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【森雅史の視点】2021年11月27日 J1リーグ第37節 鹿島アントラーズvsサガン鳥栖

J1リーグ第37節 鹿島アントラーズ 1(1ー0)0 サガン鳥栖
14:04キックオフ 県立カシマサッカースタジアム 入場者数12,645人
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鹿島は今季最後のホームゲームを美しいゲームで締めくくった。14分、右SBに入った小屋松知哉を和泉竜司がかわしてクロスを上げると、中央で相手の死角から入ってきた上田綾世がヘディングシュートを難なく決めた。その後も鹿島はシンキングスピードの速さを生かして鳥栖のコースを読んで反撃の芽を摘み、鳥栖のプレスをかわしてパスをつないで決定機を2度作ったが、GK朴一圭の美技が追加点を阻んだ。

結局そのままタイムアップ。最少得点の勝利ではあったが、鹿島の連綿と続く歴史を感じさせる勝点3だったと言えるだろう。今夏、鹿島から鳥栖に移籍した小泉慶が言う2つの勝負のポイント、「先制点を取った鹿島は強い」「鳥栖は前半で失点すると苦しい」を鹿島はしっかり押さえた。

もっとも鳥栖にしても1失点に防いだとは言えるだろう。右サイドを完全に攻略され、後手に回ってしまった失点場面は、その後の守備ラインの崩壊を招きかねないものだった。だがVARが得点を確認する時間で鹿島ボランチへのプレッシャーを強めることを確認し、残りの試合時間で大崩れはしなかった。だからこそ後半に入り選手を入れ替えて戦術を変更し、ペースを掴む時間帯を作れたのだ。惜しむらくは選手層がもう少し厚ければ、ということになるのだろうが、そこを監督の手腕でどうにかしなければいけないのが苦しいクラブの現状だろう。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート

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