J論プレミアム

【森雅史の視点】2021年10月27日第101回天皇杯準々決勝 川崎フロンターレvs鹿島アントラーズ

第101回天皇杯準々決勝 川崎フロンターレ 3(1ー0)1 鹿島アントラーズ
18:00キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数9,776人
試合データリンクはこちら

 

川崎フロンターレのウイークポイントは明らかだった。左のマルシーニョにボールを回すが鹿島アントラーズのDFを相手に一人で勝負を仕掛けてもなかなか抜けない。コンビネーションを使おうと思ってもノッキングする。それでも無理に左に展開しようとしてチームはバランスを崩しそうになっていた。

そんな川崎を救ったのはオウンゴールだった。32分、脇坂泰斗が蹴ったCKはマルシーニョと競ったDFの頭に当たり鹿島のゴールに吸い込まれる。偶然にも先制点を手に入れたおかげで川崎は落ち着いてゲームを進めた。

鹿島も虎視眈々と川崎ゴールを狙い続けたが、後半に入ったところで、さらに川崎には幸運が、鹿島には不運がやってくる。48分、脇坂が蹴ったクロスを旗手伶央が合わせて追加点が生まれたのだ。これで試合の大勢は決まった。この日の2得点に絡んだ脇坂が51分、ミドルシュートを叩き込んでトドメを刺し、鹿島を後半アディショナルタイムの1点に抑えて川崎が逃げ切った。

弱点をさらしながらも脇坂という主役が急に躍り出てゴールを次々に生み出す。情緒的な表現は分析力の欠如と取られるかもしれないが、この緊迫感のあるゲームを決定づけたのはチームの勢いの差、と書いておくのが一番ふさわしいだろう。

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