デイリーホーリーホック

「2014シーズン Jリーグクラブライセンス申請について」決定記者会見全文(2013/7/30) ※全文無料公開

沼田邦郎代表取締役社長

皆さん、おはようございます。朝早くから弊社の説明会にお越しいただきまして誠に有難うございます。Jリーグクラブライセンス制度が昨年から施行されまして、今年で2年目になります。今年の申請は6月30日にクラブとしてJリーグへ提出させて頂きました。その申請の内容についてご説明させて頂きたいと思います。

昨年から引き続き、6月30日に申請した内容についてはJ1のクラブライセンスを満たす申請は出来なかったという事でございます。それは1点だけ、施設の問題でございます。お配りした資料の中にもありますが、弊クラブはケーズデンキスタジアム水戸の入場可能人数10,136人の中で戦っております。J1ライセンス基準である15,000人収容のスタジアムではないということであります。これは申請を提出した6月30日の時点の数字であります。ライセンスが下りてくるのは、9月30日と聞いております。この時にJ1なのかJ2なのか正式な発表があります。そのような趣旨で今日はお話させて頂ければと思っております。

これにつきましては、まず水戸市の施設でありまして、高橋靖市長が就任以来、ホーリーホック、スポーツ文化を強調されております。それを真摯に受け止めながらやらせていただいています。しかし、水戸市は震災の影響も爪痕深く残っております。2011年の3月以降、市庁舎も水道本部も使えない中で、本当に水戸ホーリーホックのためだけにスタジアムの改修が出来るのかという所、我々としましても市民の皆さんのライフラインがしっかり整ってからと思っております。
そういう中でも英断をされまして、来年度から始まります第6次総合計画の中にスタジアムの整備を盛り込むと発表しています。しかも10年間の計画期間の内、前半の5年以内になんとか進めていくとの温かいお言葉を頂いている中でございます。震災の影響の中で行政の皆さんが「水戸ホーリーホックを何とかしなくちゃいかん!」という所を我々に示して頂いていると思います。この場を借りて、本当に感謝を申し上げたいと思います。

それとあともう1点は監督、選手の部分であります。
昨年は9月30日のライセンス交付があってから選手達にご説明させて頂きましたが、今年は何故このタイミングかと申しますと、6月30日にもう分かっている話でございました。そういった事も含めて、早めにトップチームの監督、選手に示さなければならないなと思いました。会社全体でこれを協議していかなければならないと思っております。
その中で7月10日に萩原(武久)GMと私がクラブ代表として、この事を発表させて頂きました。
僕も悔しい思いですが、しかし、選手達は頑張っております。発表して以降、負けていないんですね。岡山にも勝って、長崎にも勝っています。この苦境をバネに選手達が頑張っている姿をですね、是非皆さん方に観ていただきたいと思います。
まだどのライセンスが交付されるかわかりませんけれども、こういった発表をさせて頂きました。J1というのは水戸ホーリーホックにとっては夢のまた夢でございました。しかし、柱谷哲二監督が来て、J1を目指そうという事をしっかり続けております。ただ、我がクラブとしましても昨年の決算で4億8000万強しかない予算の中でどうやってやるのか、平均観客動員も4000人満たない中で、本当にJ1と言えるのか。しっかりとこれを受け止めながら、水戸ホーリーホックは頑張ってベストを尽くしていきながら、是非ともスタジアムに一人でも多く足を運んで頂いて、なんとかこの水戸を盛り上げて頂けるような事を我々から発信していこうと思います。J1に相応しいクラブをここで作っていかなくてはならない。スタジアムが出来ました、でも戦っている内容はこれで良いのか?本当にJ1ライセンスに相応しいクラブなのか?という所を問われる事だと思います。40クラブ中、40番目のクラブと言われながら、こういった形でやらせていただいていますけれども、こういった機会にですね、サポーター、メディアの皆さんのお力を借りまして、地域が一体となって押し上げて頂ければなと節にお願いする次第でございます。この機会に是非とも多く、我々の事を世に知らしめて頂いて、こういうクラブがあって、こういうクラブだけれども、J1を目指しているんだと、上を目指しているだと、地域とともに歩んでいくと、しっかり発表していただきたいと思っておりますので、よろしくお願い致します。
以上であります。有難うございました。

