デイリーホーリーホック

「『#1万人でGOJ1』に込める思い」【コラム】※無料記事

【写真 水戸ホーリーホック】

「今日のこと、書いてくださいね」
9月11日の監督囲み取材後、そう声をかけてきたのは広報の加藤健一だった。その日、長谷部茂利監督は集客問題に言及。そして、「今のままならば、J1行かない方がいい」とまで言い切った。

それを記者陣の横で聞いていた加藤はクラブフロント陣への痛烈なメッセージと受け止めた。もう一度、フロントスタッフが自分たちを見つめ返す機会にするために、記事を書くように背中を押してきたのだった。
「監督に期待に応えられていないということは気づいていたのですが、やはりああやって言われると、監督も気にしていたんだなと。ハッと思わされました」

「長谷部茂利監督が指摘するJ1昇格への懸念材料。『今のままの集客ならば、J1に行かない方がいい』」【コラム】

観客動員が増えないことを気に留めていないわけではなかった。そして、努力もしてきたつもりだった。昨季までは「チームが結果を出さないとこれ以上増えないのではないか」と考えてしまうこともあったという。しかし、こうしてチームが結果を出しても増えない現状に、自分たちの努力不足や別の方法へのトライの必要性を感じていたという。そこで今回の発言があり、「フロントも変わらなきゃいけない」と再確認させられたと加藤は話す。

「今のところ過去最高の観客数を記録しているものの、監督が言うようにJ1昇格争いを繰り広げている状況を考えると少ないと思います。スタジアムのアクセスの問題も原因としてあるかもしれない。でも、言い訳をしていたら、何も変わらない」
そこで生み出したのが「#1万人でGOJ1」というSNS上のハッシュタグであった。「ハッシュタグをつけたぐらいで何かがいきなり変わるわけではないと思います。でも、実際に監督の口から出た言葉を聞いた僕が感じた思いがクラブ全体に広がればと思って」と加藤は思いの丈を述べた。

観客動員数は過去最高を記録し、入場料収入も昨年度より上回ることが予想されている。過去と比べれば、確実に進化していることは間違いない。ただ、そこに甘んじるわけにはいかない。見据える先は次なるステージ。そこに向けてクラブ一丸となって、さらに進化していかなければならない。「#1万人でGOJ1」にはその強い意志が込められている。

「1万人の観客を集めて、長谷部監督を見返したい気持ちもありますね」
加藤は微笑を浮かべながらも、真剣なまなざしでそう口にした。
リーグ最終盤へ、クラブの意地がチームを後押しする。

(佐藤拓也)

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