デイリーホーリーホック

【HHレポート】水戸ホーリーホック創設20周年記念誌発売特別企画「20年を振り返ろう!サポーター座談会③ ~木山時代から現在編~」(2014/12/27)※全文無料公開

水戸ホーリーホック創設20周年記念誌が来年2月に発売される(予約は12月26日まで)ことを記念して、デイリーホーリーホックではサポーターとクラブの歴史を振り返る座談会を開催。
集まってくれたサポーターは以下の3人。
・三輪和也さん(サポーター歴18年)
・直井誠さん(サポーター歴13年)
・坂部芳則さん(サポーター歴12年)

そして、デイリーホーリーホックのメインライターを務める佐藤拓也の4人で水戸の歴史について熱く、そして楽しく語り合いました。
第3回目は「木山監督時代から現在」です。

クールに見えてかなり熱かった木山監督


佐藤:いよいよ木山監督時代に突入します。
三輪:俺は率直にうれしかったよ。前の年に前田秀樹監督の処遇をめぐっていざこざがあったけど、別に次に来る監督は関係ない話だったから。昔のことを知っている人が監督してくれることがすごくうれしかった。期待もしていた。
直井:OBが監督になってくれるのは理想の形。そういう意味で本当によかったよね。
佐藤:実際、サッカーの内容もワクワクさせてくれるものでした。開幕戦のC大阪戦、試合には敗れたものの、20本以上シュートを打ちました。「違い」を感じさせてくれましたね。
坂部:最初は勝てなかったけど、パク・チュホが入って勝てるようになった。
直井:仙台にアウェイではじめて勝ったのをよく覚えている。あれは感動的だった!
坂部:荒田(智之)はすごかった。あの試合の反転シュートはしびれましたよ。
直井:それまでに水戸が見せたことのないアクションサッカーを年間何試合も見せてくれた。そこにものすごく可能性を感じることができた。
三輪:荒田がいたのが大きかったね。やっぱり点を取れるチームは強いと再確認した。翌年は高崎寛之と吉原宏太が入って、さらに攻撃力が上がった。その年は本当にワクワクした。特に吉原の加入はうれしかったなぁ。元日本代表が来てくれるなんて、信じられなかった。
坂部:吉原はシュート以外もすべての技術のレベルが高かった。他の選手の刺激になったと思う。
三輪:入団会見のコメントがよかった。「水戸にとっての1億円の評価をしてくれた」と。泣けたよね。
佐藤:09年は初の勝ち越しをおさめました。
直井:でも、得失点はマイナスなんだよね。
三輪:秋の8連敗が痛かった。
直井:三ツ沢での土壇場で同点にされたのが痛かった。試合後、みんな、「私の流した涙を返して!」って言ってたもん(笑)。あれで完全に空気が変わった。
坂部:あれは思い出したくもない。でも、あの試合で勝っていたらどうなっていたかな?
直井:昇格していたかもね。
三輪:いや、そんなメンタルはなかったと思うよ。
佐藤:今のようにJ1昇格プレーオフがあれば、また変わっていたかもしれませんね。まあ、すべてはタラレバですが。さて、09年シーズン終了後、主力がごっそり引き抜かれてしまいました。
坂部:10年はつらかった。
佐藤:3年目は下位に沈んだけど、木山監督は夢を見させてくれましたね。
直井:FWに恵まれた水戸にとって珍しい時期だったし、うまく生かすことができていた。
坂部:木山さん、大好きでした。スーツが似合うし、ヨーロッパの青年監督みたいな雰囲気がとてもよかった。
三輪:最初の試合でペットボトルを蹴って退席になったけど、それもまたよかった。
直井:木山さんはクールのように見えてかなり熱かった。09年に三ツ沢で引き分けに終わった試合の後、ベンチを蹴飛ばして足をけがして、その後足を引きずってたからね(笑)。
坂部:クレバーだけど、熱い。来年愛媛は怖いですね。
三輪:でも、木山さんにとっても貴重な経験になったと思う。30代で3年間監督できる機会なんてそんなにない。水戸での経験はこれから生きると思うよ。

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驚きだった鈴木隆行の加入

佐藤:そして、柱谷哲二体制です。
坂部:いきなり東日本大震災が起きましたね。
直井:正直、11年は震災後の初戦以外は頑張らないと思いだせない。それぐらい初年度はあまりいい思い出がない。
佐藤:鈴木隆行選手の加入がありました。
一同:それがあった!
直井:ホームデビュー戦でいきなりゴールを決めた。さすがでした。でも、本当に彼の加入には驚かされた。
三輪:一番印象に残っているのは隆行が海外に行く前のプレシーズンマッチの鹿島戦。隆行は鹿島の一員として試合に出ていたんだけど、ボールの引き出す動きや受ける動き、ラストパスの精度などすごい選手だなと。その時のイメージがすごく残っていて、水戸に来ると聞いた時は本当に驚いた。
坂部:水戸に来てからも体の強さは群を抜いていた。
三輪:相手を背負った状態でボールを受けて、反転して相手に倒されてファウルをもらう動きはもはや名人芸だった。あの技術はすごい。
佐藤:それでFKのキッカーで橋本晃司がいたのが大きかった。隆行選手が来て、水戸はピッチ内外で大きく変わりましたよね。
直井:サッカーをあまり知らない人からも水戸のことを聞かれるようになった。「水戸ホーリーホックはどこで試合をしているのか」はよく聞かれた。
三輪:チームのイメージが変わった。「弱い」イメージはだいぶ払しょくされた。
坂部:今年退団が決まってから、年配の女性が事務所に「なぜ隆行を退団させるんだ」とクレームに行ったという話を聞きました。
三輪:でも、それだけ人を魅了していたということだよね。確かに今年はプレーの質が落ちたし、仕方がない決断だったと思う。お金があれば、もう1年できたかもしれないけど、ウチにはその余裕がなかった。
直井:宏太の時もそうだよね。結局、財政的な余裕がなくて、契約満了にせざるを得ない。そういう状況を早く脱さないといけない。

