デイリーホーリーホック

「[HOLY SPONSORS]第37回・株式会社アプリシエイト『クラブと共鳴しながら、茨城、水戸から世界へ』」【HHレポート】※無料記事

【写真 米村優子】

水戸ホーリーホックを支えてくれるスポンサーさんにお話を聞く企画「HOLY SPONSORS」。第37回目にレポートさせていただいたのは、シルバーパートナーとしてe スポーツチームの運営に関するアライアンス契約を締結した「株式会社アプリシエイト」です。どのような思いを抱いて水戸のスポンサーとなり、その活動を続けているのか、株式会社アプリシエイト・和田幸哉代表取締役にインタビューした模様をお伝えします。

シルバーパートナー
株式会社アプリシエイト 代表取締役 和田幸哉さん

「サッカーを通じて地域貢献をしたい」。沼田社長の熱い想いを支援

私達は2011年、日立市で創業したITサービスを提供する会社で、2018年7月に水戸市へ進出した際は、システム開発、プロダクト事業、ITコンサルティング事業などを展開しておりました。。
本社を移転した場所が、たまたま、東日本大震災復興特別区域法に該当しており、税金の優遇を受けられる場所でした。そのため、社員と地域に還元しよう思いました。
その資金をもとに、社内で部活動を発足しようという話をした際に、若手社員が「eスポーツをやりたい」と提案がありました。当時、「eスポーツって、ゲームでしょ?」という認識しかありませんでしたが、気になって調べたところ、eスポーツは沢山の可能性を秘めていることが分かり見方が変わりました。そのころ、会社の窓から駅ビルを眺めていた時、「eスポーツの模様をビルに照射したら面白いかのではないか?」「もしかしたらそれは地域に貢献できるのではないか?」とふと思い付きました。
本来は納税すべきお金が戻ってきている訳ですし、地域を盛り上げたいな、やってみたいという想いが強まっていったのです。

それで、中学時代の同級生であるシンガーソングライターのマシコタツロウに「eスポーツのイベントを開催したい」と相談した所、早速イベント会社を紹介してくれました。
すぐに相談してみたら、イベント会社の協力もあり、予算の範囲でeスポーツ大会が出来るというのです。
それから、茨城県の幹部の方にその旨をご提案したところ、茨城国体のeスポーツ担当の方に興味を持って頂きました。
昨年はちょうど国体の文化プログラムで「eスポーツ選手権」を開催するタイミング。
ビルに照射するのであれば、その地区予選を担当してくれませんか。とのご提案をいただき喜んでお受けしました。
eスポーツで地域を盛り上げたい、地域を元気にしたい。ウィニングイレブンはサッカーのゲーム。水戸でサッカーと言えば、水戸ホーリーホック。
そんな流れで一度、沼田邦郎社長とお会いしたいと思いまして、親交のある日立市サッカー協会の会長を通じて紹介していただいたのです。
そして沼田社長とお話をしている中で、中高校時代の同級生であり、友人の鈴木郁恵さん(総務・経理統括、経営企画室兼務)が水戸ホーリーホックのフロントにいることが分かりました。
それで距離が一気に縮まりましたが、沼田社長は当初、「リアルとバーチャルのサッカーは全然違う。上手くいかないのでは?」と難色を示していました。
しかし、水戸を元気にしたい気持ちは同じだったので、キッズ&ジュニアのチアリーディングスクール「Mito Holy Kids」が水戸地区予選大会のイベントに参加していただくことになりました。水戸地区予選大会は水戸黄門まつり中に実施され、水戸駅南口のビルでのプロジェクションマッピングには大勢の観客が詰めかけ、成功を収めることができました。

自分の子供がサッカーをやっているので競技自体に興味はあったのですが、プロサッカーに対してあまり興味はありませんでした。
しかし、eスポーツ大会を通じてホーリーホックと繋がり、「サッカーを通じて地域貢献をしたい」という沼田社長の熱い想いに胸を打たれました。
ホーリーホックやサッカーというよりも、沼田社長に心を動かされたのです。
沼田社長を応援したい一心で、当社も昨年9月、ブロンズパートナーの契約を結びました。

Jクラブ初の試み!一般公募でeスポーツ選手を選出

弊社は昨年11月、eスポーツ産業の創造を目指す「いばらきeスポーツ産業創造プロジェクト事業」を茨城県から委託しました。
その事業の一環として、水戸でeスポーツイベントを計画していた所、ある他県のJクラブのeスポーツチームから参加依頼がありました。
水戸のeスポーツイベントに地元ではなく、他県のJクラブのチームが出場する。それに対して少々腑に落ちない点があったので、沼田社長に相談しました。
すると「是非、一緒にeスポーツをやっていきましょう!」とGOサインが出たのです。
そういった経緯もあり、シルバーパートナーとなり、eスポーツに関するアライアンス契約を締結することになりました。

全くジャンルが違うサッカーとeスポーツ。それが連動すれば、点が線になる。
今まで何のスポーツでも、それぞれが点でしか動いていないと感じていましたが、茨城県の水戸市から点が線、線が面、面が主流になっていく。
その第一歩として、サッカーとeスポーツが一緒になってやっていくのは素晴らしい。
沼田社長のサッカーだけに留まらない視点の広さ、我々のような小さな会社と一緒になってやってくださる器の広さに感謝しています。

