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【六川亨の視点】2021年3月3日 ルヴァンカップグループステージ第1節 FC東京vs徳島ヴォルティス

ルヴァンカップ第1節 FC東京1(0-0)0徳島ヴォルティス
18:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数3,788人
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3月3日の水曜日は、J1リーグの第11節、ACLに出場する川崎F対C大阪、名古屋対G大阪の2試合と、ルヴァンカップ第1節の残り6試合が行われる予定だった。しかしG大阪の選手4名とスタッフ1名がPCR検査で陽性判定と診断され、さらに選手とスタッフ各1名が濃厚接触の疑いがあるとして、急きょ試合は中止された。

川崎F対C大阪戦では大久保嘉人が古巣相手にいきなりの2ゴールで、通算得点を188点に伸ばした。しかし川崎Fはレアンドロ・ダミアンの2ゴールと三苫薫の決勝点で3-2の逆転勝利を収め、改めて王者の底力と破壊力を見せつけた。

当日は等々力に行くか、味スタでのFC東京対徳島戦を取材するか迷ったものだ。すでに川崎Fの開幕戦は取材している。FC東京も浦和戦を取材したが、徳島の試合は昨シーズンDAZNで数試合を見ただけ。このため機会があれば早いうちに徳島の試合を見たいと思って味スタに足を運んだが、やはり等々力へ行くべきだったと後悔した。

徳島は主力選手がほとんど残留したため、慌てることなく自信を持ってボールを保持した。ピッチの幅をワイドに使いながら、マークを外して一瞬フリーになった選手に迷わずパスを出す。そのためはボール保持者に広い視野と素早い状況判断が要求されるが、それを苦もなく実践していた。

1人1人がボールを保持する時間も短い。このためFC東京は前線の永井謙佑、田川亨介、紺野和也らがプレスに行っても簡単にボールを奪うことができなかった。

しかし、両チームとも中3日での試合とあって、スタメンの11人全員を入れ替えるターンオーバー制を採用。このためFC東京のシュート数は2本、徳島は同5本といったように、ゴール前の攻防が少なく、盛り上がりに欠ける試合内容だった。

もともとルヴァンカップのグループステージは水曜のナイターということで観客も少ない。さらにチームもリーグ戦を優先するためターンオーバー制を採用することが多い。もちろん選手はリーグ戦での出場をアピールしようと必死だ。

だが、得るものも大きければ失うものも大きい(降格)リーグ戦と違い、リーグカップ戦は失うものがないためモチベーションを高めるのが難しいという構造的な欠陥がある。決勝こそ両チームのコレオグラフィーが風物詩になっているが、「若手育成の場」が過密日程の原因にもなっている。

例え優勝チームにACLの出場権を与えたとしても、グループステージの突破が難しくなったチームはリーグ戦に全力を注ぐだろう。

2012年には「同一冠スポンサーによる最長のカップ戦」としてギネス記録に認定されているだけに、取り扱いも難しい。どうやったら大会の価値を高められるのか。また答の出ない堂々巡りのシーズンインを迎えたルヴァンカップ第1節だった。

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。

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