デイリーホーリーホック

「『水戸から全てが始まった』 水戸OB田中マルクス闘莉王さんが凱旋トークイベント」【HHレポート】※無料記事

【写真 米村優子】

2003シーズンに水戸ホーリーホックに在籍していた元日本代表のDF田中マルクス闘莉王さんが9日、ホーム東京V戦のスタジアムイベントに登場。当日は会場を埋め尽くす程の立ち見客が集まり、古参の水戸サポーター垂涎のトークを堪能しました。

【写真 米村優子】

闘莉王さんは2003年、当時J2だったサンフレッチェ広島から水戸へ期限付き移籍し、前田秀樹元監督の下、DFでありながら年間10得点をあげる快挙を成し遂げ、攻撃的DFとしての地位を築き上げました。
水戸時代に日本国籍を取得し、「カタカナの『トゥーリオ』から漢字の『闘莉王』になった思い出深い地」でもあります。
在籍はわずか1年でしたが、その活躍は地域に強烈な印象を残し、サッカーファンでなくとも「田中マルクス闘莉王=元水戸選手」と認識している住民が多いことで知られているレジェンドの一人です。
今回、東京オリンピック関連の仕事でブラジルから一時帰国している闘莉王さんは、「歴代所属したクラブのファンサポーターに挨拶がしたい」と自身のキャリアにおいて飛躍のターニングポイントになった古巣へ凱旋。
横断幕、フラッグ、過去の水戸や代表ユニフォームなど掲げたサポーターからの大歓迎を受け、会場に姿を表すと大きな拍手が巻き起こりました。

【写真 米村優子】

冒頭で東京五輪の日本男子サッカーの戦評をした後、自身が出場した2004年アテネ五輪の話題となり、「浦和(2004年に移籍)で最初はあまり試合に出られなかったけれども、水戸での活躍があったからオリンピックに出られた。『水戸から全てが始まった』と言っても過言ではないですし、ここがスタートでした」と感謝。
そして不屈の闘志でチームを牽引したシーズンを「今後どうなっていくのか不安で、結構苦しい時期に来ましたが、どうしても勝つ。どうしても水戸で成功する。ここから世界を目指してやっていこうと吹っ切れた一年。そして、強くなっていこう、必死に食らいついていこうというチームでした。苦しかったし、大変だったからこそ勉強になりました。当時は勝ち慣れていない水戸が開幕3連勝をしたり、泥臭く勝ったりしていましたよ。サポーターの温かい声援によってチーム一丸となって全国に水戸ホーリーホックがいると示せたシーズンだったので、非常に楽しかったです」と回顧していました。
2003年は固定のホームスタジアムや練習場がなく、地域のあらゆる施設を転々としていた時代。現在のホームスタジアムのKSスタや固定の練習場があることについて、「当時は公園で遊んでいる子どもに『練習させてくれ』と場所を譲って貰ってトレーニングしたこともありました。みんな恵まれていますよ!これだったら俺達も勝ち点プラス10は取れていた(笑)。あの頃と比べたら贅沢している。あり得ないですよ(笑)」と環境の変化に驚きを隠せない様子でした。

【写真 米村優子】

最後は、当時のチームメイトから水戸時代の背番号28入りのロッキンコラボユニフォームがプレゼントされるというサプライズが。
アカデミー統括兼ユース監督の樹森大介さん、ヘットオブコーチング兼ジュニアユース監督の北川佳男さん、アカデミーダイレクター兼ジュニアユースコーチ(U-14)の上園和明さん、そして闘莉王さんの付き添いで来場していた北島義生さんがステージに登場すると、「一言いいですか?この人達がもっと点を獲っていれば、俺達J1昇格していました(笑)」とイジる場面も。

【写真 米村優子】

樹森監督は「2年ぐらい前に京都で会っているけれども、どんどん太っているなと感じているので、今度はシュッとした身体でまたサッカーをしましょう」、北川監督は「YouTube番組やオリンピックの仕事で活躍する姿を見させて貰って、こっちも励みになりました」、上園コーチは「闘莉王とは同い年。すごく練習熱心で、熱くて、一緒に過ごせたのは今も役立っています。いい経験、いい思い出を貰ったなと改めて思います」、北島さんは「闘莉王は水戸に1年しかいなかったですが、他のチームに行っても水戸のことは心にあって、よく話をしていた。こうやって帰国した来た時も『水戸はどうなっているかな』と帰ってくる所が好きですね」と仲の良さが伺えるコメントで締め括っていました。

【写真 米村優子】

「水戸ホーリーホックの思い出がエネルギーになっているし、水戸がJ1で輝くチームに是非ともなって欲しいというのが心からの願い。J1のチームと戦って、苦しさや伸ばさなければいけない所が出たり、力の差を付けられたりすることも経験しながら、更に強くなる水戸を見たいです」とエールを送っていた闘莉王さん。これからも一歩一歩、着実に躍進するチームを熱い激励で奮い立たせてくれることでしょう。

【写真 米村優子】

(米村優子)

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