デイリーホーリーホック

開設7周年記念 記憶に残る記事を掲載④【練習レポート】「デルリスの命日」(2012/3/28)※無料記事

私自身、そしてデイリーホーリーホックとしても一発目の練習レポート。取材をする楽しさよりも緊張感の方が遥かに勝っていて、監督や選手へのインタビュー中は力みすぎて声が上ずってしまったり、足が震えてしまったり…。七転八倒のスタートでした。

米村優子

オフ明けの28日、ホーリーピッチで厳しい練習

オフ明けの今日28日は、久々にホーリーピッチで練習が行われました。雲の隙間から時々陽が射し、風も穏やか、気温も終止10℃前後と絶好のトレーニング日和。春を告げるオオイヌノフグリが咲き誇り、チームを応援するかのように、土手を水戸カラーと同じくブルーに染め上げていました。しかし、ピッチ上にはまだ春が訪れていない様子。所々に緑が見えるものの、ほとんど土がむき出しの状態です。一刻も早い環境の整備が望まれます。

ほぼ予定通り、午前9時過ぎに監督、選手らがピッチ入り。最初の約10分間、選手らは監督の言葉に緊張感を持って耳を傾けていました。2試合連続勝利のない現状にキャプテン本間幸司選手は、「悲観する訳でもなく、下がっている感じでもないです。みんな2、3日オフを貰って、リフレッシュして、自分のプレーだとかチームのこととか考えてくれただろうし。始まる前に哲さん(柱谷監督)の話を聞いて、またグッと色々な意味で、J1に向けてチャレンジしていくぞという気持ちになったと思う」。

そして、「ヨッシャ!行こう!」と気合の入った柱谷監督の声により、練習スタート! ランニング、柔軟体操後、恒例の200m×10本、300m×10本のスプリントとフィジカル中心の練習が行われました。マネージャーの高橋圭太さん曰く、「スプリントは、塩谷(司)のような身体の強い選手でも熱中症で倒れてしまう程、厳しいトレーニング」とのこと。J2リーグを戦い抜く水戸のスタミナは、このようなフィジカルトレーニングにより作り上げられているのですね。午後は、ホーリーピッチでの練習からジムトレーニングに変更となりました。

練習風景
【写真:米村優子】

2年前の3月28日

さて、水戸サポーターに悲報が駆け巡った、2年前の3月28日を覚えていますでしょうか? そう本日は、2005年2月~7月に水戸に加入していたデルリス選手の命日です。デルリス選手(本名デルリス・ハヴィエル・フロレンティン・ノゲラ)は1984年生まれ、パラグアイ出身。2005年2月~7月に水戸ホーリーホックに加入(期限付き移籍)。鋭いゴール嗅覚を持つデルリスは在籍わずか5カ月の間に17試合8得点を挙げ、「水戸史上最高のストライカー」の名をほしいままにしました。更なる活躍が期待される中、05年7月にJ2コンサドーレ札幌に移籍。札幌では力を発揮できずにシーズン終了後に日本を離れることとなってしまいました。その後も現役でプレーしていたデルリスでしたが、2010年3月28日にパラグアイ国内で交通事故により逝去されたのです。まだ26歳という若さでした。

本日、デルリス選手と公私共に盟友だったという本間幸司選手に、印象深いエピソードを語って貰いました。
「デルとは、すごく仲が良かった。もう2年経ったのか、まだ2年か……。よく一緒に食事に行ったり、酒飲んだり、いつも一緒にいたからね。すごく良い奴だったし、すごく好きなプレースタイルをする選手だったし、今でも友達。