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【写真 米村優子】

Q.水戸市の第6次総合計画の中に盛り込まれた事でJリーグ側がライセンス基準を緩和する事もあるのでしょうか?
「それ以前にですね、震災の影響につきましては、Jリーグに協議させて頂きました。第6次総合計画の中でどれだけ具現化出来るかどうかによって、我々水戸ホーリーホックとして、ここまで出来ているので何とか、と要請、要望はしていきたいなと思っております。ですので、一年でも早く水戸市の方に改修して頂けるようにお願いすると共に、しかしそういった事も考えて下さいよとJリーグには協議していきたいと思います」

Q. 水戸市の第6次総合計画の中に盛り込まれる事について、高橋靖水戸市長と二人で会って話たりした機会はあったのでしょうか?
「これについて具体的に話たりしたことはないです。市の地域振興課が窓口になっておりますので、そこで話を聞いて進めさせて頂いています」

Q.スタジアムの改修計画があるという段階では、ライセンス交付は認められないというJリーグから既に回答はあったのでしょうか?
「物として出来ていないといけない。来年の開幕戦でスタジアムが出来ている事が条件。それがクリアになっていないとライセンスは厳しい」

Q.今後J1を目指していく中で、どういう条件をクリアしていかなくてはならないのでしょうか?
「条件としましては、我々としては経営の問題も関わってくるんですね。それは全部クリアになっております。今回は施設の問題だけなので、要は15,000席を条件としているライセンス基準が満たないという事だけです。席が15,000席あれば、観客動員がいくら3,000でも4,000でも変わりないです」

Q.現在、6位以内との勝ち点差は4。9月30日までに6位以内に入って、周りが動き出す可能性について、社長はどのように考えていますか?
「6位以内に入れば、我々としては一つアピールが出来ると思います。しかし、我々は被災したクラブでして、市長がやりたいと言ってくれていても、出来ない状況がこの地にある。東北3県だけじゃなく、茨城も被災県ということへの認識が薄い。そんな中でも特例を認めてくれというお話は(Jリーグ側へ)させて頂いた。チームとして6位以内に入って、特例を認めてくれるような動きすれば、もしかしたら奇跡が起きるかもしれない。そこを願っております。しかし、やはり自動昇格となる2位以内であったり、J2優勝となっていければなと思っております」

Q.笠松運動公園陸上競技場の改修案については?
「これについては県の方々と色々交渉はしてきました。2019年の茨城国体がある中でも予算や計画がまだ決まっていないという段階でした。笠松は客席の部分は基準を満たしていますが、その他の施設や芝生など基準に満たない部分もありますので、そこにも改修が必要になってきます。我々のホームタウンは水戸ですが(那珂市にある)笠松は違うという事、J1のライセンス基準を取るだけのために改修するのはいかがなものかという部分もあります。そこが難しい」

Q.昨年のライセンス交付時から具体的な計画が出て来た状況から手応えは感じていますか?
「感じていますね。水戸市の第6次総合計画で発表して頂いた事によって、更に改修が速くなるということでございます。我々のサッカースタジアムだけでなく、第1種の陸上競技場になるという事でございますので、県都である水戸市がスポーツに特化していくという事に手応えを感じています。市長、市議会議員の皆さんも時間がある限り、スタジアムに足を運んで頂いております。それはこれまでになかった事なので、本当に有難いと思っております。しっかりと手応えを実感しています」

