デイリーホーリーホック

「コロナ禍でもグッズ売り上げ前年超え間近! 水戸のグッズが売れる理由について、グッズ担当者に聞きました(後編)」【HHレポート】※無料記事

グッズ担当の古屋恭平さん(写真左)と織田淳一朗さん(写真右)

コロナ禍でも水戸のグッズは好調な売り上げを記録していることが前編で分かりました。
後編では、グッズを作る際に意識していることや大変なことなどについて話を伺いました。

タウンユースグッズについては反応を見ている段階

Q.グッズを作る際のこだわりは?
織田「デザインはかなりこだわっていて、業者さんとかなり細かく打ち合わせをさせてもらっています。たとえば、PRIDE OF MITOユニフォームと連動したグッズを限定販売した際には、色合い、エンブレムの大きさや紋様の入れ方など、かなり細かく詰めて決めました。あとはやはり価格です。みなさんにご購入しやすい価格で販売したいと考えているので、そこもいろいろ考えながら決めています。あと、今年のガールズ&パンツァーのユニフォームは、全キャラクターバージョンを作ったんです。今までずっと『あんこうマーク』だけだったので、今年は『痛車』ならぬ『痛ユニ』で攻めようとしました。その結果、かなりの好反響をいただきまして、昨年の倍以上の売り上げを記録しています」
古屋「あと、ずっとオーセンティックモデルで販売していたのですが、今年は着用しやすいようにレプリカモデルにして、販売価格を下げたことがよかったのかもしれませんね。中には複数枚購入いただいた方もいるようです」
織田「全種類購入していただいた方もいるみたいですよ。本当にありがたいです」

Q.男性2人体制だと、女性向けの商品の開発が難しいのでは?
織田「女性スタッフに意見を聞いていますが、結構ダメ出しをされますね(笑)。厳しいです」
古屋「彼女たちの指摘をすべて受け入れていると販売価格がどんどん高くなってしまう(笑)。でも、そういう意見を生かしながら開発をしている商品もあります。ありがたいですよ」

Q.売れる商品、売れない商品の傾向は見えてきましたか?
古屋「マスクに関しては5月に初めて販売したのですが、商品化するまでに2人でも『作るべきか、どうするか』と悩んでいたんですよ。応援グッズではないですし、このコロナ禍の中でこういった商品をグッズとして販売していいのか。さらに言えば、初めての商品なので売れるかどうかもわからない。そこで、Jリーグのスタッフやオンラインの担当である楽天のスタッフさんに相談しながら、他クラブの販売状況を情報収集して、在庫を抱えない受注生産で販売できるルートが見つかったので、商品化することにしました。第1弾で4種類のマスクを販売したら、想像をはるかに超えるほどたくさん購入いただきました。そこでわかったのは、日常生活に欠かせない商品で水戸ホーリーホックオリジナルデザインとなれば、ニーズがあるということでした。それからはデザインや形状を変えながら、第2弾、第3弾と販売を続けていますが、とても好評でした。現在は第4弾を企画しています」
織田「ビックリでしたね。自信を持っていたわけではなかっただけに驚きました。あとはカーグッズも売れますね」
古屋「やはり茨城県は車社会なので、そういう需要があることも分かりました。そういったサポーターの生活スタイルを理解することも大事だと思っています」

Q.タウンユースのグッズについて、どのように考えていますか? 最近はプライベートブランドを立ち上げるクラブもあります。
古屋「プライベートブランドについては、これからどういう広がりを見せるのか、気にはしています」
織田「僕らも議論はしています。タウンユースのグッズはこれから力を入れていかないといけないと思っています。ただ、ファンの方はクラブのグッズだと分かった方がいいのかもしれませんし、プライベートブランドにどれだけ需要があるのかも今はまだ分からない状況。なので、現在はタウンユース用のアパレルTシャツとかパーカーを販売して、反応を見させてもらっています」
古屋「まったくホーリーホックが感じられないものを作るのは面白くないかもしれない。でも、それをきっかけにホーリーホックを知ってもらえる可能性があるのかなという考えもあります。まずは今回、オフィシャルパートナー契約を結んでいる『niko and …』さんとコラボレーションをしたグッズを作りました。そうやって現状のお客さんに満足していただける商品を作りながら、徐々に新たな人たちに引っかかる商品を作りだしていけるようにしたいなと思っています」

Q.タウンユース系グッズの反応はどうですか?
織田「悪くないですよ。パーカーは完売しましたし、スタジアムの写真と『NOSA CASA』という文字を入れたTシャツも瀧澤選手の『黄門ポーズ』ロゴ入りTシャツも反応はよかったです。デザインも大事ですが、意外と難しいのはサイズ展開。Sサイズがあまり売れない。Jリーグの観戦者は40代が多いので、その年代の方に合ったサイズが売れる傾向にあります。そこは課題でもありますね」

【写真 佐藤拓也】

もう少し背景を伝えるようになりたい

Q.他クラブのグッズは気になる?
織田「チェックはしています。いいものは採り入れるようにしています」
古屋「予算の大きいJ1クラブが販売しているグッズを水戸でも作れるようにしたいなと日々考えていますね。たとえば、折り畳みコンテナに関しては某J1クラブで販売していたのですが、水戸でもオリジナルデザインで販売したところ、結構売れました。あの商品以来、これまでやったことがない商品だったり、J1クラブで販売している商品を、条件が合うなら、やってみようと思うようになりました。中には、作りすぎた商品もありますが、新しいトライをしたうえで反応を見ることが大事だと思っていますし、そこで出たデータが次につながる。そこが面白いですよ」

Q.グッズを開発する時の難しさは?
古屋「担当者レベルで作りたいものってあるのですが、やはりお客さんのニーズを考えないといけません。実際、売れるかどうかは、売り出してみないと分からないところもあって、そこが面白さでもあるのですが、できる限り在庫を抱えたくないという切実な問題もあるので、慎重な判断が求められますね。業者側も多めの生産数を勧めてくる中、冷静に判断して決めないといけない。でも、生産数が少ないと販売価格が上がってしまう。そこの判断の難しさと日々戦っています」
織田「今年は特にコロナ禍でスタジアムに来ていただける方が限られているので、新規のお客様が少ないと感じています。その中でグッズを売るためにどうするかを毎週話しています。この状況下でも会場に来ていただいた方にはお買い物を楽しんでもらいたいので、毎回新しい商品を用意しようとは思いながらも、新しい商品ばかり出しても在庫が増えてしまう可能性が高くなるので、そこは常に考えながら取り組んでいます」

Q.今後の課題は?
織田「いくつもあるのですが、まずはPR方法ですね。もう少し背景を伝えるようになりたい。たとえば、ボトルの作成秘話とか商品開発の裏側のストーリーなどを伝えながらPRしたり、タイミングとか売り出し方などマーケ・広報と連動して強化していきたいと考えています。それこそ、女性向けの商品をもっと出していきたい。新たなファン層開拓のための商品開発もできるんじゃないかと考えています。あとはその節ごとにスタジアムで行われるイベントと絡めた感じで新商品を販売できるといいですよね」
古屋「PRIDE OF MITOグッズのような展開はもっとあった方がいいですよね。ダービーでしか売らない商品があってもいいかもしれない。そういう連動性を出していきたいですね。栃木との北関東ダービーでは、宇都宮の餃子店と水戸の餃子店に出店していただいたのですが、どちらもかなり行列ができて売り切れとなりました。試合ごと楽しんでもらえるようなイベントに乗っかったグッズ展開もできるといいですね」

【写真 佐藤拓也】

(取材・構成 佐藤拓也)

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