J論プレミアム

コロナ危機にサッカーライターたちは(海江田哲朗)

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

 


サッカーメディアとそこで生きる人間たちの苦闘は続く。

 

コロナ危機にサッカーライターたちは(海江田哲朗)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]三十三段目

 

5月15日、Jリーグの日――。1993年同日、ヴェルディ川崎 vs 横浜マリノス(国立競技場)で、Jリーグは産声を上げた。28回目の記念日をこんなふうに迎えようとは誰も想像していなかっただろう。

新型コロナウイルスは世界規模の混乱を引き起こし、日本では2月末からサッカーのない週末が続いている。4月7日、政府から緊急事態宣言が発令され、自粛の毎日。ステイホームの呼びかけに、サッカーライターもまた家にこもるしかなくなった。それぞれどんな生活を送り、いま何を思うのか。3人の書き手に匿名で話を聞かせてもらった。

 

●「仕事は減ったが、出ていくお金も著しく減った」Aさん(フリーランス・40代男性・特定の取材クラブ有)
ほとんど外に出ず、家にいますね。レギュラーの仕事は月に1、2本。イレギュラーの仕事を何本かいただけたのでそれに注力しつつ、個人メディアで過去のクラブの歴史を振り返る企画をやっています。

生活していくことに関しては、いまのところ大丈夫です。原稿料が振り込まれるのは、仕事をしてからだいたい2ヵ月後というところが多い。開幕前の時期はクラブのイヤーブックをはじめ、まとまった量の仕事があり、その原稿料がこの前入ったばかりですから。あと1ヵ月程度でJリーグが再開するということなら、それまでしのぐことはできます。

同時に、本来出ていくはずだった経費が大幅に縮小されています。たとえば、5月のゴールデンウイークあたりはアウェー取材の出費に備えていたところ、丸々手元に残ることに。ライター業は固定費がほぼかからないので、その点は助かりましたね。仕事関係のコストを低く抑えつつ、どうにかコントロールはできている状況です。

一方で、それまであった生活のリズムが狂ってしまったのが大変でした。一時期は朝6時に寝て、夕方に起きるという生活。このままではダメになってしまうと、夜にウォーキングをして汗をかき、身体を疲れさせて寝るようにしています。

リモート取材は、難しさを感じますね。もし、オンラインで囲み取材のような形式しかできないとなると、記事でどのようにオリジナリティを出していけるのか。そこは自分の仕事にとって生命線でもあるので。今後の動向を見つつ、対策を練っていかなければと考えています。

 

●「持続化給付金の申請に動いている」Bさん(フリーランス・30代男性・特定の取材クラブ無)
仕事の8割が飛んで、収入的な打撃は大きいです。3月まではまだ動けていたんですが、そのあたりから原稿のオファーがガクンと減り、10万に届かない月もあります。時間を持て余し、日雇いのバイトを2回くらいしたかな。いま人手不足のデリバリーの仕事を。登録制で、わりと簡単にできるんですよ。

生活はぎりぎり持ち堪えている状態で、持続化給付金の申請に動いています。前年同月比で収入が50%以上減少している事業者が対象で、個人事業主は最大100万円。事前の準備が大変で、やっと必要書類が揃ったところです。

 

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