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映画公開直前アニメ『さよなら私のクラマー』なぜウケるか?女子サッカー中学生年代の課題は?

©新川直司・講談社/2021「映画 さよなら私のクラマー」製作委員会

女子中学生サッカープレイヤー・ 恩田希は、
誰よりも練習し、誰よりも努力してきた。
それでも、彼女は試合になかなか出してもらえなかった。

藤第一中学校、男子サッカー部──。
それが、彼女の今いるフィールドだ。

 

今回は映画が公開直前となったアニメ『さよなら私のクラマー』についてご紹介します。後半では、タイトルの元となったのは「日本サッカーの父」デットマール・クラマーさん、実際に課題となっている中学生年代のプレー環境についても解説します。

COVID―19(新型コロナウイルス感染症)の影響で公開が延期されていた『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』が2021年6月11日に公開されます

アニメ『さよなら私のクラマー』は、男子サッカー部のなかで苦闘する中学生編のアニメ映画と、女子サッカーの頂点を目指す高校生編のテレビアニメで構成されています。そして、この作品の注目すべき点は「”部活”ストーリー」だということ。だから、現実離れした、女子サッカーのスーパープレーは登場しません。むしろ、女子サッカーの試合の描写はスポーツアニメとしては物足りない程で、オフザピッチの「”部活”ストーリー」を軸に物語は展開していきます。それは、出場機会の要求、部活の予算捻出、グラウンドの確保、他の部活との軋轢、仲間作り、憧れのプレーヤー、ちょっと変わった顧問の先生……だから、女子サッカーを知らない、けれども何かしらの部活経験がある多くの人にまで共感を生み出したのかもしれません。

©新川直司・講談社/2021「映画 さよなら私のクラマー」製作委員会

『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』6月11日(金)より全国ロードショー 配給:東映

必殺技ありきの作品とは違い内容がリアル

フェアリーテイル株式会社は『さよなら私のクラマー』のオードパルファム(香水)とフレグランスハンドジェル等を発売しています。

ご自身もプロサッカー選手になりたくてサッカーをやっていたというフェアリーテイル株式会社代表取締役・熊谷勇希さんは、『さよなら私のクラマー』の魅力とコラボレーションの理由をこのように語ります。

「必殺技ありきの作品とは違い、内容がリアルで、読んでいて自分がワラビーズの一員、関係者になっているような感覚で作品を楽しんでいます。戦術やゴール前でのプレー等も作者の新川直司先生はとてもサッカーに詳しいのだと思います。実際にサッカー好きというのもおうかがいしました。女子サッカーの未来、育成等……日本の女子サッカーはワールドカップで優勝してからの課題が浮き彫りになっている中での希を中心に展開される本作品にとても感銘を受けました。」

女子サッカーの未来を一緒に

WEリーグの岡島喜久子チェアは「女子サッカーの未来を一緒に」をテーマに、『さよなら私のクラマー』とWEリーグのコラボレーション企画(後援)を発表しました。

「これまでラブコールを送り続けていた『さよなら私のクラマー』への後援が決定し、ワクワクしています。WEリーグが開幕する年に、女子サッカーを描いた素晴らしい漫画が映画化されTVアニメ化されるということでご縁を感じていました。原作中に、「女子サッカーに未来はあるのか?」というメッセージが登場しますが、私たちWEリーグはその問いに胸を張って「明るい未来が待っている」と答えられる環境を整えていきたいと思っています。今回のコラボレーションのテーマである「女子サッカーの未来を一緒に」は、WEリーグのコンセプト「みんな(WE)でつくる」にも通じています。今後、原作ファンの皆さんやサッカーファンの皆さんを楽しませるコラボレーション企画をお届けできればと思っています。」

人気の秘密つの考察

さて、アニメ『さよなら私のクラマー』がなぜウケるのでしょうか。既に放送が進んでいるテレビアニメ『さよなら私のクラマー』のここまでの物語とファンの意見を参考に、筆者が考察しました。ご紹介します。

1 弱小チームが躍進していく成長物語

いわゆるスポーツ青春漫画の王道です。初めての練習試合を21−0で惨敗。どん底の戦力からチームは這い上がっていきます。多くの人が見慣れた、人気漫画の必勝パターンをなぞって物語は進んでいくのです。

2 部活の思い出が蘇るわくわく感

オフザピッチのストーリーが厚く、多くの人が、高校時代の思い出を蘇せる不思議な感情を抱きます。ピッチ上のプレーに重心を置きすぎておらず、ファンの琴線に触れるエピソードを多く盛り込むことができているのです。

3 サッカーの専門用語でプレーヤーを魅了

「クリーンシート」「ピン留め」「デュエル」「インテンシティ」「リトリート」サッカーの専門用語が多用されるので、サッカーをプレーしている人に支持されやすいです。また、同時に、その専門用語の意味がわからなくてもストーリーの理解に大きな影響がないので、サッカーをプレーしていない人でも楽しめます。テレビアニメの試合のシーンの最初のセリフは「アドバンテージ」でした。

4 人口が多い層を巻き込む古い小ネタ

現在は少子高齢化の時代です。人口が多い40歳代以上の人を対象とした小ネタを挟み込むことで、話題をクチコミする人を増やす工夫をしています。登場人物・恩田希のあだ名が「藤一のエリック・カントナ」。恩田希が埼玉県内のフットサル場を出禁になっているのはフランス代表の名選手エリック・カントナ選手ばりのカンフーキックをしたからというエピソードからです。世界的に有名なエリック・カントナ選手のカンフーキック事件は1995年の出来事です。『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』では、ヨハン・クライフ監督、ゼップ・ヘルベルガー監督の名言も飛び出します。

5 現実の女子サッカー環境を反映

蕨青南高校女子サッカー部のコーチ・能見奈緒子は元なでしこジャパン(日本女子代表)。17歳で代表入りを果たして以来、数々の記録を打立て日本サッカー界を牽引してきた人物です。能見奈緒子の現役時代が、日本の女子サッカーの黄金期として描かれています。しかし、コーチとなった現在の日本の女子サッカーはやや低迷という設定です。これはFIFA女子ワールドカップ ドイツ2011の優勝メンバーが指導者として活躍し始めている現実と重なります。この設定が、作品中の「女子サッカーに未来はあるのか?」というメッセージにリアリティを与えています。

6 対戦相手に魅力的なキャラクター

他校のサッカー部の男子に片思いしている佃真央、自分と同じようにずば抜けたセンスを持つ主人公に興味を持つ井藤春名、幼い頃は魔法少女にあこがれていたオタク気質の安達太良アリス……。単純な敵味方ではない感覚が、まさに女子サッカー。女子サッカー全体の未来を大きくしていきたいという思いにつながっています。

7 シビアな試合展開

綺麗なパス回しやハッとするスルーパスも登場しますが、試合では、日本の女子サッカーでは長く蔑ろにされてきたフィジカルコンタクトでの勝負を重視しています。綺麗事では進まない物語の深さを感じます。特に『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』では、試合中に、かつてないほどフィジカルコンタクトが描かれています。反則についての描写も細かい。世界的に見ても、珍しい表現だと思います。

タイトルの元となったのは「日本サッカーの父」デットマール・クラマーさん

タイトルの「クラマー」の由来はデットマール・クラマーさんです。

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