J論プレミアム

J2で究極の戦いが始まる(えのきどいちろう)

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

 

 

J2で究極の戦いが始まる(えのきどいちろう)えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]六十六段目

 

■驚くほど強いJ2下位チーム。その理由とは

ご存知の通り、僕がウォッチしているチームはアルビレックス新潟だからこの秋はJ2トップ2(京都、磐田)追撃が主題だ。本稿執筆の第31節終了時点で勝ち点57の3位。2位磐田が66だから9差だ。まぁ直接対決を残しているから、シーズン終盤のマクリを信じて勝ち続けるしかない。つまり、今シーズンの成否は「2着にすべり込めるか否か?」に集約される。春頃ならともかく、今は「J2優勝」なんて言うサポーターもいなくなった。リアリズムなのだ。2着までがウイナー。首位ではなく、2位との勝ち点差が最重要項目だ。

その勝ち点差9を追いかけるとき、必要なのは連勝だ。上が勝っていたら勝たねばならず、負けたり引き分けたりしていれば尚のこと勝たねばならない。つまり、勝たねばならない。連勝。できたら大型連勝。「勝負事は追われる方がつらい」と言うけれど、追う方もつらい。ずっと全速力だ。抜けない。

で、最近、よく話に出るのが下位チームが手強いという話だ。残留争いしているチームの気迫がハンパない。戦術的にも実際、いいサッカーをしている。「何でこのサッカーやってて、この順位なのか?」ってやつだ。きつい。死闘になる。そこそこ上位にいる相手の方が楽だったりする。理由ははっきりしている。

今季のJ2残留争いはえぐいのだ。まさに地獄絵図。

まぁ、これをご覧になってる読者には説明無用かと思うが一応書く。すべてはコロナ禍の2020年シーズンに決められた特別レギュレーションに起因するのだ。あまりにも変則的な開催状況(試合するだけでせいいっぱいだった!)に鑑み、J1、J2の両カテゴリーの降格を見送ることにして、翌2021年シーズンに「2チーム自動昇格、4チーム自動降格」(J2プレーオフは実施せず)とした。昨シーズンはこれで救われたチームがいっぱいあった。無観客や入場制限下で行われた未曽有のシーズンだ。入場料収入は激減し、各クラブの経営を圧迫した。特に体力のない地方クラブは苦しい。

「降格なし」は福音として受け入れられた。コロナ収束の見通しの立たないまま、翌2021年シーズンの予算を組まなきゃならない。そのとき、カテゴリーを落した予算組みにしなくてよかったのだ。J1クラブはJ1価格で営業にまわれるし、J2も同様だった。カテゴリーを落すとあらゆるものの相場が下がる。報道も少なくなり、広告価値も下落する。それでなくてもコロナでスポンサー企業も苦しいのだ。バリューがなくなれば(見直しの機会ということで)逃げられてしまうかもしれない。

で、去年は福音だったが、そのツケがまわってきた。「4チーム自動降格」の恐怖。まぁ、降格枠がキャリーオーバーしたのだ。問答無用で4つ落ちる。何か騙された気分だ。コロナは夏場、去年の流行なんかかすんでしまうほど拡大した。秋になっておさまりつつあるが、専門家にもその理由がわからない。いつまた第六波が社会不安を引き起こすか見当がつかない。だから状況は大して変わらないのに「4チーム自動降格」なのだ。去年楽した分、今年怖ろしい目に遭っている。

 

■J3の結果も絡んでくる残留争い

秋になってグッとリアリティを増した残留争いはJ1も熾烈だが、到底J2の比ではない。栃木、山口、群馬、北九州、大宮、金沢、愛媛、松本、相模原と「何でこの順位なのか?」のチームがダンゴ状にひしめき合っている。ひと言で「残留争いしてるチームは要注意」と言っても、これだけの数をマークしないといけない。言っとくけど、ここに並んだチームはみんな強いよ。ここから4チーム、J3に降格するとしたら、来季のJ2昇格戦線は例のないハイレベルなものになるだろう(2022年のJ2昇格枠は2!)。

 

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