デイリーホーリーホック

【特別寄稿】ボランティアグループ「Tifare」代表補佐・栗原賢二さんコラム 「裏方魂⑲ 運営のシステムと戦術」(2014/12/24)※全文無料公開

皆さんこんにちは!水戸の試合運営を支える、ボランティア9年目の栗原と申します。
2012シーズンよりデイリー・ホーリーホック誌上に、裏方ならではの目線で寄稿させて貰っています。
今回もコラム執筆の機会を頂きました。拙い素人ですが、一緒にクラブの楽しい未来を描いていければ何よりの喜びです。

私事ながら8月東京に引っ越し、ホームゲームはKsスタへ電車とバスを乗り継いで通う生活になりました。
13時キックオフ(ボランティアは9時集合)なら朝5時起き。夜明けの常磐線で北へ向かうのも、なかなか風情がありますよ(笑)

水戸ホーリーホックの2014シーズンは、大きな可能性を秘めていただけに悔しさ倍増の最終結果でした。
J1ライセンス発行の見通しすら不透明な状況に、やきもきしている方も多いでしょう。私もそうです。

ここで少し視点を変えて世界の歴史に目を向けると、英国マンチェスター・ユナイテッドの創設20年目は、入場無料で公式戦を開催していたそうです。
同じく超名門のアーセナルも、20年目頃はスタジアムの集客力が低く、深刻な経営危機に陥っていた記録があります。
もちろん時代背景は異なりますが、サッカークラブが地域に根付き、強豪として育つまで時間を要する一例として。
『進撃の後輩』松本山雅FCも、母体のチーム創部は1965年。長らく地域リーグで戦った経緯があります(抜かされて悔しいのには変わりないですが)
社会人としての仕事をしながらサッカーを続ける人々にとって、毎試合CS放送で中継されるJ2は夢舞台。
「水戸だけが不幸!」と叫んでも、共感は得られないかもしれません。むしろ困難に立ち向かう背中を見せたいもの。

サッカーも人生も『絶対の勝ち』は約束されていないけど、勝率を上げる努力は常に許されている。
まだ試していないアイディアを実行し、頭の中に巣くう「負けのイメージ」を追い払う工夫が大切だと。
個人的には今度こそ、平均観客動員5000人超えを達成したい。
J1レベルの力を証明する指標のひとつとして、笠松時代から目指していた数字なので。

・・・前置きが長くなりました。本題に戻り「ボランティアって、何をやってるの?」を改めてお話します。
サポーターズクラブ受付、関係者ID発行、ピッチカメラ、場内放送、コンコース券種確認など様々な役割がありますが、今日は私が主に担当するメインスタンドのゲート業務を例に、その運営システムと戦術を紹介します。
普通に「運営ノウハウ」としても良いのですが、サッカーのイメージで語った方が格好いいので(笑)

写真1

①基本フォーメーションは『2-4-2-1』

ゲートの基本業務は大まかに「チケットもぎり」「マッチデープログラム等配布」「再入場対応」「フリー(その他案内、預かり物など)」
の4種類に分かれます。その日の観客動員や配布物の量にもよりますが、お客さんを2列で迎える前提で標準的な人員配置は、『チケット2 配布4 再入場2 フリー1』という感じです。2-4-2-1フォーメーションですね。
「1人少ないうえに2バック!?」というベタなツッコミは置いといて(笑)、現状この形が一番安定します。
将来お客さんが常に1万人近く入る(嬉しすぎる!)状況になった際は3バック/4バック(3列/4列でお迎え)が採用されるかも。

②マルチロール

経験を積んだメンバーは、状況に合わせて異なるポジションを務められるマルチロール(万能選手)です。
「右サイドもぎり → 再入場対応 → 左サイド配布」といった具合に次々と役割を変えていく勇姿はさながら、サッカーに革命をもたらした1970年代オランダの「トータルフットボール」のよう。
自分が動きながら指示も上手く回る日はクライフになった気分・・・大多数の方が置いてけぼりなので、この辺にしておきます(笑)

③利きもぎり

野球に利き手、サッカーに利き足が(マニアックな所では左右どちらからのクロスを頭で捉えやすいかの『利きヘディング』も)あるように、運営には「利きもぎり」があります。チケット半券をもぎりやすいのはどちらの手か?という話ですが、お客さんの入場列に対して自分が右側に位置するか左側に位置するかで、業務スピードが微妙に違ってきます。例えば「もぎりの神様」Yさんは右サイド、私は左サイドを得意とします。

④休憩のタイミング

どんなに体力のある選手でも90分間、ずっと全力疾走というのは無茶でしょう。単純計算で50kmの距離、水戸から土浦まで行けるわけで(笑)。場面場面で効果的なインターバルや、給水を取りながら走りきっているんだろうなと。
私達ボランティアもそれは同じ。集合から撤収解散までの7時間半には、休憩を取る事が重要です。
タイミングは季節(真夏はやはりきつい)やメンバーのコンディションによってまちまち。様子を見極めての声かけを心がけています。
比較的余裕のある時は皆が「まだ大丈夫です!」と頑張るので「じゃ、俺(栗原)飯食ってきます」と、自分が率先して休むのも大切。

以上、マニアックなネタや屁理屈も混じりましたが、現場にかける想いは本気です。
運営業務のパフォーマンス(出来)によって会場の雰囲気、ひいては勝敗が左右されると信じているので。
次回は「頭に描いていたプランが崩れた時の立て直し方」について話をさせていただく予定です。
よろしければ、お付き合いください!

(栗原賢二)

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