【サッカー人気1位】3枚で攻めて4枚で守る 最初から“サッ…

WE Love 女子サッカーマガジン

女子サッカー日本一からスポーツ映像制作日本一へ 西村清花さん(元 日テレGK)皇后杯優勝と22歳の引退

皇后杯 JFA 第42回全日本女子サッカー選手権大会決勝で、日テレ・東京ヴェルディベレーザが浦和レッドダイヤモンズレディースに4−3で勝利し、大会4連覇を果たしました。この大会で3回戦から、日テレ・東京ヴェルディベレーザのゴールマウスを守ったのは西村清花(にしむらきよか)さんです。「西村清花選手」と書かなかった理由は、この試合で現役生活を引退されたからです。西村清花さんは、現在、大学4年生で卒業間近。管理栄養士を目指して学んでいたのですが、2020年12月11日に映像クリエイターになるという新しい未来を宣言。大学に通いながら所属していた日テレ・東京ヴェルディベレーザから年内での引退が発表されました。引退を決めたのは10月だったそうです。優秀の美を飾った西村清花さんの進路が「栄養から映像へ」一転した理由は何だったのでしょうか。

「カイトさんと出会うまでは2021年シーズンも普通にサッカーを続けてWEリーグでプレーすることしか頭にありませんでした。人生が180度全く変わりましたね。このような機会を与えてくださったカイトさんに感謝しています。」

西村清花さんが、日テレ・東京ヴェルディベレーザに加入したのは2017年のことです。2017プレナスなでしこリーグの出場は1試合。2018プレナスなでしこリーグの出場も1試合。2019年と2020年はリーグ戦に出場することができせんでした。4年間のリーグ戦出場は2試合。さらに、2020年シーズンはCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染防止のためスケジュールが変則となりリーグカップが開催されなかったため、引退が発表された12月11日まで出場した試合はありませんでした。ところが、翌日、12月12日に開催された皇后杯3回戦のASハリマアルビオンで先発出場。これを2−0で完封。続く準々決勝戦のノジマステラ神奈川相模原戦も5−0を完封。準決勝戦のマイナビベガルタ仙台レディース戦も4−1で勝利し、日テレ・東京ヴェルディベレーザは決勝戦へ駒を進めました。3試合連続で出場した西村清花さんは、ここまで1失点。決勝戦進出の立役者の一人となりました。

今回のインタビュー記事では皇后杯 JFA 第42回全日本女子サッカー選手権大会決勝の振り返り、日テレ・東京ヴェルディベレーザの強さの理由、そして、西村清花さんの選択についてお話をうかがいました。最後までご覧ください。

 —皇后杯の優勝、おめでとうございます。決勝戦は、たくさんの得点が入った試合です。あのような試合をGKが振り返るとどうなるのでしょうか?

西村–最初は2−0で進み、その後で3点も入れられてしまいました。でも、ちょっと不思議ですが、3点を入れられても負ける気が全くしなかったです。日テレ・東京ヴェルディベレーザはプレナスなでしこリーグを2015年シーズンから2019シーズンまで5連覇していて、負けることがほとんどなかったのですが、2020シーズンはリーグタイトルを獲れなかったです。だからこそ、この1年間は学ぶこと、得ることが多かったです。チームで「皇后杯は絶対に獲ろう」と誓って大会に入りました。それを生かして皇后杯に優勝できて嬉しかったです。

—2得点して2失点するとバタバタするチームが多いですが、日テレ・東京ヴェルディベレーザには、そういう雰囲気もなく、仕切り直していつものようなサッカーをやり始めたように感じました。ピッチの一番後ろから見ていてどのように感じましたか?

西村–ホントそういう感じです。みんながいつものようなプレーをしようとしている感じでした。

—サンガスタジアム by KYOCERAで行われた決勝戦は、例年と比べると観客が少なかったです。2020年シーズンは、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策により静かなスタジアムでプレーすることが多かったと思います。GKは、自分の声が味方選手に届きやすいかどうかを気にするのでしょうか?