当時は彼も若かったし、練習の時から負けん気が強くて、殴り合いのケンカとかしょっちゅうしてた。それでも絶対引かないし、ハングリーだった。でも一歩ピッチから離れれば、すごい可愛い奴。「Guns N’ Roses(ガンズ・アンド・ローゼス)」が大好きでね、俺も大好きだからその話で盛り上がったし、お酒も大好きだからテキーラを一緒にいっぱい飲んだ。お互い言葉が分からなくてコミュニケーションも上手く取れなくても、朝まで一緒に居られる仲だった。俺の家に何回も泊まった事もあるしね、彼の子供も抱いたことあるし。嫌な思い出は一つもないです。チームには半年ぐらいしか居なかったけど、(絆の深さは)過ごした年月じゃないと思うし。水戸に関わってくれた貴重な人で、心の中で強く残っている外国人選手の一人。

アイツが札幌に移籍してすぐ対戦した時、デルリスが先発で出て来て、札幌のビックチャンスで1対1の場面が来た時に、一瞬パッと目が合ったコンマ何秒という間が忘れられないね。結局、俺が止めてやったんですけど(笑)。
ホーリーホックが今こういう所にいると聞いたら、ビックリするんじゃないかな。今年、うちのチームが飛躍できるように、天国から見守って欲しいですね」

コメント

○柱谷哲二監督

良い天気で、暖かくて、良い練習が出来ました。ピッチの状態は良くないけど、走るには問題なかった。選手達は今日も前向きに一生懸命メニューをこなしてくれたと思います。

Q.練習開始前の10分間、選手にどんな事を伝えたのか?

メンタル面ですね。開幕5連勝するつもりだったから、この2試合は勿体無かった。戦術も出来上がっているし、守備の所もしっかりしている。しかし、入れる所を入れないとか、ちょっとした集中力のなさで相手にリズムをあげてしまったり、自分達のリズムを壊してしまった。では、何故連勝出来なかったのか。やっぱり自分達に原因があるんじゃないのか。本気でJ1を目指すチームがこういう所で緩めたり、集中力のないゲームをしているというのは、一回はあっても二回、三回はない。それを改めないとJ1には行けない。もう一度確認しよう。「J1に行けたら」じゃなくて、「絶対に行くんだ」という気持ちで今後固まっていこう、という話でスタートしました。

Q.大宮とのトレーニングマッチでは、吉原宏太選手が復帰しました。

僕は用事があって行けなかったけれど、コーチ陣から良い評価をされていた。坂井洋平、岡田佑樹、金久保彩を含め、全体的にも良かったと聞いている。今週しっかり見極めたいと思います。良い選手は使っていきたいと思っているんでね。

○吉原宏太選手

Q.トレーニングマッチでの復帰戦、1ゴールを獲得しましたね。

こぼれてきたボールだったので、全然難しいゴールではなかったです。復帰できるかどうかの試合で得点できたので良かった。まぁ良かったなぁ。コンディションはまだですけど、問題は怪我の方なので、それが良くなって来ているので、やっと手応えが出来てきた。もうすぐ復帰できると思います。

○代健司選手

Q.トレーニングマッチでは2本両方出場。手応えはいかがでしたか?

まずはJ1のチームに勝てて良かったです。ここ2試合、トップチームが勝てていなかったので、サブが結果やパフォーマンスで共通意識が上がっていければトップももっと良くなると思います。J2リーグ戦では、今はベンチにも入れてない状態なので、出られるようにしていかなくてはならないですね。

Q.試合に絡むためには、自分自身に何が必要だと考えているのか?

ハングリー精神でもっとガツガツ行く所が自分の持ち味。チームとしてJ1昇格が目標なので、メンタルの部分で負けては行けないと思うので、気持ちを全面に出していきたいです。

Q.昨日3月27日は23歳の誕生日でしたね。おめでとうございます。

ありがとうございます。まずはスタメンで出られるよう、自分もJ1の舞台で戦いたいという気持ちがもちろんあるので、それに向けて精一杯頑張りたいなと思います。一個人としては、自分らしく、日々楽しく過ごせていければと思っています。昨日、車の免許が取れたんですよ! 昨年の10月から通っていたので、ようやく取れて嬉しいです。今後車を買ってドライブなど楽しみたいです。

(レポート=米村優子)

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