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スペイン指導者ライセンスNivel.1を持つ大和シルフィード 冨山瞳選手 自分の心に素直に動く #女子サカ旅

冨山瞳(トミヤマ ヒトミ)選手は主にボランチでプレー。特徴はロングフィードによる大きな展開。スペイン仕込みの、ボールを奪い取るディフェンスも得意です。2016年の夏に、スペインに旅立ち、3シーズンをスペイン1部リーグ、2部リーグでプレー。20207月に4年ぶりに大和シルフィードに戻ってきました。

とにかく異色の経歴です。その上、日本サッカー協会公認指導者ライセンスC級、スペイン指導者ライセンスNivel.1(日本サッカー協会公認指導者ライセンスC級〜B級に相当)を既に取得しています。冨山瞳選手は、どのようにして目標を達成し、ここまでのキャリアを築いてきたのでしょうか。なぜ、どのように指導者ライセンスを取得したのでしょうか。どうやら「人の繋がり」が重要ポイントのようです。聞いてみました。そして、冨山瞳選手のスペイン生活で印象に残っている旅についてもお聞きしています。ご自身が撮影された美しい写真も紹介します。

好調なスタートを切った大和シルフィード。雰囲気はとても良い

中学生までプレーされ、2016年にもプレーされた大和シルフィードに久しぶりに戻られた印象はいかがでしょうか?

冨山–メンバーは、みんな真面目で素直。オンとオフの使い分けがしっかりしていて、オフのところは笑いが絶えない。これは、以前と変わっていないシルフィードの良いところだと感じます。かなり雰囲気は良いと思います。試合に出ているメンバーも出ていないメンバーもまとまっている感じがします。試合に出ているメンバーは「出ていないメンバーのために」という気持ちがあります。試合に出ていないメンバーは、練習の中で相手役をやらなければならないですが、そこでも各自ができることを一所懸命にやっています。

ご自身はどうですか?

冨山–選手としては試合に出たいのが一番です。日々の練習に120%で取り組んで、出場のチャンスをいただけたら最高のパフォーマンスを発揮する。その気持ちを変えずにやっていきたいと思います。

自らチャンスを掴んだスペイン移籍

スペインでの経験で、考え方が変わったことはありますか?

冨山–帰国して全く別の視点を持つことができました。これまでは当たり前だと思っていたことが当たり前ではないことに気づくとか、客観的にチームや試合の状況を見られるようになったと感じています。例えば、(以前に日本でプレーしていたときは)「オフの日でもトレーニングをやらなければならい」というのがあったのですが、スペインでは「休むときは休む、やるときはやる」のメリハリがはっきりしています。日本の女子サッカーでは「やらなきゃいけない」義務感、使命感が強いので、考え方がかなり違います。体調が万全ではないときに無理やり頑張ることが続くと、楽しくて始めたサッカーが、だんだん窮屈になってやめてしまう選手もいます。指導者には、個々の選手の状況を指導者に理解していただいて、練習時間やメニューを調整することができると、選手のパフォーマンスが上がるのではないかと思うようになりました。 

スペインに行かれてサンタ・テレサCDという一部リーグのクラブでプレーされました。どういう経緯で、また、なぜ移籍されたのですか?

冨山–元々、海外には興味がありました。26歳のときに「引退」という言葉が見え始めてきて将来のことも強く考えるようになってきました。海外へ移籍する夢を実現せずに終わったら後悔すると思って、まず、自分が海外に行きたいということを発信しました。そうしたら、「誰々知っているよ」とか「紹介できるよ」とか、たくさんのお話をいただきました。海外に挑戦する方法とか費用を自分でも調べている中で、運良く、コーディネータを紹介していただきました。その方がトライアウトをコーディネートしてくださったんです。トライアウトに参加した中の1つがサンタ・テレサCDでした。プレーを見てもらってプロ契約しました。

その次はアラベスへ移籍。当時は2部リーグですね?

冨山–移籍は、ほぼ自力で行いました。移籍しようと考えていたのですが、誰も(代理人が)ついていなかったんです。サンタ・テレサCD2年間のシーズンを終え、何も決まってない状態で日本に帰ってきました、そこで、日本からサンタ・テレサCDのチームメイトに相談したりしました。「手伝ってあげるよ」という声もいただいて、これも、また人づてにアラベスのディレクティーボの連絡先をゲットして、直接、やりとり。スペインに渡ってプレーを見てもらって契約しました。

やはり、人のつながりなのですね?

冨山–アラベス以外にも「ここに行ってみなよ」とか教えてもらい、いくつか移籍の候補クラブはあったのですが、その中の一つがアラベスでした。紹介していただいた皆さんには感謝しかないです。

アラベスは日本でも名前が知られたクラブですね?

冨山–乾貴士さん(元日本代表)が加入したことで有名になりました。

通訳されていましたね?

冨山–はい、乾さんの入団会見のときに通訳をさせていただきました。元々、クラブが他の日本人に依頼していたらしいのですが、たまたま不在だったので、自分が話をいただいて、チャレンジだと思って引き受けました。

ご自身の通訳を採点すると10点満点で何点ですか?

冨山–2〜3点ですかね。あまり上手くできなかったです。事前に何を質問されるのかわからないし、乾さんが何を答えるのかわからないという状態だったので・・・YouTubeを後から見ても見ていられないくらいしどろもどろと言いますか・・・。

次はスペインで取得した指導者ライセンスnivel1のお話です。なぜ、現役中に取得しようと考えたのか?そして、日本とは違う、驚きのサポート。さらに、冨山瞳選手が旅の思い出として挙げてくださった過酷なバス移動についてもお聞きしています。

プレーしながら指導者ライセンスエを取得。ここでも人のつながりが生きる

指導者ライセンスをお持ちだということをプロフィールに入れていることが、とても気になりました。いつ、どうして取得しようと思われたのですか?

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