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コロナに関係なく変更されたルールの重要性(えのきどいちろう)

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

 

 

コロナに関係なく変更されたルールの重要性(えのきどいちろう)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]五十段目

 

■意思とは関係なくルールで守らないといけない

Jリーグは1月28日、理事会を開催し、新シーズンへ向けての取り決めをした。サポーターの話題になったのは「みなし開催」の導入だ。1試合の選手エントリー数を13人(1人減った)に定め、コロナ等で13人が揃わず、かつ延期しても代替開催が困難な場合、「みなし開催」を適用し、有責チームが0対3の敗戦となる。ウィズコロナの特例ルールである。何というか、シーズンをやり切るぞという意欲がうかがえる。昨シーズン、苦心のリーグ運営を経験し、それなりにノウハウも蓄積したという自信だ。

交代ルールは去年と同じ、5人以内。ハーフタイムを除いて1試合合計3回まで交代可能。5人の交代枠と飲水タイムの設定は、けっこうサッカーを変えたと思う。交代カードの切り方でかなり流れが変えられるし、二度の飲水タイムとハーフタイムで「前後半制」でなく、事実上「4クォーター制」の競技になったとも言える。

ウィズコロナの時限的特例ルールでなく、抜本的に改変されたのが「脳震盪(しんとう)による交代枠の導入」だ。これはかねて言われてきたされてきたところだ。国際サッカー評議会(IFAB)からの提言も受け、Jリーグは育成年代も含む公式戦のすべてで以下の導入を決した。

・1試合において、各チーム最大1人の「脳振盪による交代」を使うことができる。

・「脳振盪による交代」は、その前に何人の交代が行われているにかかわらず、行うことができる。

・育成年代などではベンチ入りメンバー全てが交代可能な場合もあり、「脳震盪による交代」で交代人数を使い切っていた場合には、既に交代で退いた競技者であっても出場することが可能となる。

・「脳振盪による交代」は、「通常の」交代の回数の制限とは別に取り扱われるが、チームが「脳振盪による交代」を「通常の」交代に合わせて行った場合、1回の「通常の」交代としてカウントされる。

ご覧になってどうお感じになるだろうか。僕はネットで「なぜ脳震盪だけこんなに大げさに?」という書き込みを見かけて、あぁ、そういう受け取り方する人もいるんだなぁと驚いた。たぶん知識としても身近な経験としても脳震盪を知らないのだ。サッカーで選手が負うリスクにはケガ(腱・筋断裂、靭帯損傷、骨折…)があるけれど、それは生命にかかわることじゃないからベンチに下がればいい。生命にかかわるというと、(中高年の草サッカーでよく懸念されるケースだが)心臓発作がある。Jリーグでは松田直樹氏の急逝をきっかけに除細動器(AED)の必要性がクローズアップされた。といって、わざわざ特別の交代ルールを設けるほどかといえばそうではない。

脳震盪は生命にかかわる重大事であり、かつ頻発する(例えば中村航輔)のだ。それなのにこれまで比較的軽視されてきた。これはスポーツ界全体のテーマだ。読者は今年の初場所、幕下の取組で脳震盪が取り沙汰されたのをご存知だろう。十日目、湘南乃海と朝玉勢の一番だった。立ち合いで双方、頭から激しく当たった。湘南乃海が土俵の上にひっくり返る。それが手つき不十分で取り直しになる。湘南乃海は立てない。片膝をつき、立とうとして尻もちをつく。ただならぬ様子を見て、5人の勝負審判が土俵の上で協議に入る。協議は1分ほど続き、やがて湘南乃海が続ける意思を示したということで、取り直しがあらためて行われた。はたき込んで湘南乃海の勝ち。

この動画がSNSで拡散し、相撲協会に抗議の声が寄せられることになった。僕も見たけれど、本当に危ない。「湘南乃海の続ける意思」というのも難しいところだ。実際に湘南乃海は取り直して勝ったじゃないかという人もいるだろうけど、それは結果論に過ぎない。大概のアスリートは「やるか?」と言われたら「やる」と答える。「やれるか?」と聞かれたら「やれます」と答える。湘南乃海はドクターの診察を受けていない。取り直しでもう一度、頭から当たったら、もしくは土俵下に転落して頭を打ち付けたら重篤な事態に立ち至っていたかもしれない。

「やれるか?」「やります」の危うさは単に「相撲道や男らしさの呪縛から無理をしてしまう、」というだけじゃない。意識消失の場合があるのだ。脳震盪は意識が飛んでしまっても受け答えをするケースがある。そしてセカンドインパクト症候群というのだが、短い期間に二度、脳へのダメージが重なると死亡例が急増する。ファーストインパクトのダメージの段階で安静が必須だ。

 

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