Q.いつまでにJ1昇格という明確な目標の時期はありますか?
「水戸市の方と相談しながらという部分もありますけれども、水戸市の第6次総合計画が具体的にいつになるかという事もあります。今、水戸ホーリーホックは事業計画をもう一度立て直しさせて頂いている最中です。中期、長期の計画を立てながら、J1に相応しいクラブという事をよく考えながら、地域と外から見た部分、中から見た部分、我々の立ち位置を考えながらいかなくてはならない。J1の平均予算規模は30億円、J2は10億円が平均なんですよ。我々は4億8000万円。J1からすぐに落ちてきてしまうクラブを我々は作りたくないんですね。いつJ1へという部分をしっかりと掲げて、地域に根ざして支えられて、いつでもJ1で戦っていけるようなクラブを作らなくては意味がないと思っております。1回J1へ行ったけれども、すぐに戻って来てしまうというクラブではなく、安定したクラブを目指して行きたい。30億と言えば、すごく夢のあるクラブですけれども、しっかりと経営計画を立てて行きたいと思います」

Q.柱谷哲二監督が今季契約の最終年。それに関する影響についてどのように感じていますか?
「監督は前向きに捉えていただいていて、7月10日に発表した時も監督自ら、『こういう順位ではしょうがねぇだろう』といった事も言って頂きましたし、『6位以内目指して戦うんだ』と選手達へも話していました。すごく前向きに捉えていただいていると思います。最終年でありますけれども、水戸の事を本当に真摯に考えていただいている。この地域、このクラブの事を真剣に考えて下さっているからこそ、そういった言葉が口に出て来るのかなと思っております。前向きな部分はすごく感謝しております。前向きというのは、チームがこれからどういう方向に向かっていくのかという部分の事です」

Q.スタジアム監修への資金調達の部分でクラブとして取り組んでいる事はありますか?
「その部分はないです」

Q.クラブライセンス制度への是非について意見を聞かせて下さい。
「弊クラブとして是非と言われましても、しっかり受け止めなくてはならない部分でありますけれども、『今なのか?』とは思います。我々は15,000席を作っても、今は平均観客数3,900人。本当に必要なのかとは思っています。ケーズデンキスタジアムはロッカールームなんかも本当にキレイな所で、これ以上の所はないかなと思っております。J1でも15,000人入っていないクラブ、J2でも我々より入っていないクラブも多い。観客動員が本当に溢れるぐらい入るのであれば、誰が考えても観客席をもっと作らなければならないなって事になりますけれども、基準という部分ももう一度見直す所が必要なのではないかなと思います。よりお客さんに近い、お客さんのためにあるスタジアム、お客さんが来て楽しい、快適だというスタジアムを目指していかなくてはならないと思うのですよ。単純に15,000席を作らなけれないけないという部分ではなくて、立ち見ではなく、屋根があって快適だったりする部分。観客が7,000人入って、1万人入ってくれたという所で初めて観客席がという部分になるのではと思います。ライセンスが施行されてルールに従わなくてはいけない部分ではあると思いますが、見直してもいいのかなと思う部分はあります」

Q.スタジアムを大きくすると、以前よりも観客数が少なく見えてしまう弊害もあると思いますが、その点はどのように思いますか?
「皆さんそうだと思いますが、満員のスタジアムで戦いたいですよね。いっぱいお客さんがいる中で戦いたいと思う。仮にカシマスタジアムが4万席ある中で1万人入らない時もあって、7万人収容の日産スタジアムも2万5000人も入っていても寂しい状況であると思うんですね。三ツ沢でやっていた時のマリノス戦は本当に楽しいと思うんですよ。そういう事だと思います」

