デイリーホーリーホック

【HHレポート】[HOLY SPONSORS]第19回・民宿 満州屋「ライセンス問題はホーリーホックのチャンスとなる」(2013/12/2) ※全文無料公開

水戸ホーリーホックを支えてくれるスポンサーさんにお話を聞く企画「HOLY SPONSORS」。第19回目にレポートさせていただいたのは、サポートシップスポンサーとして支援していただいている「民宿 満州屋」です。どのような思いを抱いて水戸の支援を続けているのか、小池伸秋さんにその経緯や今後の水戸へ期待すること等をインタビューした模様をお伝えします。

サポートシップスポンサー
民宿 満州屋 小池伸秋さん

サポーター歴11年のスポンサー


水戸の試合を見始めたのは、私が就職した年である2002年からです。
当時働いていた都内の印刷会社では、個性を出さなくてはならないクリエィティブな部署にいました。しかし、イメージに行き詰まり、原点に立ち返る事がよくありました。
そんな時、GWに茨城へ帰省する機会があって、水戸ホーリーホックのホーム戦をたまたま観ました。
ひたちなか市民総合運動公園陸上競技場で観客も少ないですし、運営も手作り感満載でした。その頃、鹿島アントラーズの試合には数回行きましたが、それと比べて応援も独特。アットホームな感じはしましたけれどもね。
その時、対戦相手に逆転勝ちをしました。その年は5試合ぐらい観たのですが、奇跡的に負けたゲームが一つもなかったのです。

就職はしたのですが、私は元々スポーツ新聞や雑誌記者になりたかったので、やりたい仕事ではなかった。
19歳の頃、すでに父を亡くしていましたし、東京にいるのだったら、夢の仕事に就かなければ意味がないと思い、実家の民宿を継ぐことにしました。
昔は阿字ケ浦町も海水浴で賑わっていましたが、戻って来たら活気がなかった。
今後、地元を良くしていこうという地域貢献への想い、地域愛もありましたし、2003年は(田中マルクス)闘莉王がいた事もあり、ホーリーホックにどっぷりとハマっていきました。

2003年は、試合運営やサポーター団体「F.M.C(FC MITO CRAZY)」でお手伝いをしたり、年間10試合はホーム中心に行くようにしていました。
割りと平日の昼間に時間が取れるので、この頃から練習見学にもよく訪れていました。当時は那珂総合公園、涸沼方面と、転々と場所を変えてトレーニングしていましたね。
2006年にホーリーピッチが出来てから、毎週のように行くようになりました。そうして通っているうちに、熱心なサポーターの方々と仲良くなった。スタジアムや飲食店でのパブリックビューイングを一緒に観るようになっていきました。
そんな中、サポートシップスポンサーになると、年間20試合ぐらいのチケットが貰える事を知ったのです。
「それだったら入った方がお得かな」と思い、2007年からサポートシップスポンサーとなった次第です。

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【写真 米村優子】

ホーリーホックは地域のコミュニティを活性化するツール

2007年のホーム戦は、ほぼ皆勤賞。
アウェイ戦も年間一度は泊まりで行くようにしています。札幌、ガンバ大阪、京都戦は、茨城空港をかなり活用していますよ。
日曜開催のリーグ戦は不評ですが、民宿を経営している身としては、土曜日の夕方開催だと仕事でなかなか行けない。なので、観戦しやすくなった点は大きいですね。

大人になってから友人を作るのって、なかなか難しい。
でもホーリーホックを観るようになってから、子供から60代以上の年配の方まで知り合うことが出来た。そこから、人間関係が広がっていったというのが、すごく嬉しいです。
試合を観に来ているけれど、実際の所はサポーター仲間に会いに行っている。サポーターは、大体そう。
どちらかと言うと、試合後の飲み会が本番です(笑)。

近年、地域社会の崩壊が叫ばれ、隣近所でも交流がない中、私達の地域には共通の話題としてホーリーホックがある。
ようやく認知度も上がって来ていますし、地域のコミュニティを活性化するツールの一つとなっていると思います。そういった点でも、ホーリーホックは地域貢献をしていると思います。
それだけでも存続し続けてきた価値があると思いますね。

