WE Love 女子サッカーマガジン

カッコイイWEリーグをJリーグが真似するくらいになってほしいです 播戸竜二理事インタビュー

アツく燃える男・播戸竜二さんが2021年2月1日にWEリーグの理事に就任されました。今回は、WEリーグに関して受ける、初めてのインタビュー取材だそうです。現役時代の播戸竜二さん、さながらのアグレッシブで情熱的なコメントと、慎重な姿勢が共存するインタビュー取材となりました。インタビュー取材の後半で「播戸竜二さんが考えるWEリーグ選手が目指すべきところ」のお話を聞いて、筆者は「播戸竜二さんがWEリーグの理事になってくださって良かった」と思いました。ぜひ「最初から最後までアツい」記事をご覧ください。

播戸竜二さん、WEリーグの理事就任後の初観戦は2021年5月4日の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場。ちふれASエルフェン埼玉とINAC神戸レオネッサの対戦でした。この試合の感想から、インタビュー取材は始まります。

INAC神戸レオネッサの選手たち(2021年5月4日 熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)

より広く選手や試合のことを認知してもらえるかが大事

播戸選手の周囲を取り巻く環境やご来場されている方達を気にして試合を見ました。INAC神戸レオネッサの10番の杉田妃和選手が良いプレイヤーだと感じました。躍動感があってスタンドから目をひきました。常にボールを前に運んでいましたし、前からの守備もされていました。シュートもスルーパスも積極的。そこで、僕は帰宅したら杉田妃和選手のことをすぐにGoogleで調べました(笑)。スタジアムへ行く、良い選手に気がつく、気がついた選手を調べる、知ると気になる、またスタジアムへ行く……こういうサイクルを、WEリーグがどのように作って、より広く選手や試合のことを認知してもらえるかが大事だと思いました。

この日は関係者席に50人くらいが来場していました。女子サッカー関係者の他に、地元・熊谷市で活動するラグビーのパナソニック ワイルドナイツ、Panasonic Sportsの方もいらしていました。ただ、ここに女性は1人しかいなかったですね。色々な面で、整備はこれからなのだろうと感じました。

ちふれASエルフェン埼玉の監督の半田悦子さんは、11チームで唯一の女性監督ですね。

熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

1000人上限で991人が来場されましたね。

播戸とても良かったと思います。子どもたちもいましたし、興味を持って、スタジアムに来てくださった人たちが、試合にのめり込んでくれていたので、この試合をポジティブに捉えています。女子サッカーにどういうことを求められるのかを捉えて、今後、WEリーグ、選手たちは発信していかなければならないと思います。それを全体で目線合わせする必要があるかもしれません。

「プレーを見てほしい」はもちろんです。ただ見てくださっている方は、一般的には、プレーについては男女で比較してしまうと思うのです。そうなると、男性のサッカーの方が迫力があって面白いと見えてしまいます。でも「女子サッカーってこういうのがあるから面白いよ」というものが提示できたら、さらに良いと思いますね。例えば、みんなで一緒に(この試合で配布されていた)スティックバルーンを叩いて盛り上がるのが楽しいよというのも、その楽しさの一つかもしれません。提供する楽しさは各チームで違うものがあるかもしれません。ただ、プレー以外にも楽しめる面が、男子のサッカー以上に必要だと思いました。

Jリーグは地域密着で30年近くも歩んできました。だから今があるわけです。WEリーグが地域の人に応援してもらう土壌を、これからどのように作っていくのか、やるべきことがたくさんあります。WEリーグ全体で、どのように(地域との関係を)良くしていくのかを考えたいです。そして、それを考えるのが、理事としての僕の仕事だと考えています。

僕は、これまで、Jリーグの特任理事、日本サッカー協会(JFA)のアスリート委員会委員、SDGs推進チーム、選手会の副会長を務めてきました。WEリーグについて勉強しながら、やれることは最大限でやりたいと思っています。他の理事の皆さんとコミュニケーションを取りながら、少しずつやり始めています。

Jリーグについては、自分が21年間プレーして「理想はこうだ」「こうなってほしい」と考えるものが明確にあります。だから特任理事として好きなことを言うようにしていますが、WEリーグはまだ開幕していません。僕も、そこまで深く女子サッカーを理解しているわけではありません。だから、皆さんに色々なことを教えてほしいと思っています。一方の人の話だけを聞くと偏ってしまうので、たくさんの人から話を聞いて、自分が良いと思えるWEリーグを見つけていきたいです。

僕は選手を引退した後「いかにサッカー界を良くするか」「サッカー界のために働けるか」に目標を置いてきました。Jリーグ、JFA、WEリーグの3つに関われているので、これらを僕が比較し、課題を見つけて提言していきたいです。自分の中では「良くしていきたい」思いが、シンプルに強いです。

播戸竜二さん

「アジェンダって!?なんやねん」から

理事会の雰囲気はいかがですか?

播戸僕はたくさんの理事会を経験できています。選手会でも議題とかアジェンダとかが、当然、あったりします。僕は「なんやアジェンダって!?なんやねん、議題って言えや」みたいなところから始まって、自分たちゴトの議題の検討を進めていきました。選手会の議題は全て選手のことで、選手の理事が議事を進めていったので、そこまで大きな意見の相違はありませんでした。

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