デイリーホーリーホック

【HHレポート】若手3選手が常磐大高でトークライブ&プロの技を披露(2013/11/5)※全文無料公開

サッカーを始めたキッカケから夢の叶え方、挫折の克服法を約600名の生徒へ披露

水戸ホーリーホックの若手3選手によるトークライブ「若手Jリーガーの夢」が10月23日、水戸市新荘の常磐大学高校体育館で開催されました。
プロ2年目のGKの岩館直選手、高卒ルーキーのGK岡田明久選手とFW二瓶翼選手が同校の1、2年生約600名の前に登壇。
岩館選手は「25歳で皆さんと少し歳は離れていますが、まだプロ2年目。ためになる話が出来たら嬉しい」、水戸二中出身の岡田選手は「中には小中学校がかぶっている人もいると思いますが、宜しくお願い致します」と笑顔で挨拶。二瓶選手は十八番であるジャイアンのモノマネを披露。爆笑で会場を温めた後、トークライブがスタートしました。

Q.サッカーを始めたキッカケ、年齢は?
岡田:お兄ちゃんがサッカーをやっていたので始めました。
二瓶:僕は5歳から。自分も兄がサッカーをやっていたので、取り敢えずやってみようと始めました。
岩館:小学校入学と同時にサッカーを始めましたが、一年で辞めてしまった。そして小学3年生から、また始めました。

Q.プロ選手を意識したのはいつぐらい?
岩館:高校2年生の冬。高校2年の最後の試合の時にJリーグの関係者の方が観に来てくれていて、「君なら可能性があるよ」と言って頂けたのがキッカケでした。
二瓶:小学生の頃はただサッカーが好きでやっていたが、中学でFC東京のアカデミーに入ってから意識するようになりました。
岡田:僕は鹿島アントラーズのユースにいたのですが、高校3年生の時にトップの人と一緒に練習するようになってから「プロになりたいな」と思うようになりました。

Q.プロ選手になるために必要な事とは?
岡田:プロになるには「プロになりたい」という気持ちが一番大事。僕は鹿島でプロになれなかった。普通なら大学に行くという流れになるのですが、自分はとにかくプロになりたかったので、鹿島のコーチにその思いを伝えました。そしたら、Jクラブの練習参加などセッティングしてくれてチャンスを与えてくれました。なので、プロになりたい気持ち、そしてその気持ちを周りに伝える事が大切だと思います。
二瓶:努力することはもちろん大事だし、周りに感謝する気持ちも大事。最終的にはどれだけ自分を信じられるか。「自分なら出来る!」という気持ちがないとプロにはなれないと思う。
岩館:僕は25でプロ2年目。こういうキャリアの選手はJリーグの中ではなかなかいない。僕は高2の最後でプロを目指し始めたのですが、それまでプロを目指せるような環境になかった。中学も弱いチームでしたし、せいぜい県大会のベスト8に行けるぐらいの高校の出身。2人は高卒ルーキー1年目で、サッカー界で言えばエリート。僕は高校卒業してからプロになるまで5年掛かりました。社会人のチームでアルバイトをしながらプロを目指して、昨年ようやく叶えることが出来ました。華やかなJリーグの世界から程遠い所、磋琢磨するハングリーな環境の中でずっとサッカーを出来た事で、ようやくサッカーで飯が食えるようになりました。

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【写真 米村優子】

Q.練習や試合で心掛けている事とは?
岩館:プロの選手というのは契約があり、一年一年が勝負。もしかしたら首を切られてしまうかもしれないという中で日々勝負している。一日一日の行動、立ち振舞、姿勢が色々な人に見られて、評価される。それが次のシーズンに繋がる。一つの物事でも恥ずかしくないように、自分の身になるように心掛けながらやっています。
二瓶:岩館選手が全部言ってくれたので、僕から言う事は何もないです。強いて言えば、毎回全力でやること。この世界は本当に誰が観ているか分からないので、毎回100%の力を出していればいつかはチャンスが来る。そういうのを信じて全力でやっています。
岡田:考えてプレーすることを意識しています。「次の人がプレーしやすいから、ここへボールを出そう」とか、そういう風に一つ一つ考えてプレーしています。

Q.尊敬している選手は?またその理由は?
岡田:岩館選手を尊敬しています。練習の姿勢が常に真剣。手を抜いている所を見たことがない。同じポジションですし、そういう姿勢を見習っている。
二瓶:僕も岩館選手を尊敬していますが、鈴木隆行選手。チームの中でも最年長で、歳関係なく全力でプレーしますし、背中でチームを引っ張っていってくれている。いるだけで違う。そういう存在になりたいなと思います。
岩館:鈴木隆行選手、本間幸司選手。2人は今、37歳。それでもまだ現役を続けている。この2人が生まれた時から、皆さんが生まれた時からずっとプロをやっている訳です。僕はまだプロ2年生ですけれども、計り知れないぐらいすごい事。一日一日の姿勢だったり、身体を壊さないケアをした結果だと思います。尊敬しています。

