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【六川亨の視点】2021年4月17日 J1リーグ第10節 横浜FCvsベガルタ仙台

J1リーグ第10節 横浜FC2(1-0)2ベガルタ仙台
14:03キックオフ ニッパツ三ツ沢球技場 入場者数2,997人
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試合前の両チームの状況はというと、ホームの横浜FCは9試合を消化して1分け8敗の勝点1で20位(つまりは最下位)。対する仙台は8試合で2分け6敗の勝点2で19位だ。今シーズンのJ1リーグで未勝利なのはこの2チームだけ。勝点3に渇望しているチーム同士の対戦でもあった。

不振の原因は明白だ。横浜FCは9試合で奪ったゴールは5点。一方の仙台は8試合で4点。互いに複数ゴールをあげた試合はゼロで、横浜FCは直近の2試合、仙台は3試合連続して完封負けを喫している。とにかく点が取れていない。

それは試合を見れば一目瞭然だった。両チームとも『これ』といった攻撃の形がないのである。それでも前半17分、横浜FCが右CKから待望の先制点を奪った。瀬古のクロスをニアで伊野波がヘッドでフリックすると、左から走り込んできた袴田が左足ボレーで決めた。

試合が熱を帯びたのは、後半12分に手倉森監督がドリブラーのマルティノスと、新外国人選手で自主待機の終わったガーナ人FWエマヌエル・オッティを同時投入してからだった。2人は4-4-2のサイドMFとして起用されたが、彼らが入ったことで仙台の攻撃には起点ができ、ボールを握る時間が増えた。

これに対し早川監督は後半16分、4-4-2の左MF松尾に代えて安永、2トップの1人ジャーメイン良に代えてクレーベを起用。クレーベはそのまま前線に入ったが、守備力が持ち味の安永はボランチに入り、ボランチだった齋藤は右MFへポジションを上げる。さらに右MFだった小川は左MFにスライドした。

この選手交代とポジション変更が23分にズバリ的中した。ボランチの安永が左に展開し、小川がクロスを上げると、右サイドから走り込んできた齋藤がフリーでダイビングヘッドを決めたのだ。

このまま横浜FCが逃げ切って勝点3をゲットすると思ったのは私だけではないだろう。しかし、さらなるドラマが待っていた。

後半37分、上原の左CKにフリーとなった西村がドンピシャのタイミングで叩きつけるヘディングシュートを決めて1点を返す。

その後も仙台の攻勢は続き、アディショナルタイム5分の表示が出された1分後、マルティノスの左CKをニアで平岡がヘッドでつなぐと中央で西村がシュート。これはGK南にブロックされたが、こぼれ球を右サイドの吉野が詰めて同点弾を決めた。

ところが吉野のゴールに副審がフラッグを上げているため、主審はオフサイドとしてゴールを取り消す。このまま横浜FCが今シーズン初勝利かと思ったところでVARが入った。

横浜FCのゴールエリアに佇んだままイヤホンに耳を傾けていた主審は、オンフィールドレビューを行うことなく、センターサークルを指さし、仙台のゴールを認めた。

結果として、試合は2-2のドローに終わり、両チームとも初勝利は次節に持ち越しとなった。初勝利を逃した早川監督にすれば「本当に悔しいというか、残念なゲームになりました」というのは偽らざる本音だろう。

そしてアディショナルタイムにタイスコアに持ち込んだ手倉森監督は「敵地で勝点1を拾えたのはかろうじての仕事になった」と安堵のコメントを残した。

たぶん両チームとも、こうした試合を重ねながら攻撃の形を作り直していくしかない今シーズンの戦いではないだろうか。

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。

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