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WEリーグ優勝と初代得点女王を狙います!  自分の課題と向き合って変身 なでしこジャパン浜田遥選手の #女子サカ旅 あの悔しさとは?

国際親善試合、なでしこジャパン(日本女子代表) 対パラグアイ女子代表(4月8日 宮城/ユアテックスタジアム仙台)に向けて、浜田遥選手が意気込みを語ってくださりました。

「震災から10年ということがありますし、ホームタウンで試合ができることは、日頃、応援してくださっているサポーターの皆さんも期待してくださっていると思います。自分自身は出場したい強い気持ちがあります。」なでしこジャパン(日本女子代表)候補 トレーニングキャンプにて

浜田遥選手 なでしこジャパン(日本女子代表)候補 トレーニングキャンプにて

「何年ぶりだろう?というくらい久しぶりに右サイドハーフをやりました。背後への抜け出しは2列目からでも常に狙ってやりました。結果を残し続けることでしか自分は生き残っていけないと思うので、誰よりもゴールという結果にこだわり続けてやっていきたいと思います。」マイナビ仙台レディースによる、なでしこジャパン(日本女子代表) 4月国際親善試合メンバー選出記者会見にて

なでしこジャパン(日本女子代表)高倉麻子監督は、浜田遥選手について、このようにコメントしています。一部をご紹介します。

浜田選手は、昨年にチームが苦しんでいるときに、どんな形でも点を取るという結果を残した選手。なでしこジャパンにはちょっといない泥臭い、ゴールの嗅覚が高い選手と思って呼んでいます。とにかく彼女は学ぶ姿勢が素晴らしいです。自分にないものを吸収して、なんとかここで結果を残していきたい強い思いを感じます。」

高倉麻子監督 なでしこジャパン(日本女子代表)候補 トレーニングキャンプにて

ついに、その能力を日本女子代表で発揮する日がきたかもしれません。震災から10年。ユアテックスタジアム仙台で開催される対パラグアイ女子代表(4月8日 宮城/ユアテックスタジアム仙台)は、オリンピックのメンバー選考に向けても重要な試合です。

2020年に乗り越えた大きな壁

マイナビ仙台レディースのエースとして活躍する浜田遥選手がプレナスなでしこリーグ部デビューデビューしたのは2010年シーズン。所属クラブは福島県のJヴィレッジを活動拠点とする東京電力女子サッカー部マリーゼでした。翌2011年に発生した東日本大震災で東京電力女子サッカー部マリーゼが休部するとスペランツァ大阪高槻へ移籍。高槻市は実家のある街でした。

2014年シーズンから、再び東北地方に戻り、東京電力女子サッカー部マリーゼの先輩選手らとマイナビ仙台レディースでプレーします。2015年シーズンから2019年シーズンまで、浜田遥選手はエース番号の背番号10を背負いました。その間、それぞれ1年間の得点は4点〜6点。U-20女子ワールドカップ2012での浜田遥選手の大活躍を知る筆者にとって、この間の浜田遥さんの活躍には、ややもどかしいものがありました。

2020年は背番号が6に変更となり、過去最高の15得点を記録しました。一転して得点ランク2位の大活躍です。そして、2021年シーズンのWEリーグでは、既に発表された通り、浜田遥選手が再び背番号10を背負います。支えてくださるコーチ陣、スタッフ、チームメイトに後押しされ、キャプテンとしてWEリーグ1年目のシーズンを迎えます。

今回のインタビュー取材では、飛躍した2020年シーズンのこと、10年間の歩みのこと、WEリーグへの意気込みのことを語っていただきました。2020年シーズンに大活躍された理由は、筆者の予想とは全く異なりました。そして、最後に、謎めいた2020年12月31日の、あのツイート「個人的にしんどく辛いどん底から始まった年でした。」の背景についても語っていただきました。ぜひ、最後までご覧ください。

 

浜田自分の中で震災から10年の節目(の2021年)は大きいです。あれから、いろいろな人の想いがあって、このチーム(マイナビ仙台レディース)は続いています。その想いを繋いでいきたいです。ここ数年間は上位に食い込めなくて悔しいシーズンが多かったです。一人一人が持っているものは良いので、もっと伸び伸びと純粋にサッカーを楽しみながら仲間のために戦っていきたいです。

—マイナビ仙台レディースでは、チームの良い雰囲気を浜田さんがお作りになられている気がしますがいかがですか?

浜田私は本当に、素で楽しくやっています。みんな、年齢に関係なく仲が良く、本当に明るいので、笑顔でやれています。みんなのおかげです。

2020年シーズンは得点が増え、ゴールを奪う型もできた飛躍のシーズンだったと思います。いかがですか?

浜田得点を強く意識したシーズンでした。二桁得点を取る目標を達成するために、具体的に必要なことを書き出して、何をすべきかを整理しました。練習でも、やり方を変えました。これまではたくさんのシュートを打っていたのですが、2020年シーズンは試合のシチュエーションを想定して本数を決めて打つようにしました。出てきた課題を振り返って、毎日を過ごしました。その結果が得点に繋がったと思います。

シュート練習は楽しいので、これまではワイワイやっていたこともあるのですが、2020年はゴールキーパーにお願いして1人で緊張した状態を作って練習したり、ディフェンスラインの北原佳奈さんにお願いしてディフェンスを背負った状態でのボールコントロールの練習をしたりしました。

終盤戦は得点女王争いになったので、チームメイトのみんなも、私に得点を取らせようとパスを出してくれました。その気持ちがボールに乗って届いていたというか、みんなから伝わってきて……チームメイトに恵まれていると思いました。

練習方法を変えたきっかけはありますか?

浜田2020年シーズンの開幕から3試合は出場機会がなく、そのときに「本当に自分の課題と向き合わないと試合には出られない」と思いました。使われなかったのは自分の力不足が原因。自分に足りないところがあるから使われないのだと思いました。毎日の取り組みから変えていかないといけないと思って変えていきました。あのとき、課題に正面から向き合えて良かったと思っています。「試合に出られなくても頑張っているチームメイト」や「長期間の怪我をしても頑張っているチームメイト」もいます。その姿を見て、私も頑張らなければならないと思い練習方法を変えました。

松田監督が就任されました。ご自分を変えるためにはぴったりのアドバイスをしてくださる監督だと思います。松田監督についてはどのような印象ですか?

浜田毎日の練習が新鮮で、頭を使わないと楽しむところまでいけません(笑)。私は、これまで感覚でプレーしすぎていたので、今、頭を使いすぎて上手くできないところもあります(笑)。でも、それも、チームメイトと話をしながら、どうやったらできるのか取り組んでいるのが楽しくて……上手く出来ないことが楽しいです(笑)。本当に、全然、できていないのですが(笑)。

練習前にピッチにマーカーが置いてあります。松田さんが監督になってからは、ピッチがマーカーだらけになっていて練習前に練習内容の予想ができません(笑)。

 

株式会社マイナビはマイナビ仙台レディースを運営する株式会社ベガルタスポーツクラブを、2021日付けで子会社化。株式会社マイナビフットボールクラブとなりました。プレスリリースでは「東日本大震災を経験した地域で営まれてきたチームの伝統を受け継ぎ、復興のシンボルとして地域の皆さまを笑顔にする取り組みを続けてまいります。」と、決意を表明しています。

 

三色の意味が深くて良いロゴマーク

新体制で、ここが変わったというところはありますか?

浜田ロゴですね。とても良いと思いました。三色の意味が深くて良かったです。特に水色がマリーゼ(東京電力女子サッカー部マリーゼ:浜田選手がかつて所属)に似ていたので、とても嬉しかったです。チームメイトとも話をしました。「めっちゃ良いよねー」と、みんな言っていました。

練習では去年まで選手だった小野瞳さん(フロントスタッフ)、有町紗央里さん(アカデミーコーチ)、田原のぞみさん(アカデミーコーチ)が(選手のサポートや撮影等)入ってくださります。そういう部分でも私たちを支えてくださります。佐々木勇人さん(コーチ)も足元が上手でボールを取れません。フィジカルコーチの山守杏奈さんも昨年までプレーしていたので、スタッフ全員がとても高い技術を持っているのでとても贅沢だと思います(笑)。

 

「アスリートキャリアスクール」の講師を務める

「競技力」と「ビジネススキル」双方の向上を目的とした無料スクール「アスリートキャリアスクール」をご存知でしょうか。浜田遥選手は、このマイナビが開催している現役アスリートや運動部学生向けのスクールの講師を務めました。受講生に考えを伝えられたのでしょうか。

浜田 20201218日の講師のお話をいただき、半年間の準備をしました。受講される人の背中を、少しでも押したいとおもって臨みました。実際に講師をやってみると受講された大学生が積極的で、自分も学ぶべきところが多くありました。良い機会をいただきました。

講師のお話を最初にいただいたときは、どのように思われましたか?

浜田不安でした。自分が経験していることを言葉にして伝えたことがなかったからです。自分の講義は「自分自身の強みを見つけるセルフプロデュース」がテーマでした。本人が気づいていない強みを自分(私)が見つけてあげるやり方で行ました。事前にチームメイトに練習しました。

こういう機会を得られるのもの「マイナビのチームの特権」みたいな感じがしますね。

「アスリートキャリアスクール」の講師に取り組む浜田遥選手

プロになって、これまでと変化するところはありますか?

浜田今まで以上の結果を求められると思います。それから、選手はオフでも見られていると思います。宮城県で初の女子のプロチームなので、子供達に夢を与えられる存在にならなければならないと思います。

「見られる」意識を既にされていますか?

浜田今までも意識はしていたのですが、より「見られる」と思います。自分が小学生のときは「(自分の好きな選手が)いるかなー?」と周囲をキョロキョロ見ていました。今は、自分が女子プロサッカー選手になりました。どこかで私を見ている小学生をがっかりさせたくありません。より強く「見られる」意識をして行動しています。

宮城県で初の女子のプロチームという表現をされたということはサッカーの競技の範囲を超えて「プロスポーツ選手はどうあるべきか」という意識をお持ちなのでしょうか?

浜田マイナビの名前を背負っていることが大きいです。「マイナビがプロチームを立ち上げた」と聞いている人が多いからです。私たちがWEリーグで結果を残して「マイナビといえば女子サッカー強いよね」と言われるように頑張っていきたいです。だから、まずは「サッカー選手として」というよりも「プロスポーツ選手として」行動しています。

これも、たくさんのスポーツを応援してきたマイナビらしさが現れたお考えですね。他のWEリーグクラブにはない新鮮な視点なので、とても興味深いです。

 

今後の目標を教えてください。

浜田今シーズンはWEリーグで優勝することが目標です。個人の目標は初代の得点女王です。今までにはない形からの得点を増やしていけたらと思います。本気で全員が優勝したいと思っています。今までも優勝したい気持ちはありましたが、本当に優勝しようと、今までにない強い想いです。そのために、お互いを高め合って練習したいです。

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