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西武ライオンズ・レディース 出口彩香選手インタビュー WEリーグがどのようにやっていくのかを勉強したい

皆さんは、女子野球について、何をご存知でしょうか。実は、今、女子プロ野球は公式戦(ヴィクトリアシリーズ)を開催していません。女子プロ野球選手として登録する選手が若干名となったからです。明るいニュースは2020年1月の西武ライオンズ・レディース発足。そして、後を追って阪神タイガース Womenも誕生しました。いずれもアマチュアのクラブチームです。

残念ながら、COVID―19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大で、2020年のヴィーナスリーグ関東女子硬式野球大会は開催されませんでした(関西ではラッキーリーグ 関西女子硬式野球リーグも開催されませんでした)。そして、2021年もヴィーナスリーグの開催は目処が立っていません。

2020年に開催された全国レベルで唯一の公式大会は第15回 全日本女子硬式クラブ野球選手権大会です。埼玉西武ライオンズ・レディースは、この大会に初出場で初優勝しました。今回は埼玉西武ライオンズ・レディースの出口彩香選手にお話をうかがいしました。出口彩香選手は右投右打の内野手。日本女子代表としても活躍しWBSC女子野球ワールドカップの六連覇のうち3回の優勝に貢献しています。埼玉西武ライオンズ・レディースの所属選手第一号となった2人の選手のうちの1人で、2020年1月に開催された設立記者会見にも参加されています。

女子野球の現在地はどのようになっているのでしょう。そして、女子野球の選手から、WEリーグは、どのように見えるのでしょうか。

出口彩香選手 提供:埼玉西武ライオンズ・レディース

まさかの展開で埼玉西武ライオンズ・レディース入りへ

出口埼玉西武ライオンズ・レディースの前にハナマウイという企業チームにいました。その前は大学を卒業して女子プロ野球に2年間いました。大学生のときに、全国の女子チームがプロ・アマ世代を超えて日本一を争う女子野球ジャパンカップ……サッカーでいう天皇杯のような大会に出場しました。そこでプロと対戦して負けました。優勝したのもプロのチームでした。凄く悔しかったので「プロに行ってやるしかない」と思い、高いレベルのプロチームに入団することを決めました。

ただ、入ってみると、自分がプロ野球選手になりきれなくてプロチームをやめました。大学のときは「全員で勝ちにいこう」という考えでした。「自分が犠牲になってもチームが勝てば良い」という考えでした。自分が経験したプロチームでは「試合に負けても自分の成績が良ければ良い」という考えの人もいました。そういうのが悔しかったです。自分の性格的に向いていないと思ってしまい、アマチュアに戻りました。

お話を聞くと、私は「試合に負けても自分の成績が良ければ良い」という考えの方が自己満足でアマチュアっぽく感じますね(笑)。プロとしての考え方が色々ある中で、そのチームのやり方が、出口さんの性格に合わなかったのでしょうね。埼玉西武ライオンズ・レディースに入られたのはなぜですか?

出口監督の新谷博は自分が大学のときの監督でもありました。ずっと以前から「俺とクラブチームを創らないか?」と誘われていました。ハナマウイにいるときに、監督が、また言ってきて(笑)……。強いクラブチームを創れば、若い子が「ここに入りたい」という目標になるのでやってみようかなと思っていました。そんなときに、監督と埼玉西武ライオンズにご縁があって、私には、いきなり西武ライオンズ・レディースが出来るという話が来ました。

埼玉西武ライオンズを背負う責任を感じた記者会見

では「ライオンズだから移籍しよう」と考えたのではなく、監督と新しいクラブチームを創ろうかと思っていたら埼玉西武ライオンズ・レディースが誕生したという流れなのですか。

出口ビックリしたし嬉しかったです。設立の記者会見がありました。30名くらいの記者の方が出席されました。今までの自分の日本女子代表での記者会見とは比べ物にならない、テレビで見るような大きな緊張する記者会見でした。そこで「埼玉西武ライオンズを背負う以上は責任を持たなければならない」という自覚が出ました。また、ユニフォームのデザインが、埼玉西武ライオンズと全く一緒でした。最近では、女子野球用にユニフォームのズボンでも女子仕様の商品があるのですが、NPB(日本野球機構)球団の女子チームは男子と同じユニフォームです。重みを感じました。埼玉西武ライオンズ・レディースはNPB球団初の女子チームです。最初は、そこまでは想像しなかったですが、自分たちが成功することで、他のNPBチームも女子チームを設立するかもしれません。だから「このチームが女子野球界を牽引しなければならない」という気持ちになりました。

男子と同じユニフォームを着た出口彩香選手 提供:埼玉西武ライオンズ・レディース

設立の意義をどのように捉えていますか?

