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【六川亨の視点】2021年4月10日 J2リーグ第7節 東京ヴェルディvsレノファ山口FC

J2リーグ第7節 東京ヴェルディ3(2-1)1レノファ山口FC
16:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数2,377人
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今シーズン、初めてセットプレー(左CK)からゴールを奪った山口の渡邉監督は、「ようやく取ることができて、今日のゲームで唯一の収穫かな」と振り返った。そして続けて「我々がスコアを動かしたあとすぐのゴール。しっかり崩されたので反省しないといけない」と2分後の同点弾を悔やんだ。

一方、東京Vの永井監督は3-1の逆転勝ちに、「山口の守備のやり方のなかで、山下と小池を含めて背後を狙っていくのは考えた。選手は狙いを理解してよくやってくれた」と選手を称えた。

「背後を狙う」がよく現れていたのが東京Vの右サイドだった。4-3-3のシステムで、中盤は19歳の山本をアンカーに、逆三角形の形で右に小池、左に梶川という配置。そして前線は右に佐藤優平、トップに明治大からのルーキー佐藤凌我、左に山下という布陣だった。

この陣形から、右FWの佐藤優がトップ下に下がるような形で、右MF小池を前線に押し出して山口DF陣の背後を狙った。前半13分に佐藤凌の2試合連続となるゴールで同点に追いつくと、24分には佐藤優のタテパスを足下で受けた小池が右サイドでドリブルを仕掛けつつシュート。そのこぼれ球を山下が押し込んで逆転に成功する。

さらに後半15分には佐藤優のショートパスにまたも右サイドで小池が抜け出し、ペナルティーエリアを飛び出したGKの脇を抜いてダメ押しの3点目を奪った。

小池はこれで今シーズン通算6点目となり、得点王レースのトップに立った。シャドーストライカーとして、昨シーズンのゴール(7得点)を更新するのは間違いないだろう。むしろ一昨シーズンの16ゴール越えも視野に入ってくる。

そして楽しみなのが明治大からのルーキーFW佐藤凌だ。同大学の関東大学リーグ初の連覇に貢献したストライカーは、正確なポストプレーとスペースを見つけてボールを呼び込み、ワンタッチでのフィニッシュが巧い、これまでの東京VにはいないタイプのFWではないだろうか。

彼が東京Vに入団した詳細な経緯は知らないが、東京Vの江尻強化部長(現役時代は古河とジェフ市原で活躍)は清水商から明治大に進学しただけに、そのパイプが今も生きているのかもしれない。そんな佐藤凌も、この日プロになって7試合で3ゴールは立派な数字だ。この先どこまでゴールを重ねるか、楽しみなルーキーだ。

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。

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