昨年の茨城国体のウィニングイレブンで優勝、準優勝したのは茨城県のチーム。
一部のプロ選手がおりましたが、その他はアマチュアの選手で結成されたチームが1位、2位を独占しました。
茨城はeスポーツのポテンシャルを持っている。それは茨城県民にとって誇れることです。
他のJクラブでもeスポーツ選手と契約する流れはありますが、どこもプロゲーマーを引き抜いている。
しかし水戸ホーリーホックは完全に公平、平等な一般公募。茨城県内に在住、在勤、在学している方ならば誰にでもチャンスがある。
毎年のように入れ替え戦をやりますし、これはJ形式であり、他のJクラブにはない全国初の試みです。水戸ホーリーホックのカラーとマッチしているやり方で、すごく斬新で素晴らしい。新型コロナの影響で大会が延期となっておりますが、大勢の皆様の参加をお待ちしております。

国体、東京五輪関連イベント、世界でPR

大会で2人の選手を選んだ後は、まずは鹿児島国体で代表となって出場するのが目標です。
茨城県代表になって水戸ホーリーホックのユニフォームをまとって出場し全国制覇する。水戸ホーリーホックを広めて、そしてファンを獲得する。
その他、アジア大会では茨城国体優勝メンバの方が優勝されていますし、いずれはアジア大会への出場も視野に入れながら、世界を舞台に戦ってもらいたいです。
このような展開を試みて、水戸ホーリーホック、茨城県のブランド向上に繋げ、地域創生の一つの起爆剤にしたいと考えています。

eスポーツ選手、ファンがリアルのサッカーを観に行く流れも作りたいですし、ホーム戦で遊技台を設置して、お試しのミニ大会を開いたりして、双方のファン層を増やしたいですね。
eスポーツの一つの特徴は、障害を持った方、国籍、年令を問わず平等に出来るスポーツであること。
もちろんゲーム依存症などのネガティブな面もありますが、しっかりルール化すれば競技の一つになる可能性は非常に高いと思います。

大好きな茨城への感謝と恩返しを

「がんばっぺ、やってやっぺ、水戸ホーリーホック!コロナになんか絶対負けねーぞ!
故郷を愛する、茨城を愛する、そして水戸ホーリーホックを愛する皆様と共に
水戸から『J1』そして『世界』へ!
夢は見るものでなく叶えるためにある!
皆さんと共に応援させてください。」

新型コロナの影響でJリーガー、イベント会社の皆さん、その他沢山の方が不安でいるなか、何か伝えられないか?と思いました。プレスリリースでこの言葉を発信させていただきました。
今みんなが求めているのは、「一緒に頑張っていこう」という気持ちだと思ったからです。

実は私、30歳の時に色んな事がありまして、死を覚悟しました。
自信が過信になって、奢りが出て傲慢になって、ドーンと落ちて…。しかしどん底の中で、実業家の稲盛和夫さんの「生き方」などの名著に出合い、「自分が生かされている」と気付いたのです。
それで社名を「アプリシエイト」、つまり「感謝する」という名にしました。

私は常陸太田市出身で、小学校時代は同級生が23人、それがずっと6年間続き、全校生徒も123人の木造の校舎で過ごしました。
遊びは川遊びや釣り、ゲーム、挨拶しないと近所の人に怒られる。そんな、のどかな田舎です。みんな就職でいなくなってしまうのですが、私はそんな地元を単純に愛していて、ずっと根付いて暮らしていました。
しかし、私の年齢ぐらいになると親の介護で帰郷する話が出てくる。
「帰りたいけれども、地元に就職先がない」「戻ってきたとしても年収が都内にいるときの半分になってしまう」というマイナスな話ばかりが聞こえてくるのです。
ならば、自分でどこまできるかわからないが、会社を創り、雇用を創り、戻ってくる環境を創ろう。私と同じ世代、若い世代のためにも、大好きな茨城を盛り上げたい、恩返しをしたい。それが起業した理由の一つで、未だに強く感じている部分です。

私の経営は「昭和のようだ」とよく言われます。昔ながらの大家族主義で、人情味あふれる経営です。
困っている人がいたら、助けたい。
当社が様々な事業を展開しているのも、お客様の一つひとつのニーズに応えていった結果です。

J1から世界へ。水戸から世界へ。

今季は大分、秋葉忠宏新監督の元、チームも入れ替わりましたが、一番重要なのはベクトルを合わせることではないかと思います。それぞれの人の力の方向(ベクトル)がそろわなければ力は分散してしまい、組織全体としては力とはなりません。組織である以上、方向性をあわせなければ企業でも学校の部活でもなんでも言えるのではないかと思います。
そして、水戸ホーリーホックはJ1に必ず行けると確信しています。
J1に定着して、鹿島アントラーズと優勝争いをして、水戸ホーリーホックが優勝する。
クラブワールドカップで、水戸ホーリーホックが世界で活躍する。
やるなら世界一を目指してもらいたいと思います。強烈な思いを抱きつづければ世界に通用するチームに絶対になれるはずです。

私はよく社員に言うのですが、「エベレストを目指している人は、富士山は簡単に登れる。でも富士山を目標にしている人はなかなか富士山に登れない」と。
世界一を目指すのであれば、必ず日本一にはなれる。
我々も世界一の会社を目指せば、必ず日本一の会社になれる。
ただそのためには装備、覚悟が必要ですと。装備とは考え方、覚悟は絶対登ると決めること。そのためには犠牲を払う。私からは絶対手は離さない。共に歩いていきましょう。強烈な思いをもって行動すれば、絶対に出来ると信じています。

J1から世界へ。水戸から世界へ。

そんな水戸ホーリーホックと“共鳴共創共栄”していきたいです。

「水戸ホーリーホックeスポーツチャレンジカップ」の優勝トロフィー

株式会社アプリシエイト
東京都台東区上野・茨城県水戸市・群馬県太田市を拠点にソフトウェア開発事業、プロダクト事業などIT関連事業を展開するIT企業。
https://www.all-appreciate.com/

(米村優子)

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