出口今まではNPBの球団が女子チームを持つことがなかったです。埼玉西武ライオンズ・レディースの設立を契機に女子野球が進んでいることを感じます。企業チームやクラブチームの数は増えています。女子硬式野球部がある高校が全国で44校になりました。注目度が高まっています。埼玉西武ライオンズのファンの方からも、埼玉西武ライオンズの女子チームということで注目していただいています。嬉しいです。

埼玉西武ライオンズの女子チームができるということを最初にお聞きになったときは、どのような感想だったのでしょうか?

出口率直に嬉しい気持ちでした。今までは「女子野球をやっています」というと「野球なの?ソフトボールじゃないの?」という反応が結構あったのですが、今は「野球は最近、人気だもんね」という声をいただくこともあります。

野球が他の女子競技と違うところは、ソフトボールの存在ですかね?

出口サッカーならば男子サッカーがあって女子サッカーです。卓球でもそうです。野球の場合は女子にソフトボールがあり、ソフトボールはオリンピック競技です。そこに、これまで女子野球に注目が集まらない理由がありました。実は、日本の女子野球は世界ランキング位でWBSC女子野球ワールドカップを六連覇しています。それでも、世間では「女子野球六連覇凄い」とまでは、なかなかならないので、どうしたら壁を打破できるかが課題です。

その意味では、NPBのチームが女子チームを始めたというのは大きな出来事になりましたね。

2020年の日本最強の座を獲得

2020年に第15回 全日本女子硬式クラブ野球選手権大会で初優勝されました。これは凄いことですね。

出口埼玉西武ライオンズを背負って誕生したチームが初めて参加する大会なので、優勝しなければいけない。そこだけに集中して臨みました。他の大会が開催されず、ヴィーナスリーグ関東女子硬式野球大会(日本最高峰のリーグ戦)も中止。これしか強さを見せつける大会はありませんでした。優勝すればチームの名前が露出します。NPB12球団の中で「埼玉西武ライオンズよくやってくれた」と言われることにもなります。ここがターニングポイントになるくらいの気持ちで試合に臨みました。

チームが始動したのは2020年3月でした。しかし、COVID―19(新型コロナウイルス感染症)で、一度、練習を停止しました。7月から練習を再開したので、大会までヶ月くらいしか準備期間がありませんでした。しかも、練習は、土日・祝日しかないのでチームワークは整っていませんでした。練習試合を重ねるごとに良いチームになっていきました。ポテンシャルが高い選手が多いチームですが、団体競技ですから、チームワークの力が優勝するために必要でした。

第15回 全日本女子硬式クラブ野球選手権大会を優勝 提供:埼玉西武ライオンズ・レディース

チームが創設されたけれど練習ができず、大会日程が迫ってくるというのは、かなりの不安だったでしょうね。

出口そうですね。この大会でボロ負けすると話にならないですからね。優勝できてよかったです。大会の途中で、試合を重ねるごとに試合勘が戻って、チームワークが出来てきました。大会の途中ですね「このままいけば優勝できるかもしれない」と思えるようになったのは。大会前の練習試合では「このままだと100%勝てない」と思っていました。ギリギリで間に合った優勝ですね(笑)。

兄の影響で野球を始め、どうしても日の丸を背負いたい思いに

出口兄の影響で野球を始めました。周りにも「きっかけはお兄ちゃんの影響」という人が多いです。野球の楽しさを覚えたのは高校生くらいです。中学校には女子チームがなくて、クラブチームで男の子の中に混じって野球をやっていました。練習についていくのが大変だし「二人組でストレッチしろ」と指導者に言われると、どうしても私だけ余るんですよね。やめたいと思った時期もありました。でも「日の丸を背負うまではやめられない」と思ってやっていたら、いつの間にか楽しい野球を見つけました。

「楽しい」の話の前に「日本女子代表(日の丸を背負う)」が出てくるのが面白いですね。

出口(笑)小学校6年生のときに卒業文集に「女子野球でオリンピックの選手になる」と書きました、野球はオリンピック競技じゃないのに(笑)。ただ、どうしても日の丸を背負いたくて野球を始めました。

本当はソフトボールと勘違いしたのかもしれないですね。

出口そうかもしれないですね(笑)。決めたら、夢が叶うまでやらないと気が済まない性格です。ずっとやり続けていたら、今に至りました。

好きになるのに、そういう順番もあるのですね。自分の周囲に野球をプレーする女性がいなかったと思うのですが、それは気になりませんでしたか?

出口「ソフトボールじゃないんだ」と言われることはありましたが「女の子なのに、なぜ野球なの?」とは言われたことはなかったですね。

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