デイリーホーリーホック

【インタビュー】沼田邦郎社長「J1に昇格するよりも、J1にふさわしいクラブになることが先なんです①(アジア戦略編)」(2016/11/24)※無料記事

【写真 水戸ホーリーホック】

【写真 水戸ホーリーホック】

Q.2016年シーズンは水戸にとって大きな動きがある1年でした。まず、1つ目としてベトナムとの関係を中心としたアジア戦略がスタートしたことが挙げられると思います。
「そうですね。我々としまして、まず、ベトナムの若手の人気選手グエン・コンフォンを獲得するところからスタートしました。これまで茨城県を中心としていたマーケットからアジアへと経営の幅が広がることとなりました。ただ、アジア戦略については、私も含めて、戦略の進め方を模索しながら前に進んできたという感じです。なにせ初めての経験ですから、我々にノウハウがなかった。でも、1年かけて試行錯誤を繰り返しながらやっとスキームを作り上げることができたと実感しています。ただ、その中でも茨城県など地域のご支援をいただいたおかげで、ベトナム関係のスポンサーがついたり、ツアーの企画を行ったり、一定の成果を出すことができました。まだ大きな収益につなげるところまではいっていませんが、クラブとしての価値を高めることができたと思っています。なので、来シーズンはそれを落とし込んだ活動を行い、地域活性化につなげていきたいと考えています」

Q.ただ、現状では水戸のアジア戦略はコンフォン選手中心に動いていると言わざるを得ません。
「現状ではその通りですね。ですが、これからは水戸のメソッドというものをベトナムに落とし込むようなことをしたいなと思ってやっています。なにより水戸でやらなくてはいけないと思っているのは、2018年に完成する城里町のクラブハウスを将来的にはユースやジュニアユースなど若年層での国際交流の場にするということです。選手を受け入れて育成したり、チームに来てもらったりして、交流を深めていきたい。アジア戦略は決してコンフォンありきで進めているわけではありません。でも、そのきっかけを作ってくれたのはコンフォンであることに間違いありません。我々のマーケットがアジアに広がったことは大きなこと。今後はベトナムだけでなく、他の東南アジアの国とも連携を進めていきたいと思っています。でも、まだベトナムができてないのに、他を進めるわけにはいかないので、まずはベトナムを中心に進めていきたいと思っています」

Q.ちなみに来季以降もコンフォン選手と契約する意思は持っているのでしょうか?
「もちろん。来季はベトナムで大きな大会があるので、相手のクラブ(ホアンザライ)から戻してくれという話が来ているのは事実です。でも、我々は水戸で育てていきたいという思いを持っています。コンフォンは力のある選手ですが、日本のサッカーに慣れていない。来季も水戸でプレーすることが彼のためになると我々は考えています。たとえば、最近は練習後に筑波大学に行って体の使い方について指導してもらうなど、プレー面以外の強化にも積極的に取り組んでいます。今までの水戸での成果と今後の育成計画をまとめて、ホアンザライに提示して今後も我々のクラブで育てていきたい旨を伝えています。コンフォンがここでベトナムに戻ってしまったら、今年1年の意味がなくなってしまう。来年ウチでプレーすることで可能性が広がると思う。たとえば、(白井)永地が今季急激に成長しました。それも2年間のベースがあったからなんです。彼のためを思うと絶対に水戸に残るべきだし、水戸でやっていった方がいいと思っています」

Q.クラブとしても今季の経験を来年につなげないといけないですね。
「今年きっかけを作って、来年から柱にしていく作業になります。ただ、先ほどお話しましたように、コンフォンありきで考えるのではなく、我々の考えるアジア戦略は人材交流を中心に地域が潤うための活動です。その活動を広げていきたい」

【写真 水戸ホーリーホック】

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※中編(クラブハウス編)に続く。

※こちらの記事は「日本サッカー深読みマガジン Jウォッチャー 」より転載させていただきました。

(取材・構成 佐藤拓也)

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