天皇杯の大物食い。川崎フロンターレを撃破!(海江田哲朗)
『タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。
若きエース、佐藤凌我の一撃が川崎フロンターレを沈めた。
天皇杯の大物食い。川崎フロンターレを撃破!(海江田哲朗)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]八十五段目
■今まではジャイアントキリングをされる事ばかり
ったく、いいことなんかありゃしねえ。ここ数年、東京ヴェルディは昇格争いを遠くに見やり、コロナ禍のままならなさも相まって、やさぐれた気分になることが少なくなかった。結果が出ないのはそれなりの理由があってのことだから仕方がないとして、内紛や不祥事がこう続くと骨身にこたえる。
実際は目の前の試合で一喜一憂し、アウェー遠征ではその土地のサウナ施設を訪ね(この趣味は全国に広がるJリーグとすこぶる相性がよい)、変わり映えのしない日々にも楽しみを見出し、それなりに愉快にやっていたのだが、生活の中心にでんと居座るチームがこの有り様では全体のトーンが明るくならない。思いのほか好調なすべり出しを見せた今季も、序盤戦を過ぎてから勢いが鈍り、例年の定位置である中位より少し下にポジションを下げていた。
そして、シーズンの折り返し地点で監督交代。城福浩監督の就任2試合目は6月22日の天皇杯3回戦、相手は昨季のJリーグ王者である川崎フロンターレである。
主力の海外移籍により往時の圧倒的な強さは影を潜めているとはいえ、川崎がJ1屈指の強豪であることに変わりはない。新体制となって早々の対戦ではいかにも荷が重いと思われた。
しかも、東京VはJ2に居着いてからというもの天皇杯の成績は散々である。下位カテゴリーや大学生のチームにコロッと負ける一方、J1には一度も勝ったことがない。いやいや、自分が忘れているだけで一度くらいはあるはずだと過去のデータを洗った。何度調べても結果は同じである。愕然とした。常に番狂わせを提供し、引き立て役に甘んじるこの気前のよさはどうしたことか。
よって期待感はほぼなく、サッカーはやってみなければわからないというごく当たり前の淡い望みだけを持って試合当日を迎えた。以前はちょくちょく足を運んでいた等々力陸上競技場は、コロナ以降すっかりご無沙汰だ。南武線の武蔵中原から水色の群れに混ざって、スタジアムまでの一本道をてくてく歩いた。
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