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年間最優秀選手は審判が決め表彰式はドレスアップ 豪州女子サッカーから学べる素敵な出来事

皆さんはオーストラリアのサッカーについて何をご存知ですか?日本と同じAFCの国、ラグビーが盛んな国でのサッカー、男子は日本代表の天敵、女子はFIFA女子ワールドカップのベスト8の常連・・・ですが、国内で、どのようにサッカーが行われているのかをご存知の方は多くないのではないでしょうか。今回は、そんなオーストラリアのトップリーグであるウェストフィールド・Wリーグの一つ下のカテゴリーに当たる州リーグ=National Premier League(通称NPL)でプレーされた日本人女性にインタビューしました。

11月に入ります。日本ではプレナスなでしこリーグの残り試合もわずか。リーグ戦が終わると、例年であれば、表彰イベント等が開催される季節です。12月になれば忘年会の季節ですね。今年はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響で、そのような華やかな季節催事のことをすっかり忘れていましたが、トップの画像で思い出しました・・・今年もあと2ヶ月です。

 

今回、インタビューに応じていただいた尾田緩奈さんは静岡産業大学磐田ボニータ、伊賀FCくノ一、岡山湯郷Belleでプレーされた後にオーストラリアに渡りました。NPLのギャラクシーユナイテッドFCでプロ契約。監督からの評価が高く、岡山湯郷Belleでチームメイトだった福丸智子さんも同時に移籍。外国籍選手枠の2人を日本人選手が占めました。そこで活躍し、1年後に10のクラブからオファーを受けアラメインFCに移籍しています。2020年は、残念ながらNPLCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響で開催できなくなり日本に帰国され、その後、引退を決めました。現在はShoot anilla(シュートアニージャ)に所属し、関東女子フットサルリーグでプレーされています。

オーストラリアでの体験を日本に伝えたい

私は、まず、尾田緩奈さんが、チームメイトだった福丸智子さんと共に立ち上げたアパレルブランドSEVENF.(セブンエフ)のお話をうかがいしました。このSEVENF.のブランドフィロソフィ(哲学)は、実は、オーストラリアで体験した「女子サッカーを取り巻く環境」から生まれています。「プレーのレベルは、プレナスなでしこリーグの方が上」とお二人が感じたNPLですが、見せ方、メディアの使い方、選手のプロフェッショナル意識の高さ、そして、子どもが選手たちに憧れを抱いているところを間近で見て、同じAFCの日本とオーストラリアとは、このままでは差がつくのではないかと危機感を感じたのだそうです。「アパレルをやりたかったというわけではなく体験を伝える手段がアパレル」というのが尾田緩奈さんのお考えです。 

SEVENF.のブランドメッセージ

Football はたくさんの人と人を繋げることができる。言葉が通じなくても、ボール1つでFriendsになれる。そこには Fun から生まれるたくさんの笑顔がある。喜び・悲しみ・悔しさ・情熱さまざまな感情を共にし、Family のような絆がうまれる。国・育った環境・肌の色が違っていてもみんな1人の立派な人間なのには変わりなく、Freedom でいい。大人も子どもも何歳になっても、みんな素晴らしいFuture がある。心が充実するFitness 活動して、それぞれの人生に彩りを。それがプレーヤーであっても、サポーターであっても、家族、友人でも。

さて、オーストラリアでどのような体験をされたのかを紹介する前に・・・書き忘れていました、トップに掲載した華やかな写真をご説明します。これはNPLがシーズン終了後に開催しているゴールドメダルナイトというイベントでの写真です。尾田緩奈さんもドレス姿で参加されています。どのようなイベントなのかは後半でご紹介します(尾田緩奈さんのドレス姿も)。他の写真と動画も掲載していますので最後までご覧ください。そういえば、日本の女子サッカーで、このような華やかなイベントを開催したのは、なでしこリーグオールスター2006前夜祭が最初で最後だったかもしれませんね。なでしこリーグオールスター2006前夜祭については、インタビューの後で、少しだけ触れさせていただきます。

今回の尾田緩奈さんのインタビューのポイントをまとめるとこのようになります。

 

男女ファンの交流、お子さまに提供する体験、オーストラリア女子1部リーグのスタジアムイベントにびっくり

尾田–ウェストフィールドWリーグ(女子1部リーグ)のチームは(ヒュンダイAリーグ)男子チームと同じクラブがほとんどです。男子の前座試合で女子の試合を開催することが多いです。日本だと、男子の試合と女子の試合でスポンサー看板を入れ替えたりする(オペレーションの)問題が出てくると思うのですが、そういのは関係なし。1枚のチケットで男子の試合と女子の試合を見られます。女子の選手を知ってもらうきっかけになります。(女子の試合の)後半になってお客さんがだんだん入ってくると、(女子)選手たちもスタンドの声援でテンションが上がってきて、凄く面白い試合になります。女子の試合が終わると、すぐに男子のアップが始まるので、ピッチの中に4チームの選手がいる状態になります。

撮影:尾田緩奈さん

ヒュンダイAリーグではハーフタイムもピッチ内でイベントを行います。子どもたち100人くらいがピッチに入ってゲームをしたり、ケンタッキーフライドチキンがスポンサーの試合だと、カーネルサンダースのマスコットがGKになって、女性とかおじいちゃんとPK対決をしたりします。さっきまで選手がプレーしていたピッチに入った子ども達が何万人も観客がいる中でゲームをできる。チャンスがあれば、後半開始前に間近で選手とすれ違える。子ども達もワクワクしかない環境、そこに驚きました。

