デイリーホーリーホック

「『新スタジアム建設構想』『社内体制』記者会見 沼田邦郎社長コメント全文」【ニュース】

【写真 佐藤拓也】

沼田邦郎社長
「あらためまして、みなさん、こんにちは。水戸ホーリーホックの代表を務める沼田です。本日は緊急記者会見を開催し、新スタジアム建設の構想について、そして社内体制についてご説明させていただきます。

その前に、弊社は日ごろから、みなさまには大変ご支援をいただき、なんとか今年25周年を迎えることができました。その節目の年に我々はいろいろなことをさせていただきました。その中の一つとして、今日の発表がありますが、なんといってもチームの今シーズンの戦いぶりですね。現在8位という史上最高の好成績を残しながら、J1昇格の望みをつないで24日の最終節を迎えます。それが我々の立ち位置でございます。24日の岡山戦は必ず勝利して、J1に向かって進められるようにしたいと思っています。引き続き応援をよろしくお願いします。

そして、今年もすでに11月ということで、残り1試合でレギュラーシーズンが終わります。本当にみなさまにお世話になりました。ただ、今年は本当にいろんなことがございました。それも25周年を迎え、さらなる一歩を踏み出すということで今日の会見を開催させていただきたいと思います。

まず、スタジアム建設構想について話をさせていただきます。2008年4月8日に私はクラブの代表に就任させていただきました。その時から紆余曲折がありながら、東日本大震災などもありながらも、ステークホルダーのみなさまに支えながらなんとかクラブを立て直してきました。そして今シーズン、25周年を迎えるにあたって、我々はJ1クラブライセンスを取得させていただくこととなりました。しかし、ケーズデンキスタジアム水戸ではJ1クラブライセンスを取得することはできません。そして、城里町のアツマーレですね。上遠野町長の英断により、昨年練習場とクラブハウスができたことによってJ1への加速がつきました。J1昇格した際には笠松運動公園陸上競技場を利用させていただくという変則的な形でJ1クラブライセンスを取得させていただきました。

とはいっても、今後の水戸ホーリーホックを見据えた際、今季は好成績をおさめてはいるものの、今後このまま戦っていけるのかというところがあります。J2の平均年間収入は15億円です。我々の昨年の年間収入は6億2千万円です。J1・J2クラブの中で一番低い予算です。この状態が今後続けば、厳しい戦いを強いられることとなります。J3に降格してもおかしくない資金力です。今年は長谷部監督のもと好成績を残していますが、このまま続けていくためにも収益を伸ばさなければいけません。

では、どうやって収益を伸ばすかということを考えたときに一丁目一番地にあるのがスタジアムであると。10年後、20年後を見据えた時、サッカー専用スタジアムを自前で持つことが必要になると考えました。Jリーグが掲げる理想のスタジアムは、利便性がいいこと、環境設備が整っていること、そしてフットボールスタジアムであるということ。それを踏まえて、我々はサッカー専用スタジアムを作りたいと考えました。なるべく早く15億円、20億円という予算規模に到達するためにも、スタジアム建設構想を進めていかなければならないというのがクラブの実情であります。

なぜフットボールスタジアムを作るのかというと、茨城県全体で人口減少と過疎化が進んでおります。その中で水戸を中心とした町づくりを念頭に置いた活動をして、その流れを食い止めたいと考えています。我々水戸ホーリーホックは年間21試合を行いますが、スタジアムができることによって我々が集める集客を含めて、観光や文化を根付かせていきたい。今回発表するのは365日稼働する複合型スタジアムです。複合型として教育施設や福祉施設、防災拠点、備蓄倉庫といった地域の課題を解決するようなスタジアムを目指していきたいと思っております。

加えて、水戸の地で新たな産業を興したい。東京から近いという地域性を生かしながら、多くの人が働ける場を作っていきたいと思っています。我々が興すことは産業であり、人口増加や観光客増加につながるようなことをさせていただければと思っております。

また、アカデミー拠点も作りたいと考えています。我々はジュニア、ジュニアユース、ユースのチームを抱えております。その拠点となる場を水戸で作っていきたいと考えています。

さらには、教育の場や福祉の場だけでなく、学校というものも作りたい。ただの学校ではなく、スポーツに特化した学校、もしくは子供から大人まで通えるようなビジネス系の学校。今は抽象的な話しかできませんが、そういった学校も作っていきたいと考えています。

そして、水戸ホーリーホックのスタジアムに関しては、新たな産業を生むために、民営民設でやらさせていただきたいと思っています。いろんな活動があると思います。行政のみなさま方にもいろんな形でお世話になると思っています。ただ、スタジアムに関しては民設民営でやっていきたいと考えています。

私は2008年から代表を務めさせていただいていますが、今までいろんな方にスタジアム構想についてお話をさせていただきました。そして、話し合いもさせていただきました。スタジアム構想の中でもどうすれば民間でできるかということも議論させていただきました。いろんな話の中で、いろんな企業の方がぜひ私たちと一緒にやりたいと賛同いただいていることは事実でございます。我々は施主側となりますが、我々と組んでいただける設計施工側、そしてファイナンス側でいろんな方がいろんなことを考えていただいています。そうやっていろんな方が集まってきているのは事実です。なので、そういった方々が後押ししてくれるのが確実となっている実情によって、民設民営で進めていこうということとなりました。もちろん、これから多くのハードルがあります。一朝一夕にはいきません。でも、それを実現するために、我々は夢を語っていきたいと思っています。

民営民設と言いましたが、これからも自治体のみなさま、行政のみなさま、ケーズデンキスタジアム水戸を使わせていただいている水戸市のみなさま、J1に昇格した場合、笠松運動公園陸上競技場を使わせていただける茨城県のみなさまには引き続きご支援をいただきながらやっていきたいと思っています。そして、一番大事なことは地域を置き去りにしないということです。我々水戸ホーリーホックは今まで地域に根差した活動を続けてきました。なので、これからも地域に根差した活動と運営をさせていただきながら、地域のみなさまとともに歩んでいきたいと思っております。私も55年水戸市に住ませていただいておりますが、水戸の変わりようについて、これからの夢について、水戸ホーリーホックが引っ張っていけるようになっていくと思います。そのためにも新たなスタジアム構想が必要だと私は考えています。いろんな人を巻き込んで、いろんな産業を興していく。それが一番大事だと考えています。新スタジアム建設構想に関しては、そういう形で進めていきたいと思っております。

それからもう一点ございます。社内体制についてですが、繰り返しになりますが、2008年に私は代表に就任しました。その中でみなさんに様々な形でご協力いただいて立て直しを進めさせていただきました。一昨年から県内外からいろんなスタッフが入ってきました。本当に優秀なスタッフが入ってきています。それは水戸ホーリーホックを何とかしたい、水戸の町で一緒に戦いたいという仲間でございます。その仲間たちがどんどん力をつけております。そして今、融合して一体感を作り出せるようになりました。それが今の成績につながり、さらに今後業績は伸びていくと思われます。なので、ここで私はバトンタッチできればと思っております。まだ時期等については確定していません。ただ、私はスタジアム構想と町づくりに専念していきたいと思っております。すごく壮大なビジョンだと思います。なので、私は一つ上の立場で進めさせていただきたいと思っています。今私がやっていることに関しては、後任にバトンタッチしたいと思います。後任についてはまだ決まっておりません。今後早い時期にそういう形にして、私は水戸のため、そして茨城県のために全力を尽くしていくことをここで発表したいと思います。私の人生をかけるつもりで、水戸ホーリーホックを世界のホーリーホックにする。そのためにまい進していきたいと思っております」

(C)MITO HOLLYHOCK

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