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【森雅史の視点】2021年5月22日 J1リーグ第15節 FC東京vsガンバ大阪

J1リーグ第15節 FC東京 1(1ー0)0 ガンバ大阪
19:01キックオフ 味の素スタジアム 入場者数4,886人
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FC東京の復調は本物か。

試合開始早々、内田宅哉が右サイドで深く侵入するとG大阪守備ラインが捕まえていなかったディエゴ・オリヴェイラが楽々とゴールを決めた。この後もG大阪守備ラインはサイドからボールを入れられると弱さを見せて守勢に回るが、前半の飲水タイムを過ぎたところからはしっかりボールを保持し反撃に転じる。だがFC東京の守備ラインを崩すには至らず、試合はそのままタイムアップとなった。

これでFC東京は連勝し、2試合で5得点、0失点とすっかり復調傾向に見える。だがはたして本調子かというとそうではない。前半の半ばを過ぎたころには前線を残してペナルティエリア付近まで下がって守備をする時間が続いた。後半の立ち上がりこそ再び攻め込んだが、その後もやはり後ろに重心がかかったままだった。わずか1点のリードで守備の時間が続くことになれば、同点あるいは逆転される可能性が高くなる。FC東京が相手を深く引っ張り出してカウンターを狙っていたかというと「全く違います」と長谷川健太監督は明かした。

長谷川監督はそういう試合展開になった理由を「相手の圧に押された」と分析した。そして「本来もっとアグレッシブに戦いたかった」と言う。FC東京が本当に復調するのは、さらに守備ラインが高い位置を取ることができるようになったときだろう。それでもこの勝利には大きな意味があるはずだ。G大阪の小野瀬康介はFC東京を相手にして「ボールは保持できる」と読んでいたという。相手の予想どおりの展開でも勝点3を挙げることができたのだ。その喜びをディエゴ・オリヴェイラが「なかなか勝てない時があり苦しいことが続いた」と振り返りつつ、この試合が「自信を取り戻すことができた」と大きな笑みで表現していた。

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

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