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「尊敬する高倉監督へ」メキシコ女子代表監督の会見(全文)から、なでしこジャパンの現在地を探る

これが東京2020メンバー選考前の最後の試合です。2021年6月13日、カンセキスタジアムとちぎでなでしこジャパン(日本女子代表)が対戦したのはメキシコ女子代表です。この日のなでしこジャパン(日本女子代表)は、3得点目、4得点目に見られる、サイドを崩してグラウンダーのマイナスクロスを入れるプレーが目立ちました。前回のウクライナ女子代表戦では、安易な浮き球クロスを多用して時間を浪費した感もあったので、中2日で修正が見られました。途中、メキシコ女子代表の圧力に左サイドを突破され、苦しい展開もありましたが5−1で勝利することが出来ました。

本当に頭が痛いメンバー選考に

試合後の記者会見で、高倉麻子監督は、ウクライナ女子代表戦に続いてフル出場した主将の熊谷紗希選手、清水梨紗選手、中島依美選手を「攻守に渡ってチームのバランスを考えると軸になっていくべき選手」と明かしました。この3選手がメンバー入りすることは確実でしょう。しかし、最年少の木下桃香選手やスペシャリストの遠藤純選手が見事な得点をするなど、18人のメンバー入りは全く予想がつきません。

「本当に頭が痛い。試合が終わって部屋に帰ってため息が出たくらい。みんな結果を出してくれるので」と嬉しい悩みを明かした高倉麻子監督。これから最後のメンバー選考です。

高倉麻子監督を尊敬するモニカ・ベラガラ・ルビオ監督(メキシコ女子代表)

そんな高倉麻子監督に、エールを贈る人がいました。メキシコ女子代表のモニカ・ベラガラ・ルビオ監督です。モニカ・ベラガラ・ルビオ監督は、過去に、選手として、なでしこジャパン(日本女子代表)と対戦しています。試合後の記者会見の全文書き起こしをご覧ください。

※一部、質疑応答の文章の位置を入れ替えています。

モニカ・ベラガラ・ルビオ監督(メキシコ女子代表)

「まず勝利された日本女子代表に祝福の言葉をかけたいと思います。今日の勝利にふさわしい試合内容だったと思います。日本代表との試合はダイナミックになるということは分かっていたのですが、試合の最初から最後まで素晴らしい試合運びだったと思います。

特に前半は、メキシコ女子代表にも良い部分がありました。ポセッションもできていましたし、ダイナミックかつアグレッシブなプレーをできていたと思います。後半、特に終盤は、いくつかのミスがあり、それを今後修正していかなければなりません。こうした試合を戦う際に、集中力が欠けることは避けていかなければなりません。

前半と後半の一部で、メキシコ女子代表は、とても良いプレーをしたと思います。しかし、日本女子代表は、とてもダイナミックなサッカーをしました。そのボール回し、ポゼッション……それをつなげていくプレーが素晴らしかったと思います。それにより、メキシコ女子代表は、疲労が蓄積して、ミスを犯しがちになりました。それを日本女子代表が、上手く使う試合になりました。それを言い訳にせず、今後のトレーニングをしていきたいと思います。日本女子代表は、今日の勝利に相応しかったと思います。常に自分たちのスタイルに忠実にプレーしていました。フォワードと2列目の選手を上手く使った奥行きのあるプレーがとても素晴らしかったと思います。

多くのメキシコ代表サポーターも来場し母国の代表チームを応援した(撮影時にマスクを外しました)

日本女子代表は秩序を失わずに継続してプレーすること出来る

(監督自身が選手として対戦していますが)その当時と比べると日本のサッカーだけではなく、世界の女子サッカーが進化していると感じます。日本女子代表のサッカーは、よりダイナミックになりましたし、個々のテクニックのレベルも上がってきていると思います。秩序を失わずに継続してプレーすること出来る、攻守においてしっかりと自分のプレーモデルを持っている印象を受けました。

今日の試合は、メキシコ女子代表のパラメータとしても参考にしつつ、今後のサッカーに繋げていきたいと思います。

私たちのConcacaf(北中米カリブ海)地区には米国女子代表とカナダ女子代表という強豪チームがいます。他にも、女子サッカーに力を入れているチームがあります。例えば、コスタリカ女子代表、ジャマイカ女子代表、ハイチ女子代表……。私たちも、どんどんと成長を継続していかなければなりません。

ところが、COVIDー19(新型コロナウイルス感染症)の影響を強く受けています。代表チームの強化プロセスを進めていくのも難しい状況です。そうしたこともあって、今回、東京2020の出場権を獲得することができませんでした。代表チームの活動に1年くらいの空白期間がありました。

ですから、今回の日本女子代表のようなレベルの高いチームとの対戦を続けて、自分たちのサッカーを成長させていきたいと思います。

前への圧力を醸し出していたメキシコ女子代表

対戦相手の成長につながるパフォーマンスをできたことは嬉しく思う

ご招待いただいたことに心から感謝申し上げます。日本もメキシコも、一刻も早く、このパンデミックの状況から脱することを願っています。メキシコ女子代表チームの一員として、日本に来られたことを光栄に思っています。皆さんのホスピタリティにも感謝しています。東京2020では、素晴らしい試合をされるよう、幸運を願っています。

今回、こうして、日本女子代表と対戦することができたわけですけれども、以前の試合と比べて長い時間帯で、日本女子代表に対して難しい状況を与えることができたのではないかと考えています。対戦相手の成長につながるパフォーマンスをできたことは嬉しく思います。メキシコ女子代表の実力に、まだまだ、日本女子代表のようなトップクラスのチームと差があることは確かです。今後につなげていきたいと思います。将来的にメキシコ女子代表が勝てることを目指します。

高倉麻子監督の活躍を祈っています

高倉麻子監督のことを、とても尊敬しています。個人的にもお会いしたことがあります。彼女のこれまでの取り組みをずっと見てきました。東京2020で活躍されることを願っています。自分のチーム、自分の選手を信じて、日本女子代表初の女性監督としてだけではなく、母国である日本開催は、彼女にとって素晴らしい経験になると思います。活躍を祈っています。アリガトウ。」

ダイナミックなサッカーがメキシコ女子代表を疲労させた

モニカ・ベラガラ・ルビオ監督は、なでしこジャパン(日本女子代表)のサッカーを「ダイナミックなサッカー」「アグレッシブなプレー」「プレーモデルを持っている」「奥行きのあるプレー」と表現しています。

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