デイリーホーリーホック

【特別寄稿】ボランティアグループ「Tifare」代表補佐・栗原賢二さんコラム「裏方魂21 好きな備品BEST5」(2015/2/5)※全文無料公開

『戦っているが、アイデアがない。何かをやろうとしなければ何も変わらない』
これは元日本代表監督イビチャ・オシム氏の言葉。

水戸ホーリーホックのスタジアム運営に当てはめてみると、私が初参加した2006年ごろはシステム全てが貧弱で、不満の絶えない現場でした。
当時は若かったので苛立ちやジレンマを態度に表す事も少なくありませんでしたが(苦笑)、
その一方で「愚痴ばかり言ってるの格好悪いよな」とも感じていました。自分も含め、何かを変えなくてはと。
じゃあ何がやれるのか?考えた結果、まず手近な備品の使い勝手を改善するのが確実で早い。そう思い至りました。

以下は長年にわたって工夫してきた備品のうち、個人的に愛着がある物ベスト5です。
クラブに言って用意してもらった物、言わなくても提供してくれた物、自腹でこっそり差し入れた物。
全ては快適なスタジアムのため。自腹を切る是非はありますが、地元の神社に灯篭を寄付するような感覚でした(笑)

【第5位】チケット半券入れ

写真1

もぎったチケット半券は当初、紙コップに入れて保管していました。
しかし「容量が少ない」「風に飛ばされて惨事」「何となくエコじゃない」理由から、専用の容器を準備。
100円ショップを巡って決めたポイントは、フタが立つ所。『もぎり神』Yさんも使いやすいと絶賛してくれました。

【第4位】日付スタンプ

サポーターズクラブ特典のチケットや回数券など、日付の入っていないチケットに押印。
数年前までは日付をマジック等で手書きしていたのですが、お客さんが増えて対応しきれなくなりスタンプへ。
メインスタンドに2000人来れば「今日忙しいな!」と嬉しい悲鳴を上げていた時代、もはや隔世の感がありますね。

【第3位】預かり札
主にゲート入口で、ベビーカーを預かる時に使用。輪ゴムで札をベビーカーにくくりつけ、同じ番号をお客さんへ手渡し。
紙の札やメモ帳をセロテープで貼っていた頃もあったけど、運用的に美しくないため導入。
他チームでボランティア研修した時に、手荷物預かり所で使っていたのを真似たんですよね。
変なプライドにこだわらず良い面はどんどん取り入れる、柔軟さが大切だなと。

【第2位】920(クニオ)号

写真2

撤収時に最も体力を使うのは、プラスチック柵の土台となるブロックを運搬する時。
従来は市販の手押し台車に積んでいて、重さに耐えられず車輪が折れるなどアクシデント頻発。
そこで彗星のように現れた、沼田社長手作りの920(クニオ)号!
およそ150kgの重量をものともしない、センターバックさながらの屈強さを誇ります。
ボランティアの現場も大切にしてくれる、社長の愛情がこもった逸品です。

【第1位】那珂川の石

写真3

マッチデープログラム等の「配布物が風で飛ばされる問題」は、海風の強いひたちなか開催をしていた頃に私達を悩ませました。
手近な所でガムテープを重しとしたけれど、在庫に左右されるうえビジュアル的にもちょっと悲しい。
どうしたものか・・・私は思案に暮れて、なぜかサガン鳥栖のベアスタへ向かいました(笑)。
そこでは配布物の上に大型のボルトナットが置かれ、無骨ながらも見事に機能を果たしている。

なるほど!無くて困る物は、どこかで調達すれば良いんだ。水戸に帰った私は那珂川の河原へ行き、形の良い石を拾い集めました。
単なる石では芸がないため、メタリック塗装でゴージャスな雰囲気も演出。
かれこれ5年使っていて、今でも不動のエースとして大活躍です。
たまに子供がこの石を指さし「これ、かっけー!」と言う時もあり、嬉しくなりますね。
「そうさ少年、機能性を備えるのが本当の格好良さなのだよ」・・・もちろんそんなガンダム的台詞は吐きません(笑)。

いかがでしたか?地味だけど、こういう積み重ねの一つひとつが『理想と現実の差』を埋めていくのだと。
ままならない現実に押しつぶされそうな時、皆さんも身近な所で何かやれないか探してみてください。
スタートは小さくても、突き詰めれば何かが劇的に変わるかもしれないから。

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