横浜本牧フットボールマニアックス

吉田がいた逆転を『した』前半、尾身がいた逆転を『された』後半【J3第21節・vs讃岐】

2019年9月1日 横浜
(PHOTO,TEXT・佐藤功)

「相手に運ばれながら数的優位を作られてうまく対策できなかった。相手のフォーメーション(4-1-4-1)とウチのフォーメーション(4-3-1-2)の違いもありましたけど、もう少し早くスライドするとかパスコースを切るとか遅らせるとか、2対3を2対2に持っていければよかったんですけれど、プレスのスピードが遅れたりしてそこが後手になってしまった」。

左サイドにいた吉田明夫はそう振り返る。讃岐は後半に入り、サイドを制圧し始めていた。そして少し変わった状況が訪れる。讃岐の我那覇和樹が足を気にし始めた。でも、プレーは止まらない。我那覇はゆっくりと歩きながら、讃岐ベンチに近づき事実上戦線を離脱してしまった。讃岐は一時的に10人になるが、1トップがいない状況に変わる。そして吉田が対峙する讃岐の右サイドにいた28番、渡辺悠雅はサイドから中央へと動き始め、GKの真正面で同点弾を見ていた。このYSの左サイドが、その後鬼門になった。

少し変わった状況はYSにも訪れる。進昂平が2枚目のイエローカードで退場。吉田は尾身俊哉と交代した。

「前で持ったらドンドン行けと、いつも通り左で持って中に切れ込んで行けと。引き分けの段階ではそういう感じでした」。

尾身はそう伝えられ、10人になった仲間たちと合流し右サイドへ行く。そして、吉田がいた左サイドにはトップ下だった奥田が入り、4-4-1の形に変更。バランスを取りながらも得点を目指し、勝利を目指していた。だが尾身は「行くしかない」状況になってしまった。尾身から見て逆のサイド、左サイドからの突破を許していた。

YS33周年の創立記念日を落とした。「まだまだ力不足」と言う吉田は、「やっていることは間違っていない」と付け加える。それは「前半はうまく対処できていた」ことを指している。河野諒祐と大泉和也の両サイドバックは攻撃参加をしながら警戒、吉田と佐藤祐太も両サイドバックをフォローしながら警戒。讃岐とのサイドの攻防に耐えていた。そして進が退場してしまったことは、前線でアグレッシブに守備をしていたことの裏返しでもある。悔しい敗戦の中にはポジティブなイメージがあった。

「限られた時間でも少しでもゲームに変化をつけれたらいいなと思っていますけど、なかなか得点にもつながらず自分が出てから失点することが多い。失点に直接関わっていなくても自分の中で問題があると思うのでチームに貢献できるように、守備の面で走ったりドリブルで行ききってシュートで終わるとか、出るだけではなく結果を求めてやっていきたい」。

悔しさの中に課題を見つけていた尾身の眼は鋭く輝いていた。前半のイメージを残して、後半のイメージを覆す。そうやって彼らは、次の戦いへ向かい続ける。

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