Q.スタジアムの改修について今年中に働きかけている事はありますか?
「水戸市も震災の影響を受けながらやっている事も多いので、優先順位はお任せさせて頂いて、どれが先にという点は決めて頂ければなと思っております。しかし、今後、働きかけるのであれば、一年でも早くやっていただければなという思いはありますし、伝えて行きたいと思います。しかし、僕らも同じ水戸市民ですから、学校や体育館がどういう状況だとか分かる。ケーズデンキスタジアムにお金を出して頂く事に、『ホーリーホックのために作ってやったのに、また改修かよ?』と言っている一部の人達もいる訳ですよ。我々も水戸市と共にこの地域をどのようにしていくのか、水戸ホーリーホックをツールにして町おこしの起爆剤として活用して頂きたいという願いがこもっています。我々と夢を共有して頂きたいという思いがあります。是非ともその部分をご理解頂きたいと思っております。クラブとしてではありませんが、サポーターの櫻井謙一さんが代表となって、水戸市に提出するための署名活動をして頂いております。今後、企業、各種団体に広がるような事、改修時期を早めて下さいという署名活動が行われるという事は聞いております。クラブとしてサポートが出来るのであれば、していきたいと思っております。J2リーグの順位を上げていくことはもちろんです。14位、15位の位置にいて、こういうのはおかしな話になってくるので、選手の方からも、特に鈴木隆行、本間幸司が鼓舞する部分もありました。『こういう成績でいいのか?俺達は戦うぞ』と言っている所を実際に聞いています。本当に感謝しております。ですから成績もですね、しっかりと残す事も大事な事かなと思っております」

Q.スタジアムを15,000席に改修した時、水戸ホーリーホックが水戸市、市民に与えられるものとは?
「どんなスタジアムになるのか分かりませんが、我々はJ1という夢が拓けます。目標、目的がしっかり設定される訳であります。まだ行った事がないので分かりませんけれども、この前のガンバ戦、1万を超える観客が来た時、遠藤君と今野君がいたらもっと来たと思うのですけれども、そういった事だと思うんですよ。水戸の宿で泊まる所がなくなる、水戸の繁華街もガンバのサポーターで店がいっぱいになる。経済効果の部分があると思います。鳥栖がJ1へ昇格して約30億の経済効果があったと言われている通り、我々も夢がある。みんなで共有して頂いて、みんながこうなれるんだよと夢を描きながら、支えていただきたいなと思っております。スタジアムが出来る事によって、水戸ホーリーホック、地域の皆さんの夢が広がる。みんなで作り上げていく水戸市の完成予想図が自ずと出来てくるのかなと思っております」

Q.観客動員は何故少ないのか、そしてどうすれば増やしていけるのかと考えていますか?
「毎回集客のミーティング、策は打たせて頂いております。少ない理由は水戸ホーリーホックの歴史をもう一度紐解いて頂ければという風に思います。私は前の社長の引責辞任によって、2008年4月から就任しました。その一年前にも社長が解任になっています。そういう歴史がある。2000年からJリーグに参入していますが、皆さんが支援しようとしているクラブなのに、それを裏切って裏切って来ているクラブだと思います。多くの方に支えられてようやくここまで来て、皆さんの力で若干右肩上がりになってきたクラブだと思っています。盛り上がった部分が一度マイナスまで落ちたのが原因でありますし、地域性、メディアが少ない、サッカーの質だったりと色々な要因があります。もちろん我々の集客策が足りなかった部分も大きくあり、考えられる部分もありますので、今後に繋げていきたいと思います。北関東のJ2は集客が伸びていない。Jリーグ全体も伸びていない部分も社会現象であると思います。どうしたら観客数が上がっていくのかなという点は皆様にもお聞きしたい部分。今年よりは来年、来年よりは再来年とちょっとずつ観客動員を増やしていければと思います」

Q.現在の沼田社長の心境を教えて下さい。
「ライセンス交付は9月末。J2ライセンスが交付されるかどうか分からない段階で何早まって発表しているのかという意見もあると思いますが、我々としてはJ1ライセンスに満たない申請をしているので、J1ライセンスは断念せざるを得ない認識です。監督や選手には関係のない話でございますので、彼らは全試合勝つつもりでやるので、全勝という事はJ1昇格となります。戦っている選手達には本当に申し訳ないと思いますけれども、しかしJ1に相応しいクラブにするために皆さんの更なる力が必要ですので、これをバネにさせて頂きたいというのが僕の気持ちです」

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