J論プレミアム

【森雅史の視点】2021年8月28日 J1リーグ第27節 横浜F・マリノスvs鹿島アントラーズ

J1リーグ第27節 横浜F・マリノス0(0ー2)2 鹿島アントラーズ
19:04キックオフ 日産スタジアム 入場者数4,892人
試合データリンクはこちら

 

現在、Jリーグは試合中の感染予防のため飲水ボトルの共有を不可としており、選手が給水しづらいとして前後半に飲水タイムを設けている。この飲水タイムが試合に微妙な影響を与えていた。

試合の序盤戦は互角ながらやや横浜FM寄りと言える戦いだった。鹿島はロングボールを上田綺世に送ってそこから組み立てようとしていたが横浜FMの守備に防がれ逆に横浜FMは細かくパスをつないで鹿島を押し込みつつあった。だが15分に鹿島が先制したことで横浜FMのバランスが崩れ、中盤のこぼれ球を拾えなくなり試合は一気に鹿島ペースになる。横浜FMがまだ混乱している間の24分、前半の飲水タイムとなる。横浜FMは26分、マルコス・ジュニオールが惜しいシュートを放つなどやや盛り返した。

前半のうちに2点を失ってしまった横浜FMは後半、早めに手を打って逆転を狙った。58分、杉本健勇、エウベル、水沼宏太を投入すると59分、エウベルから水沼へのパスが通り決定機を迎える。鹿島の再度の守備が混乱している間に横浜FMは攻め立て、71分にはオフサイドになったものの水沼の折り返しを杉本がシュートし、クロスバーを叩いた。ところがここで後半の給水タイムとなる。その後、守備を整えた鹿島は残り時間を守りきって勝点3を手にした。

飲水タイムがある事で試合はクオーター制になり、サッカーらしい45分ずつの流れは途切れてしまう。現在、ワールドカップ予選などは通常飲水タイムなしで行われているが、Jリーグが常に飲水タイムを設けていては試合感覚が乱れてしまうのではないか。拮抗した試合の中の機微に考えさせられる事象だった。

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