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松田岳夫監督(マイ仙台)が語った具体的な課題、千葉Lにとって「次につながる時間」 千葉L1−2マイ仙台

ジェフユナイテッド市原・千葉レディースは4試合目(最終戦)の2021WEリーグプレシーズンマッチ。2021年5月29日、最後の対戦相手はマイナビ仙台レディースです。一方、マイナビ仙台レディースは未勝利。どうしても勝ちが欲しいところです。結果は2−1でマイナビ仙台レディースの勝利。アディショナルタイムに、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースが意地を見せて1点を返したものの、試合は終始マイナビ仙台レディースのペースでした。

躍動したマイ仙台の攻撃陣

宮澤ひなた選手、浜田遥選手、二人のなでしこジャパン(日本女子代表)が、再三にわたってジェフユナイテッド市原・千葉レディースのゴールを脅かしました。「9番(宮澤ひなた選手)の対応にエラーが出てしまった。」と振り返る猿澤真治監督(千葉L)。

加えて、筆者の目を引いたのは、マイナビ仙台レディースの2人の元なでしこジャパン(日本女子代表)でした。

一人目は池尻茉由選手。フォワードでのプレーのイメージが強い池尻茉由選手ですが、この試合では、中盤サイドでの起用。左足での低くて速いサイドチェンジも見事。トップの選手を追い越してゴール前に出現する動きも質が高く、トップの選手と見事な連携を見せていました。マイナビ仙台レディースの厚みのある攻撃を支えます。

二人目は長野風花選手。中盤の底で、チームの舵取りを果たしました。長短パスを使い分けてボールを動かします。猿澤真治監督(千葉L)は試合後に「ボールを配るテクニックがある。上手く(守備の)対応をできていなかったが、パスの出た先で奪えれば……。」と話しました。振り回されたジェフユナイテッド市原・千葉レディースは、前半で、かなり疲労したはずです。

公式戦開幕に向けてやらなければいけないことが多くある

筆者は、試合後の記者会見で、松田岳夫監督が饒舌に試合を振り返ってくれるのではないかと予想しました。しかし、その予想は裏切られました。「なかなか思うような展開にできず課題を多く感じたゲーム。」「チームとしてまだまだ未熟な部分が多々あった。」という評価から監督記者会見は始まりました。特に、松田岳夫監督が強調したのは、試合運びの部分です。失点に至るまでの試合展開を振り返ると「オープンな展開」とまでは言えないものの、お互いに速攻を繰り返すシーンが見られました。しかし、この日は気温が高く29.2度。2−0とリードしているマイナビ仙台レディースも、足が止まり始めていました。

松田岳夫監督

「決めきって突き放つことができなかったところに課題を持っていきたい。」と表現した松田岳夫監督。いわゆる「決定力不足」といった不明瞭な理由ではなく、具体的に話してくださいました。「相手は2点を取らければいけない状況の中でスピードを上げたプレーとパワーを持ってきました。それに対して、カウンターも大事なのですが、自分たちの時間帯を創る、ボールを動かす、相手を動かして疲労させる。そういうサッカーの進め方を覚えていかないといけないと思っています。」つまり、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースのやり方に付き合ってしまい自らも疲労。もっと相手だけを披露させて、簡単にとどめをさせるはずだった試合を、自ら手放してしまったというのです。

その言葉通りに感じたのは試合終了のホイッスルが鳴った直後のピッチ上です。敗れたジェフユナイテッド市原・千葉レディースの選手ががっくりと項垂れるのは当然なのですが、マイナビ仙台レディースも多くの選手が疲労困憊の表情を見せました。

「いいパスをもらえたので、あとは決めきるだけでした。」白木星選手

なでしこジャパン(日本女子代表)クラスの選手を多数擁し、素晴らしいサッカーを展開したマイナビ仙台レディースは、WEリーグで上位に食い込む可能性を感じさせました。さらに、優勝争いをするためには「公式戦開幕に向けてやらなければいけないことが多くあるなということを感じた」(松田岳夫監督)課題をクリアする必要がありそうです。

千葉Lにとって「次につながる時間」

アディショナルタイムに得点した南野亜里沙選手は「内容、結果とも満足いくものではありません。ただ、この経験は大きいと思うので、WEリーグの開幕までに、チームとして修正をしていきたいと思います。」と振り返りました。南野亜里沙選手は豊富な運動量でジェフユナイテッド市原・千葉レディースの前線を支えました。

南野亜里沙選手

反省の弁が多かった試合後の記者会見となりましたが、試合内容と比較すれば、それほど悲観的なムードは漂っていませんでした。得点をアシストすることになった小澤寛選手は「打てば何かが起こることを改めて実感したので続けていきたいです。」と次への抱負を語りました。猛攻を披露したアディショナルタイムは、次につながる時間となりました。

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