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【六川亨の視点】2021年3月10日 J1リーグ第3節 FC東京vsヴィッセル神戸

J1リーグ第3節 FC東京2(0-1)3ヴィッセル神戸
18:00キックオフ 味の素スタジアム 入場者数4,707人
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0-2のビハインドから交代出場のディエゴ・オリヴェイラと永井謙佑の連続ゴールで2-2の同点に追いついたFC東京。前節C大阪戦の再現が期待されたものの、後半40分に郷家友太に決勝点を許し、今シーズン初黒星を喫した。

試合後の長谷川健太監督は次のように会見の口火を切った。

「立ち上がりはあまりよくなかった。これでもと思ってスタートしましたけど、行けると思って行けなくてバタバタしました」

「これでも」と思ったのは、スタメンCBにジョアン・オマリ、アンカーに森重真人を起用したことを指す。なぜ「これでも」と思ったことについては説明が必要だろう。

試合前日の会見だった。開幕戦となった浦和戦のアンカーはアルトゥール・シルバでスタートし、途中から安部柊斗と青木拓矢のダブルボランチになった。ルヴァン杯の徳島戦は青木のアンカーでスタートし、途中から青木と三田啓貴のダブルボランチになった。そしてC大阪戦は東慶吾のアンカーでスタートし、後半からCBの森重をアンカーにコンバートして逆転勝利につなげた。

その経緯は長谷川監督によると、CBの新外国人選手ブルーノ・ウヴィニは来日の目処すら立っていない。そこでオマリと契約を延長したが、2週間の自主待機になったため沖縄キャンプには参加できず、コンディション調整が遅れていた。昨シーズン終盤に清水からレンタルバックした岡崎慎は膝の負傷が完治していない。渡辺剛もルヴァン杯決勝での負傷から回復したばかりで不安を抱えている。それでもCBの2人は渡辺と森重しか選択肢はなかった。

ではアンカーはというと、昨シーズン終盤とACLは森重の起用がハマった。しかし現状ではCBで使わざるを得ないのは説明した。さらにCBとボランチの両方のポジションでプレーできる岡崎は負傷からの調整中。そして昨年は出場機会を増やしてレギュラーに定着しつつあった品田愛斗も1月に手術を受け、全治4ヶ月の診断のため復帰はまだ先のことになる。本職がいないなかでの開幕だった。

こうした事情から浦和戦、徳島戦、C大阪戦の3試合は、言葉は悪いが「騙し騙し」のスタメン起用であり、試合中の選手交代とシステム変更で「やりくり」して結果を出してきた。それがオマリのスタメン起用に目処が立ったことで森重のアンカーも可能になった。それが「これでも」という発言につながったのだった。

残念ながらC大阪戦の再現はならなかった。それでも収穫はあった。4-3-3でスタートし、途中で4-2-3-1にし、最後はディエゴと永井の2トップによる4-4-2にしたが、やはりディエゴと永井の2トップは「ずっとプレーしているので何ら問題なくできます。お互いの良さはわかっているし、守備の行き方もカバーしながら行けるので全然(問題ない)です」と永井が語ったようにFC東京の最大の武器ということだ。

スピードのある2人が、前線からクレバーなチェイスをすることでチームは先手を取った守備――インターセプトによるショートカウンターが可能になる。さらに2人はピンチと見るや自陣ゴールラインまで戻って守備をする。いずれもレアンドロやアダイウトンにはできないプレーだ。

これらは2人のコンディションが上がればスタメンに復帰することで取り戻すことができるだろう。そして敗れたものの、もう1つの収穫を上げるとすれば、2試合続けて試合への入りが悪かったのは受け身だったこと。言葉を換えれば2試合とも終盤は逆転しようと選手はファイトした。しかし立ち上がりのプレーにデュエルはほとんどなかった。

もしかしたらルヴァン杯の優勝で、知らず知らずのうちに選手らは勘違いしたのではないか。それに気付くことができたなら、敗れたとはいえ神戸戦は価値のある試合と言えるだろう。

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。

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