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柱谷監督のチームを前進させる手腕は今の水戸にとって適任

佐藤:来年で5年目を迎えますが、柱谷体制に対してどのように見ていますか?
坂部:個人的には長く監督をやってもらいたい。監督じゃなくても、GMとしてチームに残ってもらいたい。
直井:長期政権をお願いしたい。
坂部:柱谷監督を批判する理由が今のところ見当たらない。現状でベストを尽くしていると思う。リーグで最低レベルの予算で残留争いをしていない時点で評価したい思いはあります。それと、負けはしたけど、千葉と東京Vを圧倒した試合を見ると、これからもっとすごくなっていくような希望を抱くことができました。
直井:アクションサッカーで相手関係なく、90分近く相手を圧倒する試合が何試合もあった。それはすごいと思う。予算と選手層を考えた時にやれることはやっていると思う。
佐藤:でも、北九州は5位に入りました。言い訳はできなくなりましたよね。
坂部:そうなんですよね。
三輪:ただ、柱谷監督以上の監督を見つけてくるのは水戸の資金的な問題も含めて簡単なことじゃないと思う。
直井:順位を上げるだけならば、他にもたくさんいると思う。クラブとしての方向性を打ち出して、前進させていく手腕に関しては、今の水戸にとって適任だと思う。もちろん勝たないといけないけど、やっぱり勝っても負けてもアクションを起こしてもらいたい。柱谷監督はそこをトライし続けている。だから、応援したい。J1クラブライセンスを取得できるまでは今の姿勢を続けた方がいいと思う。
三輪:でも、今はJ3降格があるからね。
直井:そうか。でも、なんとか残留争いに巻き込まれないようにしながら、やってもらいたい。
坂部:来年、楽しみですよ。

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Ksスタに行けば、楽しめるという認識が増えてきた

佐藤:今年の平均観客数は4700人を超え、過去最高を記録しました。JFL時代から見てきた三輪さんは感慨深い思いがあるのでは?
三輪:メインスタンドにお客さんがたくさん入っているのを見るとグッとくるものがありますよ。
直井:それが年に1回とかではなく、何試合もある。そこに変化を感じる。
坂部:アウェイの試合もサポーターがたくさん来るようになった。それも大きな変化だと思いますね。
佐藤:今年、3千人以下の試合が1試合もなかった。天皇杯ですら、バックスタンドの盛り上がりはリーグ戦とあまり変わらなかった。
三輪:以前はバックスタンドにお客さん入れてなかったから。
直井:メインスタンドの端っこでサポーターは応援していた(笑)。
三輪:それと今年は何と言っても(本間)幸司の500試合出場。その現場に立ち会えたことが一番うれしかった。
佐藤:来年、鈴木隆行選手が抜け、さらに序盤戦はKsスタを使用できない状況でも、クラブとして数字を伸ばせれば、一気にグッといきそうな雰囲気がある気がします。
三輪:結果を出せれば、劇的に変わる雰囲気はある。
直井:Ksスタに行けば、楽しめるという認識が増えてきた。
坂部:娯楽の一つに考えられるようになってきた。
三輪:年間1試合しか来なかった人が2試合来るようになるだけでも大きな変化だと思う。そのための雰囲気作りをしていきたい。
坂部:いい循環に入っているのは間違いないですね。

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それぞれのベストゴールとベストゲーム

佐藤:最後にこれまでのベストゲームとベストゴールを選んでほしいのですが。
坂部:ベストゴールは09年第22節群馬戦の高崎寛之のスーパーロングシュート。ベストゲームは2012年第10節の湘南戦ですね。
直井:ベストゴールは03年第7節川崎戦の山崎理人のゴール。ハーフウェイラインちょっと前からシュートを打って入った。試合後、前田監督が「100回打って100回入らない」と言ったという(笑)、伝説のゴール。ベストゲームは08年第38節のアウェイ仙台戦。あと、一番感情が爆発したのが12年のユースのプリンスリーグ参入戦。誰にも言ってないけど、試合後に泣いたのは前田監督の最終戦とユースのその試合の2試合。あの時は感動したなぁ。
三輪:99年の天皇杯でブランメル仙台に勝利した時の横濱誠選手のゴール。記録的に横浜選手のゴールだけど、触らなくても入ってたと思う(笑)。ベストゲームでうれしかったのははじめて1万人が集まった10年第32節柏戦。どんな方法だろうと、とにかく1万人来たことがすべて。俺の中では感動的な試合だった。JFL時代から見てきて、1万人入る日が来ると思ってなかったから、うれしくて涙をこぼしましたね。一番悔しかったのは、前田監督の最終戦となったアウェイの07年第52節札幌戦ですね。
坂部:佐藤さんは何ですか?
佐藤:06年第27節湘南戦の眞行寺和彦選手のゴールかな。後半終了間際に同点に追い付かれたのですが、すぐさまキックオフをしてすぐにゴールを決めて勝利を手にした。劇的な決勝ゴール。あまりの速さにスカパーのカメラも追いつかなかった。あれは記者席で立ち上がりました。ベストゲームは前田監督のホーム最終戦の07年第51節C大阪戦。スタジアムの雰囲気を含めてグッとくるものがありました。それと震災後の11年第8節徳島戦ですかね。絶対に勝たないといけない試合で劇的な勝利。涙を流してしまいましたね。

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