今季の東京ヴェルディはひと味違う!?(海江田哲朗)
『タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。
ベテランとしてチームを引っ張る梶川諒太。左腕に巻く腕章がよく似合うようになった。
今季の東京ヴェルディはひと味違う!?(海江田哲朗)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]七十九段目
■充実の沖縄遠征
那覇空港の到着ロビーを出ると、すでに友人がクルマを停めて待ってくれていた。
ひとまずホテルにチェックインして荷物を軽くし、一路北上、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムを目指す。3月30日のJ2第7節、FC琉球 vs 東京ヴェルディ。多くの緑者が楽しみにしていただろう沖縄遠征は、あいにくの平日開催に割り当てられた。
那覇市を出て、浦添市、宜野湾市と抜けていく道はやや渋滞気味だったが、先を急ぐ旅ではない。キックオフまでは充分すぎるほど余裕があり、3年ぶりに会う人と互いの近況を話しながら距離感をつかんでいくにはむしろちょうどよかった。
いつものひとり旅も気楽でいいけれど、こうして他愛もない話をしながらスタジアムに向かう時間はサッカーの広がりや豊かさを感じさせてくれる。コロナ禍が長引き、少し前までは気安く誘い合わせて行動するのは憚られるものがあった。
さて、琉球戦。8分に草野侑己、36分に野田隆之介にゴールを許し、東京Vは2失点。前節のモンテディオ山形と同じく、またも2点ビハインドの苦しい展開となる。山形戦は3‐3のドローに持ち込んだが、そう何度も挽回できるものではない。開幕からの無敗ロードもこれまでかと観念しかけた。
ところが、前半終了間際にコーナーキックから山越康平のヘディングシュートが決まって1点返すと、後半は疾風怒濤の4ゴールで5‐2と逆転勝利を収めるのである。加えて、試合後は3年ぶりにミックスゾーンでの取材ができ(現在はクラブによってオンラインや会見形式など対応が分かれる)、仕事の充実感も覚えるゲームとなった。
■ピンチはチャンスとなるか
帰路の車中、ふたりして勝利の余韻に浸りつつ、あらためて今年のヴェルディは一体どうしちゃったんだろうと話は尽きなかった。
日程が発表された当初、シーズン序盤の3月まではホームが2試合でアウェーが5試合と偏りがあり、五分の成績で乗り切れれば上出来と見ていた。それがまさかの4勝3分の土つかずである。不安要素はたんまりあって、開幕スタートダッシュはチラリとも想像していなかった。
その後、東京Vは第8節の大分トリニータ戦を1‐0で勝ち、今季初の連勝をマーク。第9節のロアッソ熊本戦を2‐3で落とし初黒星を喫する。現在、順位は2位だ。
僕は、チームの危機的状況やドラスティックな変化におき、新たに開発される能力があることに着目する。
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