西村–特に浦和レッドダイヤモンズレディース戦は、いつもサポーターが熱狂的だから難しいです。2019年シーズンの皇后杯でも応援の声が凄かったです。でも、今回は声なしでの応援だったので(応援の声で遮られず)指示を出しやすかったし、みんなでコミュニケーションをとりやすかったです。日テレ・東京ヴェルディベレーザのサポーターの声は、いつも力になっています。今回も太鼓や拍手で応援していただき力になりました。ただ「いつもと違う感じ」はありました。

好きという才能「サッカーが好き」という凄さ

—試合後のインタビューでチームメイトを「凄い」と表現されていました。日テレ・東京ヴェルディベレーザの選手の凄いところはどこでしょうか?

西村–サッカーを好き! という人ばかりです。オフの日に、チームメイトで集まってご飯に行ったりカフェに行ったりすると、オフでも、毎回、最後はサッカーの話になります。それくらいサッカーを好きです。だから向上心が高いです。それから、みんな仲が良いから、サッカーをするときに気を遣うことが全くなく、意見を出し合い、指摘し合う。それでこそ技術が高まるのだと思います。だからホントに凄いんですよ(笑)。そういうのがあるから、皇后杯は負ける気がしなかったのだろうなと、今、振り返って思います。

—技術的に凄いとかアスリート能力が凄いというよりは、サッカーが好き、取り組みの凄さの印象を、お話から受けました。

みんな、サッカーを好きだから上手くなりといという気持ちが強いので、チーム全体が強くなっていく感じですね。もし仲間同士の関係が良くなかったら、本気でぶつかり合って高い要求をすることは出来ないです。関係が良いから求め合う要求が高いです。日テレ・東京ヴェルディベレーザは、それを出来るので、みんながどんどん上手くなっていくのだと思います。

 

痛恨のオウンゴール……しかし未来がひらけた

西村清花さんの母校・大商学園高校女子サッカー部は「サッカーしかできない人間ではなく、サッカーもできる人間に」をモットーにしています。筆者は全日本高等学校女子サッカー選手権大会をそれほど熱心に見ているわけではありません。それでも大商学園高校での西村清花さんのことをよく覚えています。筆者がご本人に、そのことを伝えると、間髪入れずに「オウンゴールですか?」と笑って言葉を挟み込んできました。私も笑って「……あ、そうです。」と答えました。ただ、本当のことを、ここで正直に告白すると、あのオウンゴールのシーンを覚えていません。覚えているのは、その翌年の大会の大活躍、準々決勝戦と決勝戦のことでした。跳躍力を活かしたダイナミックなセービング、その美しい姿を、今でも脳裏に再現することができるのです。

西村清花さんが有名になったのは2016年。第24回全日本高等学校女子サッカー選手権大会・準決勝でのオウンゴールでした。優勝候補の藤枝順心高校との熱戦でしたが、まさかのオウンゴールによる失点もあり敗退となりました。この大会で優勝したのは対戦相手の藤枝順心高校でした。翌年、3年生になった2017年第25回大会の準々決勝戦。連覇を狙う藤枝順心高校と再び対戦することになりました。今度は西村清花さんがゴールを完封。2−0で藤枝順心高校を下しました。決勝戦は残念ながら0−1で十文字高校に敗れ準優勝となり、西村清花さんが目指した高校女子サッカー日本一を獲得することはありませんでした。しかし、試合を放送するTBSは、選手個人に焦点を当てて特集を組むため、この2つの大会を通して、西村清花さんは、かなりの時間を使ってTBSの電波を独占したのでした。そして、2017年の第25回大会を迎えるとき、西村清花さんは既に「卒業後の日テレ・東京ヴェルディベレーザ加入が決まっている」と番組で紹介されていました。

 

—なぜ西村さんが大商学園高校から日テレ・東京ヴェルディベレーザに加入したのか、ずっと不思議でした。日テレ・東京ヴェルディベレーザは下部組織の日テレ・東京ヴェルディメニーナから昇格された選手がほとんどで、外から加入される方が少ないです。なぜだったのでしょうか?

