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【森雅史の視点】2021年8月21日 J1リーグ第25節 柏レイソルvsサガン鳥栖

J1リーグ第25節 柏レイソル 1(1ー2)3 サガン鳥栖
19:03キックオフ 三協フロンテア柏スタジアム 入場者数4,497人
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柏レイソルとサガン鳥栖の試合はお互いに細かく選手のポジションを調整しながら戦う、戦術的な楽しみが詰まった試合だった。結果的には幸運な2ゴールが入ったことで鳥栖の勝利となったが、柏の選手の対応力が目立った内容でもあった。

そしてこの試合には別の面もあった。それは鳥栖の金明輝監督が指揮停止処分から明けて初めての勝利という側面だった。金明輝監督が選手に過剰な指導をしたという問題は鳥栖が第三者委員会を設置し調査を行い、今回の処分が明ければ復帰できると決定した。だが監督がチームに戻ってほぼ指導する日程がない中で試合が続き、内容はよかったものの連敗していたのだ。この勝点3で監督はやっとホッとしたのではないだろうか。

会見で連敗中の心境を聞かれた監督は、姿勢を正すと一呼吸して「僕のマネジメントでJリーグ全体に迷惑をかけてしまいました。その間、チームがいい流れに乗ってたのに僕が帰ってきて負けさせてしまったので責任も感じてました。最近の2試合が悪かったわけではなかったのですが結果が付いてこなかったので、そういう意味では選手たちに感謝したいし、今いるスタッフにも感謝したいし、いろんな方に、サガン鳥栖に関わるすべての方に感謝しながらゲームに臨んでました」と噛みしめるように言葉にした。

もっとも金監督には別の問題がのしかかる。他チームが積極的に補強を進めた中、鳥栖は主力2人を失い、新戦力が馴染むまでにはもう少し時間がかかりそうだ。その中でどれくらいの勝点を積み重ねることが出来るのか。降格候補でもおかしくなかったチームをACLが狙える位置まで引き上げた金監督だが、今後の戦いは一層厳しさを増すだろう。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

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