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【特集:鉄の男ポステコグルー】「理想と結果は両立できる」マリノスを革新した名将が語る美しく勝つチームの設計図<#1>

 

オーストラリア代表、横浜F・マリノス……鉄の意志をもって指揮したチームを改革してきたアンジェ・ポステコグルー。ギリシャ哲学者のような風貌からも頑固一徹のイメージが先行しがちだが、理想を実現させるための方法論にこそこの「理想主義者」の真骨頂がある。
人々を魅了する稀有なサッカー哲学はいかにして出来上がったのか? そして新たな挑戦の地スコットランドで何を起こそうとしているのか? 日本代表監督に推す声も聞こえてくる名将の正体に迫るべく、英国記者の協力を得て3回に分けてレポートする。

文=田邊雅之
取材協力=サイモン・マロック

 

■近年のJリーグで最も大きなインパクトを与えた監督

ハンス・オフト、ネルシーニョ、アーセン・ヴェンゲル、フィリップ・トルシエ、トニーニョ・セレーゾ、イビチャ・オシム、ドラガン・ストイコヴィッチ、ミハイロ・ペトロヴィッチ、そしてリカルド・ロドリゲス等々。日本サッカーには幾多の黒船が来航し、痕跡を刻んできた。

だが近年、Jリーグで最も大きなインパクトを与えた監督といえば、やはり横浜F・マリノスを率いたアンジェ・ポステコグルーを他においてはいないだろう。

ポステコグルーは15年間もリーグ優勝から遠ざかっていた名門を蘇らせただけでなく、その革新性においてもJリーグに少なからぬ影響を及ぼしたからだ。

 

■シティと互角の戦いを演じたマリノスに英国人記者も感嘆の声

ポステコグルーが、大きなインパクトを与えた背景には、他にもいくつかの伏線がある。

最初に指摘できるのは、オーストラリアサッカーに関するステレオタイプを覆した点だ。

2006年のドイツW杯でサッカールーズに1-3の逆転負けを喫して以来、日本では「オーストラリア=フィジカルなサッカーをする国」という印象が刻み込まれてきた。そのアイコンが、上背こそさほどないものの驚異的なヘディングの強さと決定力を誇る「ジャパン・キラー」、ティム・ケーヒルだったことは指摘するまでもない。

次に挙げられるのは、マリノス就任後の劇的な展開である。

ポステコグルーは監督就任1年目から、ラディカルな攻撃サッカーを標榜。ボール支配率を高めながらラインを高く押し上げ、プレスを展開していくスタイルを推進した。

だが2018年は自らが掲げる高邁な理想がなかなか結実せず、J1を12勝17敗5分けの12 位で終えている。これは過去20年間でワースト2の成績になってしまう(ワーストワンは2001年の13位)。

ところが就任2年目、「ポステコグルー革命」は大きく開花。F・マリノスはFC東京や鹿島アントラーズと三つ巴のタイトルレースを繰り広げた後に、残り3節でついに首位に立つ。そのクライマックスが、ホームで開催されたシーズン最終節、2位FC東京との直接対決だった。しかもF・マリノスは一人退場者を出しながらも3-0で完勝を収め、久方ぶりに銀杯を手にした。

最後は、タイトルを獲得する過程で披露した質の高いパフォーマンスである。

マリノスはFC東京や鹿島アントラーズだけでなく、川崎フロンターレとも名勝負を演じたが、個人的には2019年7月に行われた、マンチェスター・シティとの一戦が印象深い。

たしかにF・マリノスは1-3で振り切られている。だが戦術の革新性においては一歩も引かなかった。それどころか、ポジショナルプレーの本家本元であるシティよりもラインを押し上げ、プレッシングと攻撃を展開する時間帯さえあった。シティに同行してアジアツアーを取材していた知人の英国人記者は、感嘆の声を漏らしていた。

「この試合はフレンドリーマッチだし、いくらF・マリノスの選手たちがアンジェの下で意欲的なサッカーをしているといっても、Jリーグとプレミアリーグでは力の差がある。だから正直、内容にはあまり期待していなかったんだ。
ところがF・マリノスの選手たちは、うちの連中と互角に渡り合ってきた。最後は決定力の差が出たけれど、まさにぶったまげたよ。ペップ・グアルディオラと非常に似たような戦術を駆使して、ここまで真っ向勝負を繰り広げたチームは、少なくとも昨シーズンのプレミアではなかったはずだ。アプローチの違いはあるにせよ、戦術戦のレベルの高さでいえば、それこそユルゲン・クロップが率いているリバプールとの一騎打ちに引けを取らなかったと思う」

 

■「結果は重要だがすべてではない」ポステコグルーが語る哲学の原点

このようなサッカー哲学はいかにして育まれたのか。

 

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