大観衆の目の前でピッチに入れる嬉しい体験 撮影:尾田緩奈さん

—ハーフタイムにお子さんがプレーするのは衝撃ですね。Jリーグだとキックオフ90分前くらいに開催し、お客さんが少ししかいないことが多いです。

 尾田–衝撃でした。まず「ピッチ入っていいんだ!」から。あとはスペインとかでも多いと思うのですが、男女が同じ立ち位置というか、一緒にユニフォームを発表するとか、一緒にメディアに出るとか。例えば、メルボルン・シティとかも男女の選手の差をあまり感じないです。男子でも女子でも「同じメルボルン・シティだから」と取り上げられているのが、とても良いと思います。

多国籍・多民族のオーストラリアで、試合後に必ずすることとは?・・・また驚き

尾田–1年目はギャラクシーユナイテッドFCでプレーしました。オーストラリアは多国籍の国なので、国籍は外国なのだけれど両親の仕事の関係で国内に住んでいる人は外国籍選手枠に適用しないルールもあって、ギャラクシーユナイテッドFCには色々な国の選手がいました。南アフリカとか、イタリアのハーフの子とか人種も様々でした。

翌年にアラメインFCに移籍しました。ウェストフィールド・Wリーグでプレーした選手が、けっこう降りてくるチームで、いつも上位にいるクラブです。去年はオーストラリア女子代表候補が3人出ています。

提供:尾田緩奈さん

—ギャラクシーユナイテッドFCのサイトを拝見したらGalaxy United Policiesというコンテンツがあって、その最初に掲載されているのがAnti-Racism Policy(差別に反対する方針)ですね。色々な国のご出身の方がプレーされているのを反映しているのかもしれないですね。オーストラリアのクラブの施設の特徴はありますか?

尾田–NPLのクラブは、どのクラブも自前のグランドを持っていなければならないです。そして、クラブハウスに、必ずカフェテリアがある。それで、試合が終わった後に、必ずホームチームのカフェテリアで、対戦したビジターチームがホームチームと一緒にご飯を食べることになっています。リーグの試合は1日の最後がトップの対戦です。朝からU-12U-14U-16U-19って、ずっと対戦しているんです。

提供:尾田緩奈さん

—素敵ですね。1日がかりのお祭りみたいですね。

尾田–そうですね。それに、その年代のチームもNPLの他クラブと試合をいつもしているので、ギャラクシーFCU-12に所属している選手も「私はNPLプレーヤーなのよ」っていう感覚です。

男女一緒にゴールドメダルナイト、ひときわ華やかに表彰

尾田–日本の表彰式とは全く違いますね。日本だとカチッとしているじゃないですか。それと男女一緒にNPLとしてゴールドメダルナイトを開催しています。

—まずファッションに驚きました。

尾田–衣装は自前です。ゴールドメダルナイトには全員が出席できるわけではなくて、協会から(特定の選手に)招待状が届きます。でも、私は言われたのが1ヶ月くらい前。何もわからなくて「ゴールドメダルナイトって何?」って聞いたら、チームメイトから「ドレスアップしないとダメだよ」って言われて(笑)、急いで、いろんなお店を回って探し回りました。ドレスを着てヒールを履いて出席しました。とても広い会場(ハイアットプレイス)で、大きな丸テーブルが30個はあってスクリーンは左右と正面で計3つ。横にDJがいて、コース料理の合間の時間に爆音とムービングライトでクラブみたいになります。選手は踊ったりして盛り上がります。

提供:尾田緩奈さん

提供:尾田緩奈さん

年間最優秀選手「Gold Medal」は審判が選ぶ

—最優秀選手の表象はどのように行われますか?

尾田–まず、選手が選ぶベストプレイヤー「Players’Playe」が表彰されます。でも、本当の年間最優秀選手「Gold Medal」は審判が選んでいます。全ての試合後に、審判が良かったと思う選手に投票しています。

1→3ポイント
2→2ポイント
3→1ポイント

私、全然、それを知らなくて・・・結構、試合中は荒いんで、フィジカルコンタクトで当られると「おーい!!」とか(審判に)アピールしていたんですよ。でも、シーズン途中で(Gold Medal選考は)審判が投票するポイント制だって知って「ちょっとポイント欲しいから控えよ」ってなりました(笑)。

 

Jリーグでは、J1全クラブの監督および選手による投票結果をもとに優秀選手賞を決定し、その中からベストイレブン、優秀選手賞受賞選手を決定しています。世界的にも選手による投票はよく見られるのですが、審判による投票には驚きました。確かに、最も選手の近くで試合を見ているのは審判です。

ゴールドメダルナイトの華やかさにも驚きます。日本では「選手のために華やかなステージを提供してあげたい」という想いから、かつて、2006年にモックなでしこリーグオールスター2006前夜祭が開催されました。裏原宿の一軒家ヌーベルシノアのレストランダイニングを2フロア使用した立食パーティ形式。ただ、この前夜祭も一度きりでした。WEリーグがスタートし、また、華やかな舞台を多くの選手達が踏めることになればと思います。

モックなでしこリーグオールスター2006前夜祭

では、この後は、尾田緩奈さんのドレスアップした写真、そしてFIFA女子ワールドカップ2023にお話は進んでいきます。

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