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艱難辛苦から這い上がった宮市剛。ビューティフルボレーでJ2初勝利を呼び寄せる【いわてグルージャ盛岡】【第1節レビュー】

苦しみを乗り越え、復活の舞台でゴール

219日の1429分。6歳の娘が「どうしたの⁉」と仕事部屋に駆け込んできた。宮市剛のゴールが決まった瞬間、思いもよらず、「おおおおおおっっ!!」と声を上げたことに心配をしたようだ。

いわてグルージャ盛岡にとってこの上なく大きく、メモリアルなゴールとなったわけだが、私と同じようなリアクションを取ったサポーターも多いのではないか。加入以降、怪我に苦しみ続け、プロとして続けるためにFWからWBSB)へのコンバートも受け入れた。そんな彼を知っているからこそ、感慨はひとしおだった。

 

鋭く、巧妙だった得点シーン。チーム全員の合作によるセットプレー

そしてこのゴールはホームの千葉に重くのしかかった。千葉の鈴木大輔は「セットプレーは警戒していた中でやられてしまった」と反省の弁を残したが、岩手のセットプレーは鋭く、強く、そして巧妙だった。

それ以前のシーンでも宮市のクロスから中村太亮がヘッドで決定機をつくるなど、再三ファーサイドを狙い続けた岩手。3度目のファーへのボールを得点につなげたわけだが、高さのあるCBを中央に集め、注意を引き付けたことで大外が空いた。千葉のDF陣が大外のフリーに気付いていたかは定かではないが、仮に視認していたとしてもキッカーからは相当な距離があり、一発でやられるという危機感はなかったのかもしれない。しかし、その読みを中村太の左足が上回った。ストレート系でシュート性の鋭いボールは一直線に宮市のもとへ。これを元FWの意地をみせた背番号18が「ボールが止まって見えた」という美しいボレーでサイドネットを揺らした。これだけフリーになれた一因には、宮市の一枚内側で戸根一誓がジャンプしヘディングを狙いに行っていたことも挙げられるだろう。このとき、ゾーンの一番外側を守っていたのは17番の福満隆貴。身長173㎝の彼が183㎝の戸根をみる形になっており、「ヘディングで勝てなくてもあたりに行かなければならない」という気持ちが前に出ることは容易に想像がつく。実際はボールが2人の2030㎝上を通過し、岩手の狙い通り、フリーの宮市に届けられた。見事に決め切った宮市、スーパーなボールを送り込んだ中村太。フリーを生むチームとしての布石。すべてがかみ合ったゴールが決勝点となり、J2初勝利をつかんだ。

 

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