存続決定!アンジュヴィオレ広島を取材した理由そして未来へ
2020年11月1日、2020プレナスチャレンジリーグWEST、ホームのアンジュヴィオレ広島は1位と2位の直接対決。試合開始早々の1分にスペランツァ大阪高槻の得点を許すも76分、78分に連続得点して逆転。 アンジュヴィオレ広島が2-1で勝利し首位。勝ち点差を4に広げました。この結果により、プレナスなでしこリーグ昇格に向けて、大きく前進しました。
結城治男監督:ゲームをしっかりコントロールしながら勝ち点3を取ろうと話をした。最初の失点は誤算だった。前半のうちに同点にしたかったが、「慌てることはないよ」とハーフタイムに選手に伝えた。選手たちそれぞれがやるべき役割をきちんとこなしてくれたからこその、逆転勝利だったと思う。今日スタンドに来てくれた約1,600人の観客の応援のおかげで、選手たちは力以上のプレーをすることができたんじゃないかと思います。
MF No.7 本藤理佐:早い時間で失点してしまったことによって、相手のペースで試合が進んでしまった。ただハーフタイムに、しっかりと自分たちのサッカーをしようと話をして後半に臨みました。あと2試合あるので、優勝に向けて1戦1戦勝てるようにしっかり準備して、みなさんにいい報告ができるよう頑張ります。
晴天の広島県総合グランドメインスタジアムに1,657名のファン・サポーターが来場しました。驚くのは、プレナスチャレンジリーグWESTが3部リーグに相当する女子リーグだということです。男子の3部リーグに相当するJ3の平均来場者数(2020年)を見ると、J2経験があるクラブでもCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響に苦しみ、鳥取716名、讃岐580名、冨山1,210名となっています。比較すると、アンジュヴィオレ広島のこの一戦が、いかに重要で注目された一戦だったかが解ります。
ホーム最終戦勝利??
1657人ものサポーターの皆さんありがとうございました?
苦しい時に頑張れたのは皆さんの応援のおかげです?
みんなで掴んだ勝利!めちゃくちゃ嬉しかったです?
残りもがんばろーー!#アンジュヴィオレ広島 pic.twitter.com/CJwD8xUSNx— 松田遥奈 (@haruharu8888888) November 1, 2020
首位争いだけではない注目の理由
「勝ってほしい」に加えて「存続してほしい」想いが、1,657名の来場に繋がりました。アンジュヴィオレ広島は存続問題に揺れていました。2020年9月4日にアンジュヴィオレ広島を運営するNPO法人広島横川スポーツ・カルチャークラブは臨時総会を開催し「このまま10月末までに支援企業やスポンサー資金の目処がたたない場合は、アンジュヴィオレ広島は存続することを断念する」と決議したからです。
試合当日にアンジュヴィオレ広島の存続を発表
10月29日にアンジュヴィオレ広島を運営する法人であるNPO法人広島横川スポーツ・カルチャークラブが臨時執行部会を開催し、アンジュヴィオレ広島の存続を決議しました。11月1日に「アンジュヴィオレ広島存続決定のお知らせ」が発表されました。ひとまずは安堵に胸を撫で下ろしている選手、関係者、ファン・サポーターが多いことと思います。ただ「アンジュヴィオレ広島存続決定のお知らせ」NPO法人広島横川スポーツ・カルチャークラブ 理事長の水戸川旭さんの文章には、このように書いてあります。
10月末までに新たなスポンサー様や今までご支援いただいておりましたスポンサー様にアプローチして事業部形式や冠スポンサーとして等多岐にわたる提案を行ってまいりましたが、存続に必要な条件を現時点では満たすことができませんでした。
つまり「アンジュヴィオレ広島の存続は決定した」しかし「アンジュヴィオレ広島の存続問題は解決していない」ということを、この短い文章は示しています。とはいえ、存続の決定は朗報で、私は、決定の報を知ったとき、試合当日の空と同じように晴れやかな気分となりました。
なぜアンジュヴィオレ広島の存続問題を報じる必要があったのか
私が、ここまで、なぜアンジュヴィオレ広島に関心を示したか、2020年10月16日に「『WEリーグ以降』 アンジュヴィオレ広島存続問題に揺れる広島女子サッカーの未来は?これは全国に通じるモデルケースだ」を掲載したのには3の理由があります。その一つは私が「3月まで広島市西区内の仕事をしていた」ということです。ネット上でできる仕事だったため、ほとんどは東京のオフィスでの業務でしたが、2019年11月24日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が広島を訪れた夜に、私は広島市内にいました。宿泊は、B.LEAGUE・広島ドラゴンフライズが多くの試合を開催する広島サンプラザでした。広島サンプラザは新日本プロレスG1 CLIMAXの会場となる等、中国地方のプロレスのメッカともなっています。アンジュヴィオレ広島は広島市西区の横川にあるNPO法人広島横川スポーツ・カルチャークラブが運営しています。試合が行われた広島県総合グランドも西区にあります。当初はサンフレッチェ広島のホームスタジアムとして使用され、日本代表の名勝負の舞台にもなりました。私は、このような広島市西区の位置関係、人々の雰囲気を肌で感じていたので、この問題を理解しやすかったといえます。
理由1.夢にあふれていた広島市西区
横川駅を降りたとき、大きな屋根の下にアンジュヴィオレ広島の大きな幕が掲出されていることを目にします。初めて見たとき「こんな街があるんだ!」と驚いたことを覚えています。また、広島サンプラザの最寄り駅となる新井口駅近くにもアンジュヴィオレ広島の告知物が掲出されていました。私は、こうした、地域に密着した女子サッカークラブの存在に大きな夢を感じました。
理由2.伝える力が必要だったスポーツ報道
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