必要はない。「J2のチームに変わりない。気にすることはない」(塩谷司)という強い気持ちで戦って山形を凌駕する攻撃力を見せつけたい。

 「これからJ1を経験した力のあるチームと戦う。もう一つギアを上げていかないといけない」と市川大祐が言うように、山形に続き、次週にはJ1昇格の有力候補であるジェフユナイテッド千葉戦、さらに15日には山形と同じくJ2降格組のアビスパ福岡との対戦が控えている。強豪との連戦が続くだけに今節は「ここからの試合を考えても重要な一戦」(市川)なのである。現在水戸は勝ち点10で6位に位置している。ただ、早くもリーグは混戦の様相を呈しており、ここで敗れるようだと二桁順位まで落ちる可能性がある。「J1昇格」のために大切なことは上位にい続けること。そのためにも今節は絶対に落とせない一戦なのである。

 連戦が終わり、仕切り直しの一戦。どのチームも連戦で出た課題を修正して戦いに臨んで来ることだろう。それだけに「ここから本当時自分たちの力が見えてくる」と吉原宏太は言う。3月はあくまで“ならし”期間。ここから戦いは熱を帯びていく。4月に入って最初のゲームとなる今節、アウェイといえども勝ち点3を手にして、弾みをつけたい。そして、開幕3連勝を果たした力が決して勢いだけではないということを結果で証明したい。

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【写真:佐藤拓也】

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