ジェフユナイテッド市原・千葉レディースのネガトラ対応から感じた2020年の日本の女子サッカーのトレンド【石井コラム】
おかげさまで #女子サカマガ は無事に1ヶ月。10月1日にスタートして、たくさんの皆様に記事を提供することが出来ました。ありがとうございました。1ヶ月の節目はフクダ電子アリーナでの取材でした。
ジェフユナイテッド市原・千葉レディース 1-3 日テレ・東京ヴェルディベレーザ
この結果だけを見れば例年通りという感想をお持ちかもしれません。また、別の見方をすれば、第11節で同カードを勝利しているジェフユナイテッド市原・千葉レディースが勝てなかったと考える人もいるかもしれません。第11節ではシュート5本のジェフユナイテッド市原・千葉レディースが1-0で日テレ・東京ヴェルディベレーザに勝利しました。しかし、今日のジェフユナイテッド市原・千葉レディースは敗れたものの、前半だけでシュート数8本。ボール保持率は、おそらく日テレ・東京ヴェルディベレーザが高かったと思いますが、前半の試合全体を支配したのはジェフユナイテッド市原・千葉レディースでした。その理由はネガトラ(ネガティブトランジション:攻撃から守備への切り替え)対応の速さ。シュートの多くは日テレ・東京ヴェルディベレーザ陣内でボールを奪ったことで生じたチャンスからです。とにかく、大滝麻未選手をはじめ、奪われた瞬間から守備のプレッシャーをかけるアクションが速い。さらに、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースは、すぐにボールを奪えなくても、ハーフウェイライン付近に2列目選手のラインを敷き、最終ラインは2列目と間隔を空けずにコンパクトな布陣で日テレのパスに対応しました。後半に入ると、日テレ・東京ヴェルディベレーザが、清水梨紗選手と三浦成美選手を投入することで局面を打開し2点差をつけて勝利するのですが、それまでのジェフユナイテッド市原・千葉レディースの守備には目を見張るものがありました。ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの猿澤真治監督は、試合後のインタビューの中で、守備について、このようにコメントしています。
「相手がボールを動かしてくるチームなので、自分たちが出力を上げればボールを奪えたシーンは多くできたと思います。」
今シーズンのトレンドを感じられる一戦でした
2020プレナスなでしこリーグ1部は、ネガトラ対応が一つの特徴になっているように見えます。既に、伊賀FCくノ一三重は今シーズンが始まる以前から先行して守備戦術を徹底していましたが、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース、ノジマステラ神奈川相模原はシーズンが進むにつれて、守備戦術が洗練されてきた印象です。これは、世界の女子サッカーのトレンドに繋がる一本のレールに乗った動きだと思いますので、#女子サカマガではシーズン終了後に、その実態を聞き出すインタビュー記事を掲載しようと思います。
あっという間の1ヶ月間でした
10月1日に岡島チェアのインタビュー記事を掲載。日本のトッププレーヤーの熊谷紗希選手のインタビュー記事掲載も実現。大和シルフィードの新しい取り組み、下山田選手によるジェンダー問題の提起、過疎の地域の女子サッカークラブの記事も掲載しました。WEリーグ参入クラブの発表に伴い、マイナビベガルタ仙台レディースとアンジュヴィオレ広島の記事に注目が集まりました。でも、#女子サカマガ の特徴が最も色濃く現れたのは「femtech企業はWEリーグに何を期待するのか?」だったと思います。この記事を閲覧してくださった方の多くは、これまで女子サッカーとは接点がほとんどなかったfemtech側の人たちでした。
ご存知の通り、日本の女子サッカーのマーケットは、まだ大きくありません。これまで、スタジアムに足を運んで来られなかった人たちに女子サッカーの価値や楽しさを伝えていく必要があります。その一つを「femtech企業はWEリーグに何を期待するのか?」で示すことが出来たのではないでしょうか。それから、Jリーグのサポーター層が多く購読している「タグマ!サッカーパック」のアクセスランキング(2020年10月30日)では、トップ5に#女子サカマガの記事が2つランクインするという珍事(快挙?)が起きました。少しずつ、女子サッカーに関心を持っていただく人が増えてきたと思います。そういえばTOKYO FMからもWEリーグの解説で出演の声をかけていただきましたね。
11月の #女子サカマガ もご期待ください
さて、2020年12月は、前述の守備戦術のインタビュー記事に加えて、WEリーグ参入を逃したクラブへのインタビュー、ドリブルが魅力のあの選手の歩み、LGBTQについて、大学女子サッカーについて等を用意しています。海外の話題、もちろん、2020プレナスなでしこリーグの優勝決定についてもレポートする予定です。お楽しみに。
石井和裕