烙印を押された・・・男子サッカー南ア代表監督が発した言葉の意味を考える(えのきどいちろう)
『タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。
烙印を押された・・・男子サッカー南ア代表監督が発した言葉の意味を考える(えのきどいちろう)えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]六十二段目
■サッカー界の事例は五輪に反映されず
たぶんこれをご覧になる頃にはすっかり過去のことになっていると思うのだが、東京2020男子サッカーの南ア戦がずっと引っ掛かっている。論点はいくつかあるのだが、要はこの試合が「パンデミック下のオリンピック競技」という東京2020の本質に触れる(というより正面衝突でぶつかる?)試合だったからだろう。
ウイルス感染症の蔓延で開催が1年延期になり、かつ、延期した1年前より蔓延が酷いことになっている大会だ。前代未聞だ。
パンデミック下の開催という意味では、世界のサッカー界は東京2020の直前、ユーロ2020とコパ・アメリカ2021をそれぞれ全日程やり切っている。ユーロは「ワクチン接種前提の有観客」&分散開催、コパ・アメリカは開催国変更&無観客開催となった。どちらも感染拡大を引き起こす誘因となり批判を浴びる。特にコパ・アメリカの選手らに発生したクラスターは深刻なものだった。
日本ではJリーグがコロナ対策に成果を挙げ、厳格な観戦ルール&入場制限付きではあったが、有観客のスタジアムを実現していた。サッカーファンはそれが先行事例として検討されると思ったのだった。が、事態はそう簡単じゃなかった。東京2020はサッカー界だけの力学ではまわらない。その意味ではユーロやコパ・アメリカ開催よりもずっと複雑だった。
結局、東京2020のサッカーは宮城県開催分と、それから茨城県開催の「学校連携観戦チケット」分のみ有観客で、あとはすべて無観客開催と決まる。
では、男子サッカーの開幕カード・南アフリカ戦はどのような経験だったろう。おそらくこれをご覧のサッカーファン諸氏も久保建英のゴールと、ディフェンシブだった南アのサッカーをぼんやり思い浮かべる程度で、印象は希薄だろう。例えばフランス戦大勝のようなインパクトは残っていない。
だが、南ア戦は日本サッカーの歴史でも未曽有の経験だった。
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