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【日日の風景】「あれから5年。『地域のために戦う』自分たちの使命を再確認」(2016/3/11)※無料記事

【写真 佐藤拓也】

【写真 佐藤拓也】

東日本大震災から5年目の3月11日の朝。ミーティングが終わり、選手たちはぞろぞろとグラウンドに姿を現しました。そして、練習開始前に西ヶ谷隆之監督はあらためて選手たちを集めて話をした後、スタッフ・選手全員で黙祷を行いました。

「当時、このチームにいた選手はほとんどいないけど、この日を忘れてはいけない。茨城県も被災地ですし、もう一度自分たちの立ち位置を見直すいい機会でもあります。こうやってサッカーができる喜びや当たり前のように普通の生活ができる喜びをあらためて噛み締めないといけない。僕たちだけじゃなく、Jリーグ全体的なことだと思いますが、鬼怒川の氾濫の時もそうでしたけど、僕らはプロチームとして、今自分たちができることをやっていかないといけないですし、勇気を与えないといけない。人生を含めてやっていこうということをトレーニングの前に話をしました」(西ヶ谷監督)

大きな被害をもたらした震災によってあらためて気づかされたこと。それは自分たちのためでなく、「地域のために戦う」ということでした。一人でも多くの人を勇気づけたい。その思いが力となり、ここまで歩んでくることができました。5年の歳月が経っても、その思いに変わりはありません。

当時水戸の地で震災を体験したのは選手では本間幸司選手と笠原昂史選手、ロメロ・フランク選手のみ。コーチングスタッフでは森直樹コーチと河野高宏GKコーチしかいません。それでもあの時に誓った思いはしっかりと受け継がれているのです。
何年経ってもあの日のことは忘れない。そして、自分たちの戦う意義を見失うこともない。多くの被害者に向けて哀悼の意を込めての黙祷であると同時に自分たちの使命を見つめ直すために行われた黙祷だったように感じました。

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