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3年でJ3からJ1へ。大分・片野坂監督の強さには名将4人の影響があった【無料記事】

 

しっかりと逃げ道を作るチームマネジメント

--対戦相手によって少しずつシステムを変えるというのは、選手によっては監督がぶれたという言葉も出てしまうかもしれない。でも、そういう声は出てこない。ぶれない芯はどうやって作ったのでしょうか?
「そんなに大きな変化はしなかったというのはあります。3-4-3の戦術の中でつないでいくということ。攻撃に関しては、常に相手の状況、相手の変化を見るということ。自分たちのボール保持の状況を見て、ポジションを取るということは変わらないので。

その中で状況によってプレッシャーがかかるゲームがあったりとか、うまくいかないゲームがあったりする中では選手に逃げ道を作ってあげていました。あまりこだわり過ぎても良くないし、判断を求めすぎても選手がパニックになってしまったら良くない。選手が思い切りよくプレーできないのも良くないと思うので、判断に迷ったり、判断がなかったときは蹴ってもいいよと伝えて、あまり選手に求め過ぎないようにはしてました。

その辺の少しの変化とか、少しの選手へのアプローチは変えながらやりましたが、だけどそうは言ってもチャレンジできるならやっていこうよ、ということを伝えました。立ち返る場所、というか自分たちのベースのコンセプトになる部分についてはブレずにやるようにしました」

--最近の風潮ではピッチ上で判断して完結できるのがいいというのがありますが、そこで求めすぎるとパニックになってしまう事があると。
「特に去年だと、プレーオフが決まるかどうかとか、昇格が決まるかどうかという大事な試合が続きました。うちの選手は、J3からの昇格を経験している選手はいましたが、J2での自動昇格とかプレーオフ圏争いといった戦いを、J2の大きな舞台で経験していない選手が多かったので。やっぱり見えないプレッシャー、緊張感とかはあったと思います。
これで勝ったらプレーオフだとか、これで勝ったら自動昇格圏内だとか、そういうのを感じながらやっているとどうしてもぎこちなかったり、硬かったりと言うのはありました」

--決勝戦状態が終盤になると続くわけですね。
「もうそうですね。なのでちょっと固いゲームになってくると、自分たちがやろうとしていることもうまく行かなかったり。うまくいかなくなると、選手たちも焦ってきたりする。そうなったときにこっち側のコーチ陣があまり選手に対して焦るようなことを言うと、選手もまたパニックになったりするので。余裕だよ、と。全然それで良いんだよ、というくらいの感じでアプローチするような形にはしました」

--選手に対する責任の求め方、褒め方はどうですか?
「ぼくは負けたら監督の責任、勝ったら選手のおかげだと思っています。選手はミスするものだと思いますし、完璧な選手は居ないと思っているので。試合中にミスが起きた場合も、その選手を選んだのは自分なので、結局は自分の責任だと思います。
選んだ選手がピッチでちゃんと90分戦って良い成果につながるようにしていくのがぼくらの、コーチングスタッフの役目だと思ってますし、それができればその役目を全うできたということ。選手がそれに向けてしっかり応えてくれたおかげだと思います。できなかったらこちら側が選手を持っていくことができなかったということ。それはぼくの責任になると思ってます」

--監督として選手個人を非難することは?
「ぼくは基本したくないですね。選手のせいにしたくないし、選手はとにかく思い切って自分の持ってるものを出し切ってトリニータが勝つために、いいゲームをするために持ってるものを出し切ってくれればと思ってます」

--去年はゲームプラン、コンビネーション、コンディションの3つの基準で毎試合メンバーを入れ替えたと聞いているのですが、そのスタンスは就任からずっとそうなんでしょうか?
「そうですね。ぼくはメンバーをあまり固定する方ではなく、得点取った人もそのまま必ず次のゲームで使えるかというと、サブになったり、ひどいときはメンバー外になったりということももしかたらあったかもしれません」

--得点をとった選手はだいたい使いますよね
「そうですね。良く勝ち流れとか言いますが、ぼくはあまり勝ち流れというのは気にしません。次のゲームに対してこっちがどういう準備をして、どういうゲームプランを持った中でコンディションを見極めて、選手をあてはめて行くのか。その中で誰を先発にして、誰を途中から出して、誰をメンバーに入れて、ということをプランニングするようにしています。そのプランに得点を取った人がハマるなら継続ですし、それがだめならまた違う選手にやってもらいます。やっぱり1シーズンを、先発の11人、ベンチの18人だけで乗り切れるわけではないので。いろいろな選手が常にいい準備をしてくれてるので。そうやってフレッシュな選手を使ったとしても、チームに貢献してくれますし持ってるものを出してくれる。そうやっていろいろな選手を使うことで、選手も緊張感、危機感を持ちながら練習できるようになる。そうすることでトレーニング自体の雰囲気だとかクオリティもすごく上がってくるし、ゲームに近い状況でトレーニングできるのはすごくいいことだと思います」

--それは先程話していただいた森保さんとの経験が大きいんですかね。
「そうですね。森保さんは常に選手をフラットに見てましたし、そういう中でしっかりやってる選手を評価してなるべくメンバーとか先発とかに入れるような形でやられてましたね」

(取材・構成・写真/江藤高志)

 

(後編に続く→『J2オールスター補強を実現させるために大分・片野坂監督が行ったこととは?』)

 

江藤高志

1972年大分県中津市出身。工学院大学大学院中退。出版社勤務を経て、1999年よりフリーライターに。大分やJ2を専門としていた縁もあり、01年ごろから川崎フロンターレでの取材を開始。04年からJsGOALフロンターレ担当となる。フロンターレでの取材経験を活かすべく「川崎フットボールアディクト」を立ち上げた。
なお、自他共に認める大酒飲みだったが、2014年4月16日から優勝祈願の禁酒を継続。2017年にリーグタイトル獲得を契機に解禁した。なお、宇都宮徹壱さんにお声がけいただき、飲酒解禁イベンを実施。多くのサポーターが集まってくれた。ただただ感謝。

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