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【写真 米村優子】

Q.高校生の頃に抱いていた夢、現在の夢とは?
岩館:夢を見つけるのは、早い方ではなかった。まだ卒業後、何をしようかと考えている人も多いと思います。まだまだ長い時間あるので、ゆっくり探せばいいと思います。僕自身、5年掛かって、ようやくプロになれました。でもこれがゴールではなくて、これがスタート。
二瓶:僕はずっとサッカー一筋だったので、プロサッカー選手以外は考えていなかった。今年一年やってきて、プロの厳しさっていうのを実感させられた。
岡田:僕は高校卒業して夢を叶えられましたが、なったらなったで厳しい世界だというのを感じている。まずは水戸でレギュラーを勝ち取る事が夢。

Q.挫折の経験もあると思いますが、そこからどうやって立ち直りましたか?
岡田:挫折も後悔する事も結構あるのですが、全部自分で決めた道。なので頑張ろうと思っています。
二瓶:自分も挫折も何度も経験しているし、今も迷ったり、辛い事もある。そういう時、周りのコーチや仲間達の存在が、次にまた頑張ろうという気持ちにさせてくれる。あとは支えてくれる家族の存在も大きいと思います。
岩館:僕の場合は高校卒業してすぐにプロになりたかったのに、どこのテストを受けてもダメだった。その結果、社会人のチームに行ったのですが、実は一年目で首を切られました。19歳で行くあてのない状況になった。正直、「サッカーを諦めなければいけないかな…」と思った。でも近くの大学に拾って貰えて、勉強とアルバイトをしながらサッカーをする生活をしてきました。一年間サッカーしかしない生活から、皆さんと同じ学生に戻って、勉強をし始めた事はすごく新鮮だった。学べることはどれだけ有難い事か、自分一人で勉強しようとしても大変だと思うけど、授業を受けるのはすごく貴重な時間なんだなと分かった。僕はスポーツジムのインストラクター、少年サッカーのコーチから居酒屋のアルバイトまで色々なアルバイトをしていた。色々なバイトをする中で料理も出来るようになって、料理人になる道も考えた事もありますし、フィットネスジムのインストラクターになって、小さい子供からおじいちゃんまで水泳など教えるのも楽しいなと思ったりした。色々な事に興味を持って何年間も過ごして、その結果サッカーをしている。自分の中で仕事として一番やりたいのは、サッカーなんだなと実感しています。

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【写真 米村優子】

Q.高校生へメッセージをお願いします。
岩館:サッカーしかやって来なかった僕達ですが、勉強はした方がいいと思いますね。自分に得意な事があるのは、人間にとってすごく強みになると感じている。何か得意だな、好きだなと思えるものがあるのは強い。まだ見つかっていないのであれば、何か挑戦したいと思った時にすぐにスタート出来るように、勉強はなるべく一生懸命やらなければならないと思います。
二瓶:僕は高校卒業したばかりですが、一番後悔しているのは、もう少し遊んでおけば良かったという事。授業とかはちゃんと受けた方がいいと思いますが、一度きりしかない高校生活を楽しんだ方がいいと思います。自分はサッカーばかりだったので、週に一回の休みでもすぐに帰って寝たりしていた。遊ぶのを面倒臭がってしまって、卒業をした時にもう少し楽しんでおけば良かったなと思った。1、2年生は楽しんで遊んだ方が良いと思いますよ。
岡田:自分の経験から小さな目標を持って、日々過ごして欲しいと思います。自分はサッカーばかりで勉強を疎かにしてしまっていた。高校2年の途中ぐらいからテストで良い点を取ろうと思ってから、成績も格段に伸びた。自分にプレッシャーを掛けて過ごすことも大事だと思います。

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【写真 米村優子】

二瓶選手VS生徒のリフティング、ドリブル対決も

トークライブ後は、岡田選手のキャッチング、二瓶選手のシュートによるデモンストレーションへ。
そして、女子サッカー部員によるリフティング対決では、二瓶選手が圧巻の勝利。男子サッカー部員や同校に在籍する水戸ユースの大津秀憲選手とのジグザグドリブル対決では、ハンデを負った二瓶選手が敗れてしまう場面も。プロの技を間近で見た生徒達の歓声、選手の名前を叫ぶ女子生徒達の黄色い声に包まれながら、イベントは幕を閉じました。

「プロは雰囲気が違うなと思いました。シュートが強かった。印象に残ったエピソードは挫折した時の踏ん張り方。とても参考になりました」と男子サッカー部の澤田龍弥さん(2年生)。
リフティング対決に参加した横須賀汐那さん(2年生)は「プロの選手は貫禄があって、技もすごくて緊張しましたが、楽しかったです。私は小学校の頃からずっとサッカーをしていて、挫折した時もあり、何度も諦めようとしました。だけれども、サッカーが好きなことを強みにして、どんな環境でも続けていきたいと思いました」と選手達の言葉に背中を押された様子でした。

今季のホーム戦は、11月10日の東京ヴェルディ戦、17日の京都サンガFC戦の2試合。
選手達の勇姿を見届けに、常磐大高の生徒達もスタジアムへ足を運んでくれる事でしょう!

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【写真 米村優子】

(米村優子)

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