西村–きっかけは大商学園高等学校の関東遠征でメニーナと練習試合をしたことでした。練習試合の後で日テレ・東京ヴェルディベレーザの方が「練習に来ないか」と声をかけてくださりました。日テレ・東京ヴェルディベレーザの練習に参加した後で「よかったら入りませんか?」と誘っていただきました。なんか、そのときの自分は、進路を全く考えていなくて、高校女子サッカー日本一を獲ることだけを考えていました。日本のトップの日テレ・東京ヴェルディベレーザに声をかけていただいてびっくりしました。そんなチームに入れるチャンスを絶対に逃しちゃだめだと思い、すぐに入ることを決めました。

入ってみると高校レベルのサッカーと日テレ・東京ヴェルディベレーザのサッカーの差がもの凄く大きくて驚きました。高校では、自分はできる方だと思っていたのですが、加入した最初の一年はシュートを止められず、紅白戦でも自分が入ったチームが、ほぼ負けてしまう。何も出来なくて、レベルの差を痛感しました。

—それから4年間も続けられた原動力は何ですか?

西村–サッカーを好きなこと。悔しい気持ちを毎日感じていたこと。親、友人、いろいろな人に応援してもらったこと。そしてチームのみんな。みんなが支えてくれました。何度も「一緒に頑張ろう」と言ってもらいました。

映像制作の仕事をやりたいと思ったのが引退の一番の理由

—日テレ・東京ヴェルディベレーザの動画を作り始めたのはいつからですか?

西村–動画自体は作り始めたのが8月くらいからで、日テレ・東京ヴェルディベレーザの動画を作ってTwitterに公開したのは11月ですね。

—なぜ始めたのですか?

西村–8月に、映像クリエイターの浅倉カイトさんのインスタライブを見たのがきっかけです。カイトさんの考え方、生き方がカッコいいと思ってコンテンツを見始めました。こういう仕事もあると知って、そこから映像制作に魅力を感じました。サッカーは、今も大好きです。でも、それ以上に映像制作の魅力を感じて、映像制作の仕事をやりたいと思ったのが引退の一番の理由です。

MACでの作業 提供:西村清花さんさん

—そこまでの魅力とは何なのでしょうか?

西村–一番は、映像が人の心を動かせるところです。これまでもチームでモチベーション映像を作ってもらって自分は「よしやってやるぞ!」という気持ちになって試合に臨めました。逆に自分が作った映像をチームメイトに送って喜んでもらえました。作り方にいろいろな技術があるし「この人をどのような映像化すると魅力を活かせるか」とか考えていくと奥が深いです。

 

この動画を公開すると、長谷川唯選手、そして、同じGKのポジションを争ってきた山下杏也加選手、黒沢彩乃選手が引用リツイートをして拡散しました。

 

—既にお作りになった映像にTwitterなどでたくさんの反響をいただいていますね。

西村–まだ映像クリエイターとして勉強中です。カイトさんやフリーランスの人たちから勉強させていただいて、撮影や編集の経験もさせていただいています。カイトさんとの出会いがあったから、いろいろなアスリートとお会いできていますし、映像制作スキルを上げる近道になっています。

—以前に見ていた動画コンテンツや映画などはありましたか?

西村–YouTubeは浅倉カンナちゃん(格闘家)、那須川天心くん(格闘家)のYouTubeを見ていました。以前は面白いから見ていたのですが、今は、テロップ、動画の繋げ方や動きの入れ方を見て、自分で方法を調べたりしています。勉強になります。映画は『魔女の宅急便』『きみに読む物語』『7番房の奇跡』が好きですね。

西村清花さんは、太田忍選手のYouTube担当、アスリートによるYouTubeの撮影を既に行っています。

アスリートだった人にしかできない映像制作がある

—どのような映像を作りたいか夢やイメージはありますか?

(残り 1895文字/全文: 7133文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック