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魅力を引き出す試合を作りたい  2020プレナスなでしこリーグの最優秀審判賞受賞 梶山芙紗子さん(女子1級審判員)インタビュー

梶山芙紗子さん(女子級審判員)が2020プレナスなでしこリーグの最優秀審判賞を受賞されました。パンツスーツに身を包み表彰式に参加される選手が多い中で、梶山芙紗子さんは、一際美しく着こなしていらしたため強く筆者の印象に残りました。かねてから、プレナスなでしこリーグの審判員へインタビュー取材を希望していた筆者は、表彰式の当日に、梶山芙紗子さんへの取材申請を決断したのでした。その後、調べてみると梶山芙紗子さんが多くのJFL(男性)の試合を担当されていること、J2でも第4審判を担当されたことが分かりました。それを踏まえて、審判のポジショニングについてお聞きしたいと考えました。インタビュー記事の後半でご紹介します。前半では、コロナ禍での審判員のご苦労、そして、審判員の楽しさ、やりがい、WEリーグについて、たっぷりとお話をうかがっています。最後までご覧ください。

提供:日本サッカー協会

なぜ審判員を目指したのですか?

梶山私は選手をしていました。それから、指導者になって帯同審判(大会等では参加するチームの指導者や役員等が審判を担当する)をしなければならなくなって審判資格を取得しました。やるからには上を目指してみたくなり、女子1級審判員資格まで取得してしまいました。サッカーに関わる人には、選手、指導者、フロントスタッフ等、多くの役割がありますが、サッカーに関わり続ける一つの道として審判があると思います。

2020プレナスなでしこリーグ最優秀審判賞を受賞

—WEリーグ開幕に向けて抱負をお願いします。

梶山女子サッカー界の新たな歴史に携われることが素晴らしいと思っています。皆さんと共にWEリーグが盛り上がるよう、審判員としてスタートに力を注げるよう準備をしていきたいです。プロ化によって日本の女子サッカーが盛り上がっていけば良いと思っています。たくさんの方が見に来てくださって「サッカー楽しいな」「サッカーって良いな」と思っていただけるようなWEリーグになればと思います。

 

選手の姿に感動しながらピッチに立てた2020年シーズン

梶山COVID―19(新型コロナウイルス感染症)の影響で、大幅に遅れて7月18日に半年間のプレナスなでしこリーグが開幕しました。開幕を迎えたときサッカーをできる喜びが大きかったです。私は、サッカーに真摯に向き合えたので、2020年のプレナスなでしこリーグは、何よりも楽しくやれた半年間でした。サッカーに感謝し、運営してくださるみなさん、選手の姿に感動しながらピッチに立てたことが、2020年シーズンは一番の思い出だったと思います。その中で、大きな、勝敗に関係するようなミスはありませんでした。一つ一つの試合を最後までやり切れました。それが、私への評価に繋がったのだと感じています。

コロナ禍 「私の笛、鳴るかな?」という不安な気持ちはありました(笑)

なかなか開幕しなかったことへのフラストレーションは、審判の皆さんも、選手の皆さんと一緒ですか?

梶山そうですね。「どうなるのだろう?」と常に思っていました。自分たちは、いつ開幕されても良いトレーニングをしていなければならない。日本サッカー協会から、たくさんのオンライン研修をしていただきました。手厚く、ありがたい研修であると同時に、ZOOMの研修で、みんなの話を聞いていると「大変だな」「みんな同じ気持ちだな」と思いました。1試合も笛を吹いていない状態が続いたので、試合が始まるまでは「私の笛、鳴るかな?」という不安な気持ちはありました(笑)。トレーニングも必要で、近場で活動する審判と少人数の合同トレーニングを土日に行うこともありました。「みんなで頑張ろう」という気持ちを一緒に作りました。

審判の方も「試合勘」というのはあるのですね。

梶山そうですね。6ヶ月間も試合のピッチに立っていなかったので「実際にピッチに立ってみないと」というところはありました。2020年シーズン最初の試合の前に、ボールを置いたとき「さあやるぞ。戻ってきたぞ。」という感じでした。

コロナ禍での審判の難しさや増えた仕事はあるでしょうか? Jリーグでは飲水タイムが全試合で加わりました。

梶山会場の運営の方が、私たちが何も不安に感じることがないくらい準備をしてくださりました。日本サッカー協会から、現場の不安をヒアリングする機会もありました。試合が終わるたびに、審判アセッサーから「今日はどうだった?」を聞いていただきましたし、本当に多くのサポートをしていただいたので、私たちは気持ちよく審判をさせていただきました。プレナスなでしこリーグでも、全試合で飲水タイムがあったのですが、女子の試合では過去にも飲水タイムは多く行われていて、それほど難しいことはなかったです。元々、真夏の昼間のリーグ戦もありましたからね。Jリーグでは、今までにあまりなかったことですから、大変だったかもしれませんが、女子の方がコロナ禍の試合に適応力があったのでは(笑)。

 

女子の試合は難しい?

女子特有の判定のシチュエーションはあるのでしょうか?

梶山女子の私には特にはないのですが、普段は男性の試合を担当している男性の審判からは「女子の試合は難しい」と言われます。女子選手は「なんとなく倒れてしまう」「2人の選手が一緒になって崩れて倒れてしまう」ということがあります。ファールが見えにくい、判りにくいということです。男子の試合はパワーがあるのでファールがはっきりしています。私は、その難しさを感じないのですが……。

私は、むしろ、男子と女子の違いより、海外の女子サッカーと日本の女子サッカーの違いを感じます。海外の選手は足元深くまでタックルが入る印象がありますね。

怪我への対応について注意していることはあるでしょうか?

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