選手の出産に対する新しいスタンダードを自分達が作ってあげたい WEリーグ ジェフユナイテッド市原・千葉レディース 三上尚子ゼネラルマネージャー(後篇)
前篇では、ゼネラルマネージャーの役割、女性活躍の考え方について、ゼネラルマネージャーの三上尚子にお話をうかがいました。Jリーグをずっとご覧になっている人にとっては、ちょっとお堅いイメージがあるかもしれないジェフユナイテッド市原・千葉が、なぜ、レディースチームでは先進的な取り組みを発表し続けているのかについて、筆者は理解することができました。
女性活躍のパイオニアになろうと誓った WEリーグ ジェフユナイテッド市原・千葉レディース 三上尚子ゼネラルマネージャー(前篇)
ジェフユナイテッド市原・千葉レディースのフィロソフィー(哲学)とは?
「全員が力を出せないと勝てないチームだ」猿澤真治監督、「ゴール前ではボールに対し強くいくこと」清水栞選手、「最後まで全員でハードワークできた」安齋結花選手……2021年5月8日に行われた2021WEリーグプレシーズンマッチ、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースは日テレ・東京ヴェルディベレーザに勝利しました。試合後の選手・監督コメントには「ハードワーク」に関連する単語が並びました。「ハードワーク」は、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースのフィロソフィーを目に見える形にしたもののです。
これまで、ファン・サポーターは「ハードワーク」を随所に発揮して勝利する試合を見ると「ジェフユナイテッド市原・千葉レディースらしく勝つ」と感じてきました。プロ化した2021年シーズン以降もジェフユナイテッド市原・千葉レディースの特徴は変わらないのか?2021WEリーグプレシーズンマッチで、チームの仕上がり具合はどのようになっているのか、後篇では「ゼネラルマネジャーの視点」を直撃しました。
そして、後半では、大滝麻未選手の妊娠発表についてもお聞きしています。なぜオフィシャルツイッターアカウントのツイートに「まずは元気に出産できるサポートをクラブで行って参ります」という表現が盛り込まれたのでしょうか。選手の妊娠・出産に対するジェフユナイテッド市原・千葉レディースの姿勢をお聞きしています。
—試合前の囲み取材では、選手の発言の中に「全力」「走る」「戦う」「ハードワーク」という単語が、ほぼ入ってきますね。
三上—ジェフユナイテッド市原・千葉レディースが、アンダーカテゴリーも含め、積み上げてきたものです。なんとなく浸透してきたということですかね。対戦相手から(ハードワークで)「ジェフとやると嫌だよね」と思われたいです。
手応えを感じた2021WEリーグプレシーズンマッチ、日テレ・東京ヴェルディベレーザとの対戦
三上—どのチームも探りながらプレシーズンマッチをやっていると思いますので、他のチームとの比較は難しいです。
新しく入ってきた選手との融合を実践形式で試せるのは良いですね。徐々に形になりつつあります。練習試合とは、また違います。プレシーズンマッチで良い時間を過ごすことができます。
日テレ・東京ヴェルディベレーザとは、プレシーズンマッチの数週間前に練習試合を行いました。練習試合では、上手く自分達の形を作る時間が持てず、敗戦してしまったのですが、プレシーズンマッチでは主体的にボールを動かすことができました。「ジェフユナイテッド市原・千葉レディースらしく勝つ」を体現してくれました。
—それは、そのタイミングで練習試合を組んでくださったスケジュール設定が素晴らしいですね。
三上—そうですね(笑)。練習試合で、上手く表現できなかったことと比べ、自分達が、こうやれば良いのだと見えてきたのがプレシーズンマッチでした。
—ここまでの2021WEリーグプレシーズンマッチを経て、三上さんが把握している課題はありますか?
三上—フィニッシュのところは、まだまだ課題だと思います。ゲームを作るところは、少しずつ浸透してきています。ディフェンスは、粘り強い守備を猿澤真治監督が選手に落とし込んでいるところなので、まだ時間がかかると思っています。
—WEリーグの11チームは、おそらく、これから「オリジナル11」と呼ばれ特別な存在となっていくと思います。プロ化の最初の11チームが担う責任についてお考えのところはありますか?
三上—WEリーグは、チーム・クラブの努力の結果のみならず、WEリーグ全体として結果を出していかないといけないと思います。各チームはオリジナルの色を出しながら、全体で成果を出す取り組みが必要です。今、11チームが、それを意識していかないと、これから続いて増えてくるプロチームに効果が続いていきません。WEリーグの成功がなでしこジャパン(日本女子代表)にも繋がっていきますから、自分達には大きな責任があると思っています。
—ジェフユナイテッド市原・千葉レディースが取組を先行して、他の10チームに追いかけてきてもらうという部分と、11チームが連携して協働して進めていくところとを合わせて、プロ化の良いベースを作っていくイメージですね。
大滝麻未選手の妊娠発表から感じる優しさ
—大滝麻未選手の妊娠発表について、公式ツイッターアカウントのツイートがとても良かったと思っています。
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