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【写真 米村優子】

ひたちなか市はスポーツ合宿の街

ひたちなか市は比較的、運動施設に恵まれており、スポーツ合宿の街として少しずつ軌道に乗っていると思います。
うちの民宿は、阿字ヶ浦海岸付近の様々な旅館などで組織している「ひたちなかスポーツ振興委員会」の一員。
その委員会では、阿字ヶ浦近くにある約10面のサッカー場を管理運営していまして、宿泊付きのサッカー大会を企画しています。
10面まとめて借りられるサッカー場は珍しく、移動なく試合が出来るため、大会運営がしやすいと好評です。お陰様で、年間3万人に利用して頂いています。
ホーリーホックもここ数年、阿字ヶ浦で強化合宿をしています。
あと、来季の「ひたちなか市の日」のホーム戦告知チラシ配布活動は、是非水戸駅ではなく勝田駅でやって貰いたいですね。

キャンプや練習を観に来る人が、本当に増えました。
昔は一人二人、私しかいない時も多かった。
でも、きーやん(木山隆之元監督)の頃から女性の見学者が増えましたよね。小池純輝、常盤聡、鈴木隆行が来て、継続的に増えている。
近年のスタジアムの観客数の増加も異常ですね。
2009年にあれだけ快進撃を続けていたけれど増えなかったのに…。
あの時、(本間)幸司が言っていたものね。「勝っても勝っても客が増えない。俺達、何したらいいんだろうね」って。サポーター達もかなり頭を悩ませていました。

練習見学に行った時は、スポットの当たらない選手、試合で大きなミスをした選手に声を掛けるようにしています。
プレーはいいのに結果が残せない選手には、「これを続けて行こう!」。怪我をしている選手には治り具合を聞く。良いプレーをした選手には直接褒めたりしますよ。
最近は練習を観に行くというよりは、選手に声を掛けに行っている。「ちゃんと俺達は観ているよ」という事を伝えたいのです。
それが、モチベーションの維持に繋がれば嬉しいですね。

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【写真 米村優子】

続発した「もったいない試合」、若手が躍進した2013シーズン

今季はもったいなかったですね。
良い試合はするけれど、勝ち切れない。一人ぐらい絶対的なストライカーがいればね…。
山村(佑樹)はスタートが良くて、前半は面白いように点が入ったけれども、逆にナンちゃん(難波宏明)が得点出来なくて、そのままコンディションも崩しちゃった。
三島(康平)は、もうちょっと点が取れたら良かったですけれども、年間通して戦えたのは大きいですよね。
来年は三島、山村で2トップを組んで、疲れてきた辺りで(鈴木)隆行を入れて、闘魂注入!みたいな流れになるといいですね。
今年は橋本(晃司)と隆行で24点。
来年、三島、山村でトータル30点を取れば……来年、楽勝ですね!

今年は若手が躍進しました。
輪湖ちゃんも紆余曲折ありましたけれど、大分守備も出来るようになりました。3-4-3のオプションが出来て、4バックに戻っても安定した。
(鈴木)雄斗も出場機会にかなり恵まれました。
今季は何と言っても、内田(航平)でしょう!
あんなに伸びると思わなかった。
シーズン後半は、世代別の日本代表に選ばれるレベル。西岡(謙太)が霞んで見えるぐらいだった。ああいうプレーを来シーズンも続けてやって欲しいですね。
西岡、内田のボランチが伸びれば、チーム自体も上に行けますからね。

つまらない失点も多かった。来季は、そこをなんとかして欲しいですね。
DFは塩谷(司)がいた頃は強かったですよね。
危ない場面でも最後は塩谷が何とか助けてくれた部分があった。戻って来てくれた冨田(大介)もよくやっていますけれどもね。
もう一人、ボランチかセンターバックに経験のある選手が欲しいですね。

