「選手の安全を最優先に、クラブ独自の厳格な基準で対応。アカデミーの新型コロナ感染予防対策」【育成NOW】※無料記事
トップチームと同様に、新型コロナウィルスの多大な影響を受けている水戸ホーリーホックアカデミー。
2月末から半月以上の休止を経て、3月17日からユース、ジュニアユース、スクール、3月20日からジュニアが順次、練習を再開しました。
刻一刻と状況が変化する中、どのような感染予防対策や拡散防止のために対応しているのか現状を取材しました。
取材当日となった3月27日は、アカデミー再開からちょうど10日目。
アカデミー全カテゴリーのトレーニングは現在も任意参加となっており、参加する場合は保護者の同意書、練習毎の健康状態チェックシートの提出が義務となっています。
これまで2人に発熱の症状が出ましたが、両選手ともに一日で軽快。数人が保護者の意向で未参加ですが、ほぼ全員がトレーニングに復帰しています。
学生の選手らは春休みの真っ只中。午前中からホーリーピッチでは懸命にトレーニングを実施する選手らの姿がありました。
練習前、選手はホーリーピッチ近くの選手寮でうがい、手洗いをした後、換気の良い室外でトレーニングウェアを着用。
そしてピッチに入る前はアルコール消毒をすると共に、アカデミートレーナーの遠藤祐樹さんに健康状態チェックシートを提出していました。
健康状態チェックシートには行動記録、検温結果、確認印の欄があり、全てが埋まっていなければトレーニングは不可となります。
練習日の検温は起床直後、練習時間の1時間前に実施し、Jリーグの規約では37.5度以上であれば活動禁止となっていますが、水戸は37度に設定。オフの日も行動記録の記入、朝の検温は必須です。
練習は免疫力を下げないような負荷の少ない内容となり、時間も必ず90分以内に終了。荒天時は中止となります。
ミーティング時は立ち位置の間隔を開けたり、手を繋ぐようなメニューをなくしたり、接触を極力避ける内容に。
練習以外も不要不急の外出を避けることを重ねて伝え、特に水戸ユースの半数は寮生活のため、食堂に入る時は必ずアルコール消毒し、部屋になるべく複数人で集まらず、部屋の行き来もなくし、換気もこまめにすることを徹底。
もちろんアカデミースタッフも全員同様の感染予防対策を講じ、クラブ独自の厳格な基準によって対応しています。
遠藤トレーナーは「アカデミーに一人でも感染者が出たら、トップチームに影響が出てしまいますので、水戸独自の厳しいルールを設けて、可能な限り、感染予防対策をやっています。チェックシートの内容も万が一の場合に備えて、全てデータ管理しています。アカデミーの選手らは学校が急遽休校となり、特にジュニアユース以下の選手は自宅にこもっていた子が多く、少々ストレスを感じているような状況でした。今は大分、解消され、休止前の状態に戻ったように思えます」と現状について語っていました。
アカデミーダイレクターの樹森大介ユース監督は「明日、明後日で一転するかもしれない状況。一番大事なのは、選手の安全。そこを最優先に考えています」と危機感を強めています。
Jクラブでは全アカデミーダイレクターが各クラブの対策方法、現状の報告など、毎日情報交換をしながら、この難局に対応しながらトレーニングを継続しています。
「水戸はJアカデミーの中では練習再開が割合早く、Jリーグのプロトコル(規約)が出来る前にスタートしましたので、先手を取って厳しくルールを設けることにしました。いつか水戸にも新型コロナウィルスが来るかもしれませんし、どうなるか分からない不安定な状況です。練習自体をやらないのが一番簡単な対策なのでしょうけれども、出来る限り安全な形でトレーニングを続けられればと思います」と今後の方針を述べていました。
Jリーグが5月上旬まで延期されたことに伴い、アカデミーの試合、練習試合も5月まで全て延期や中止。
そして3月30日、Jリーガーに新型コロナウィルスの感染が初めて確認され、Jリーグ全体でさらなる感染症拡大阻止に向けた対策が講じられそうなムードが高まっています。
社会全体が予断を許さない状況が続いていますが、アカデミーの選手も感染者ゼロで試合再開の日を迎えることを願うばかりです。
(米村優子)