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齋藤恵太選手「3月11日に行われた前節のような特別な思いを持って戦い続けることが、チームの力になり、地域に元気を与えていく」【コメント】※無料記事

【写真 佐藤拓也】

Q.前節は3月11日に行われ、次のホームゲームから3試合を「東日本大震災復興支援試合」と銘打ち、茨城県内の21の市町村の方々を無料で招待して行われます。齋藤選手は東日本大震災で宮城県の実家が津波に流されてしまうという被害に遭ったとお話を伺いました。それだけにこの「復興支援」について、強い思いを持っているのではないでしょうか。
「まず、前節に関しては、チームが一つになって戦った。そして、たくさんのサポーターがわざわざ遠くまで足を運んで応援してくれた。テレビで応援してくれたサポーターも含めて、みんなで特別な思いを持って戦うことができたと思っています。試合に出ているメンバーだけでなく、ベンチメンバー、水戸に残ったメンバー、チームスタッフ、フロントスタッフ、このクラブに関わるすべての人が『水戸に元気を与えたい』という気持ちがあったから、苦しい試合で勝つことができた。その気持ちがいい方向に向かったと思っています。千葉戦で引き分けて、連勝をすることはできなかったのですが、引き分けた後の試合はとても重要だった。その試合で勝てたことは大きい。しかも、僕たちにとって特別な試合で勝てたことは大きい。それも一つの目標に向かって取り組んだ成果だと思っています。次の試合からの『東日本大震災復興支援試合』に関しても、そういう思いを持って戦わないといけない。それが今後の水戸の力になっていくし、復興というか、地域に元気を与えることができるようになると思っています。それは水戸だけでなく、自分の地元だったり、選手それぞれの地元も同じだと思います。1人1人の頑張りが多くの人に元気を与える。そういう意識を持って戦うことが大事だと思いました。
個人的な話になりますが、讃岐戦前日の3月10日に祖母が亡くなったんですよ。なので、特別な思いを持って試合に臨みましたし、いい準備をしていました。自分は試合に出られなかったのですが、チームは勝つことができた。試合に出られなかった悔しい気持ちはありますが、僕らはチームで戦っているので、腐らずに前を向いて準備していきたいと思います。この3連戦は総力戦。チャンスは必ずやってくると思っています。なので、出番が回ってきた時にいろんな気持ちを持ってプレーしたいですね」

Q.地元や実家の生活はどのような状況ですか?
「震災前の状況に戻ることはできません。でも、生活することはできています。実家は農家だったのですが、畑がすべてダメになりました。イチからスタートするのは大変でした。そういった方が多いと思います。なので、自分が活躍することによって、実家や地元の方に元気を与えたいという思いは強いです」

Q.元々プロになったのもそういう思いがあったからという話を聞きました。
「その通りです。そこの気持ちは強いです。自分の活躍が何かのきっかけになってもらいたいと思っています。自分は東日本大震災だけでなく、熊本地震も経験しています。その経験を伝えていきたいという思いがあります。元々プロになりたいとは思っていましたが、震災という大きなきっかけがあり、より強く思うようになりました。それで、福島、熊本、水戸と被災したクラブでプレーしていることに対して、何かの縁というか、運命的なものだと感じています」

Q.東日本大震災を経て、考え方は変わりましたか?
「変わりました。いろんな悲しい現実を目の当たりにしました。今でも骨を探している人もいる。なので、今自分が生きている、サッカーができていることに感謝して、日々一生懸命過ごさないといけないと思っています」

Q.サッカーができる喜びを多くの方に伝えたいですね。
「人は忘れがちなんですよ。でも、そういうことって、絶対に忘れてはいけないんですよ。東日本大震災だけでなく、阪神大震災も熊本地震も忘れてはいけない。なので、この時期に振り返ることも必要なんだと感じています。そこで思い返した時の感情は常に持っておかないといけないと思っています」

Q.だからこそ、クラブが「東日本大震災復興支援」と銘打って試合を行うことも大事なんだと思います。
「すごく大事なことだと思います。人間には目に見えない力がありますから。だから、1人でも多くの人に戦う姿を見せたいという考えを持っています。サッカーは勝負も大事ですけど、それ以前に『サッカーって楽しいな』『いいチームだな』と思って帰ってもらうことが大事で、試合を見て元気になってもらわないといけない。そういう試合ができれば、必ず結果はついてくる。そういう試合を毎試合繰り返して行っていかないといけないと強く感じています」

Q.これから3連戦です。総力戦ですね。
「この3連戦でいい結果を出すことができれば、上位に食い込んでいくことができると思っています。それこそ、2位以内に入る可能性も出てくると思っています」

Q.そういう手ごたえを感じている?
「ありますね。試合に出ているメンバーが手ごたえを感じているのは当たり前だと思いますが、試合に出ていないメンバーも練習試合や練習で持ち味を出してアピールするということができている。チーム全体で『やってやろう!』という気持ちがある。それはすごく重要なことだとあらためて感じています」

Q.前節は途中出場の伊藤涼太郎選手と宮本拓弥選手が結果を出しました。「次は俺だ!」という思いも強いのでは?
「それはありますね。FW陣がみんな結果を出してくれる。それはチームにとって大きなこと。悔しい思いや葛藤もありますが、まずチームの結果が大事。僕はチャンスが来た時にチャンスを逃さないようにしたい。それを意識して日々取り組んでいます。練習試合に関しても、出た試合では必ずゴールを決めている。そこを自分の強みにしたいですし、監督も見てくれていると思う。このコンディションを維持しながら、試合に出た時にチームの力になりたいと思っています」

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