あとは、FWがもっと点を取れるようになれればいいですよね。
私としては、橋本があれだけのプレーをしてくれるようになったのが、嬉しいですね。
彼はキャラクター的にも、水戸になかなかいなかったタイプの選手。
きーやんの頃から大卒の選手を獲るようになって、岩舘侑哉、西野晃平、塩沢勝吾、大和田真史のような個性的で、一芸に秀でた選手が減ってしまった。
とんでもないミスをしたりするけれど、とんでもないゴールをしたりする…、そのようなサポーターから愛される選手がたくさんいた。
平均点はすごく高いけれど、小さくまとまっていて、なかなかそれを突き抜けられない選手が多い。
古いサポーターは、「面白味がなくなった」と思う人も実は少なくない。昔は危なっかしい反面、とても面白かったのです。
橋本は彼らに代わる存在。
感情も露わにしますし、味方とも喧嘩するし、物事をハッキリ言う。でもチームにはああいう選手が必要です。
今年はドイツのチームへの移籍話もあったみたいですが、このまま残ってくれる事を祈りたいです。

観客も平均で1000人近く増えましたよね。
水戸は元々の数が少なかったので、収入も相当増えた事でしょう。
昔はホーリーホックを応援している人は、「変わり者」っていうイメージがあった。
「ホーリーホックファンです、と言うのは恥ずかしい」「バカにされるので職場や学校で言えない」という風潮があった。
けれども今は、地元の女子高生も普通に応援してくれている。きーやんが監督になった辺りから、メジャー感が出て来ましたよね。

水戸はもっと評価されて良いチーム。
リーグ最低レベルの予算規模で下位に沈まないのですから。
強化予算、勝ち点の費用対効果は、水戸がJクラブの中で一番高いのではないでしょうか。
数年前と比べて、水戸を契約満了になっても、Jリーガーでいられる選手が増えている。
金久保彩、常盤聡、代健司、塩沢勝吾もそれぞれの場所で活躍しています。チーム全体がレベルアップしている証拠だと思います。

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【写真 米村優子】

J1ライセンスを獲るには、成績を残すしかない

ライセンス問題が表面化して一年。サポーターは心構えが出来て来たように思います。
でも、やはり選手たちにとってはかなりシビアな問題です。
だから、選手にはこう思って欲しい。
「J1ライセンスを取得するには、成績を残すしかない」と。
昨年の大分トリニータが良い例です。3億円がなければJ1へ上がれないという状況だったけれど、6月頃から継続してプレーオフ圏内に居続けたから、県民が動いてくれた。
今年はJ1へ行けないんだ…とスタートするのではなく、開幕ダッシュして、県民全体にアピールしていく。それをやり続ければJ1に上がれるかもしれないという思いでプレーして欲しいです。

ホーリーホックはピンチをチャンスにして成長してきた歴史がある

ライセンス問題の話になると、「J1で戦える体力を長期的な視野で育てて行こう」という声をよく聞きます。
しかし、多くのサポーターが相反する思いとして「本間幸司をJ1の舞台に立たせたい」と心に抱いている。
私は、一年でも早くJ1に上がりたい。「幸司をJ1へ!」という事だけのために。

水戸ホーリーホックはこれまでに様々な紆余曲折がありました。
しかし、大宮アルディージャを契約満了となったことで吉原宏太が水戸に来てくれた。
東日本大震災があって、鈴木隆行が来てくれた。
水戸ホーリーホックはピンチをチャンスにして成長してきた歴史があるのです。
物は考えようだと思います。
ライセンス問題がなかったら、こんなに世間に注目を浴びることもなかっただろうし、J1へ昇格の体力を整えようという考えもなかったでしょう。
きっとライセンス問題は水戸にとってチャンスとなるはずです。

プレーオフ圏内に入れば、何かムーブメントが起こるはず。
その時にクラブ、サポーターがどう動けるかが重要です。我々は準備を進めていかなくてはなりません。
暫定的に「笠松運動公園陸上競技場で許してください」という方法もあるかもしれないし、可能性を諦めてはいけない。
だから、私は「来季の目標はJ1昇格」と言い続けます。

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民宿 満州屋
阿字ヶ浦海水浴場から徒歩5分、マリンレジャーとスポーツ合宿に好立地。女将がつくる新鮮な海鮮料理でもてなす、海の見える高台の宿。現在は、茨城の冬の味覚・あんこう鍋の宿泊プランがオススメ。ファンクラブ会員はソフトドリンク1杯サービス!

茨城県ひたちなか市磯崎町4625-2
TEL:029-265-8151
FAX:029-212-3080
http://www.mansyuya.jp/

(米村優子)

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